これはもう、個人的には、とてつもない名著ですね。素晴らしいです。
平成6年の6月6日に、初版発行みたいですね。落合選手の背番号の代名詞といったら、「6」ですからね。そこの拘りも、おもろすぎです。で、平成6年は、西暦で言うと1994年。
落合選手が、FA宣言をして、ドラゴンズからジャイアンツに移籍した、ちょうど最初の年です。そんな、すげえ身辺バタバタで、激烈忙しかったであろうタイミングで、こんな名著を出版していたなんて。凄い。マジ尊敬。
帯には
「自分で自分を育てる”現場(フィールド)の哲学”」
という文字と、帯背表紙には
「ビジネスマン必読の一冊!!」
という文字が。
ほぼほぼ、徹頭徹尾、野球の事しか書いてないのに、ビジネスマン必読とは、これ如何に?と思ったりもしますが、
ビジネスに応用できる内容は山盛りですね。というか、人生に応用できる、という表現が正しいか。なにしろ、落合さんの「考え方そのもの」が、まあ、示唆に富みまくりですね。
落合博満という男【序章にかえて】
いわゆる、まえがき、ってヤツだと思います。
落合選手自身の言葉で、プロ野球選手となるまでの自分の歩み、プロ野球選手としての現在の自分の立ち位置と、今後の展望を語っています。
ざっくり要約してみますと
「子供のころの日々の野外遊びが、自然と、野球をする自分の身体を形作っていった」
これは、面白いですね。まずは外で遊べ、と。好きな遊びをしろ、と。ワンパクでいいじゃん、と。野球の為に体を作るのではなく、まずは遊びの中で体を作るのが子供として自然じゃん?ということですね。
「高校時代の野球部の、『先輩絶対』の封建体質が本当に嫌だった」
体罰には断固反対、上司の鉄拳制裁断固反対、の、ドラゴンズ落合監督時代の主張の根本が、ここに。うむう。落合さん、やっぱ、良い人だなあ。
「プロボウラーの試験を受けに行く直前で、罰金を取られてプロボウラーの試験を受けられなかった」
この話が、落合選手自身の口から語られているのは、面白いですね。もし、落合さんが、ここでプロボウラーの試験を受けることができていたら、そして合格していたとしたら、稀代のプロ野球人・落合博満は、誕生していなかったであろう、ということですから。人生万事塞翁が馬。禍福はあざなえる縄のごとし。災い転じて福となす。いやあ、人生は、本当に、不思議です。
「人の意見には耳を傾けるが、自分で必要じゃないと思ったら、取り入れない」
これはもう、正しいですね。まずは、どんな意見でも、聴く。そして、自分にとって必要かどうか、考える。そして、受け入れるか聞き流すか、判断する。うむ。まっとうすぎる。流石です。
第一章 勝負の方程式
では、落合選手と、12人の投手との対戦を通しての、落合選手の「野球とはなんぞや?」ということが、細かく細かく書いてあります。でえらあ、面白いです。
①投手のクセを読む 稲葉光雄
落合選手が、まだバチバチの新人だった頃に、阪急のエース格投手だった稲葉投手との対戦を語った話。「ピッチャーを育てるのはバッター、バッターを育てるのはピッチャー」という真理にして名言がでます。B'Z風に言うならば「敵がいなけりゃ」ってことですね。いやあ、ええ言葉やなあ。
稲葉投手の、カーブを投げる時のクセを見抜いて、俺はガンガン打っちゃいました、でも他の打者からすると、クセを見抜いても対応できる時間がないっすからね。あんだけ稲葉さんから打ったの、俺だけちゃう?俺、凄いっしょ?すげえ短い時間で、クセを見て対応できるんすよ。っていう落合さんの自分自慢な所がある気がして、オモロいともいえますね笑。
で、つまるところ、相手投手のクセを読むのに四苦八苦するより、自分の打撃の型をちゃんと持ちなさい努力しなさい、という、すごく真っ当な話が語られています。
第二章 フィールドの哲学
では、バッティング、守備、走塁、練習、スランプ対策、開幕前の心境、など、野球の、ほぼ全ての場面での「俺はこう考える」という落合思考が、惜しげもなく語られております。
これ、1994年の書物なんですよ。今、2020年だから、26年前。でえらあ昔ですやんか。でも、自分はプロ野球選手でもなんでもないんで、この書物に書かれていることが、今現在のリアルタイムのプロ野球選手の方々にとって、有用なのか既に時代遅れの話なのか、は、さっぱりわかりません。何故なら自分はプロ野球選手ではないから。まさに「現場の人」では全くないから。でも、とてつもなく、腑に落ちることごとばかりが、かかれている。
「これをちゃんと理解したうえで、野球というものに臨んだら、絶対上達するんちゃう?」ということばっかり、書かれている、ような、気がする。いや、もう完全に、僕が自分だけで勝手にそう思っているだけなんですけどね。でもなあ。あまりにも、この本は、今の2020年でも、プロ野球選手にとって、とてつもなく、有用な書物なのではないか?違うのかなあ?だって、めちゃくちゃ、納得できる事しか書いてない、ってくらい、凄い腑に落ちる内容ばかりなのですもの。
多分これからも、人生の折り目折り目で、再三、この本を読み返すのでしょう。それくらいに、自分にとっては、大切な本です。俺、プロ野球選手じゃないのに。でも、まあ、とてつもなく面白いんですよ。こんな本を書いてしまえる、落合博満という人物は、やっぱり尊敬の思いしか抱かないですね。本当に凄い人だ。