ぐるぐる問答: 森見登美彦氏対談集

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093885201

作品紹介・あらすじ

森見登美彦氏初の対談集!

10代、20代の読者に圧倒的な人気を誇る森見登美彦氏、初の対談集!
デビュー以降各雑誌に掲載された、いまやほとんど読むことの出来ない対談を一挙収録。対談相手は劇団ひとり氏、本上まなみ氏、大江麻理子氏、萩尾望都氏、羽海野チカ氏、うすた京介氏、綾辻行人氏、綿矢りさ氏、万城目学氏など14人。十年前の森見登美彦氏と現在の森見登美彦氏が対談する小説「今昔対談」も特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 坂崎千春氏の表紙に、この対談集の雰囲気が詰まっている。坂崎さんはかなりのもりみーファンなのだろう。

    一見、四畳半で、森見登美彦を囲んで著書の登場人物たちがワイワイがやがやしているかのように見えるが、実は全員主な対談相手を模している。
    ・中央は当然森見登美彦。しかし、京都には居ない鹿の角を生やしているのがミソ(もりみーの出身は奈良県、京都は外からの視点だから書けたのかも)。
    ・狸は、飲み友達の万城目学。かなり食えない話をしている。
    ・天狗は、京大の大先輩・綾辻行人。もりみーは綾辻ゆかりの京大ミステリ研に入ろうかと迷ったと告白。
    ・1番ガチな対談をしているのは、ペンギンこと上田誠。親交も厚いが、上田氏がアニメ化脚本を書き、やがて上田氏の代表作「サマータイムマシーンブルース」の小説化をもりみーが実現させるという運命の人。
    ・隣にいる狐面は、意外にも親交のある綿谷りさ。怖い話ばかりしていた。
    ・うしろで鎮座している招き猫は、対談時のお土産に招き猫を持ってきた作家の柴崎友香。
    ‥‥という見立てが正しいかどうかは誰も保証しません。

    全員が京大出身だったり、京都生まれだったり、京都を拠点に作品を作っているという共通点を持つ。

    その他、萩尾望都とか羽海野チカとか人気作家を、「職権濫用」で対談していて、とっても羨ましい。職権濫用の最たるものの中に、本上まなみがいる。万城目学氏の対談中でも登場し、たびたび話題の中に登場した本上まなみとの対談のことは特別に言及せざるを得ない。

    森見登美彦が本上まなみの大ファンで、デビュー作(太陽の塔)の小物(自転車)に「まなみ号」と名付け、その勢いで「将来は人気作家となって、本上まなみと対談するんだ!」と学生の頃から豪語していて、その4年後に実現させたら、実際には固まってほとんど話ができなくなったというエピソードほど、共感するものはない。

    もりみーは万城目学に「5年計画だった」と白状している。小説「太陽の塔」の主人公のように「外堀から埋めてゆく」方針をとっていたらしい。当然、本来なら、そのやり方は本丸まで辿り着かない。

    私も、(妄想だけど)同じシチューエーションでシャリーズ・セロン様が対談相手に現れたら、たとえ手元に数日かけたカンニングペーパーを用意してきても固まってしまうと思う。

    しかし、「固まる」という現象は、頭の中が白紙になることとはまた違うことだと私は想像する。ホンの一瞬だけご尊顔を観たら、本人の頭は高速回転するものだ。用意した文句が全てありふれてつまらないモノに変化するのである。「今日は思っていたのと全然違う。じゃあどうすれば良いんだ!」その対策を考えて凡ゆるシュミレートをしているうちにいつのまにか時間が経つという寸法である。

    もりみーはよほど悔しかったのか、2007年のガチガチ対談のリベンジ対談を、2013年にしている。本書に掲載。しかし、この本に07年対談は掲載されていない。もりみーの拒否があったらしく、正に「もりみーらしい」のではあるが、私の「想像」が合っているかどうかは検証できなかった。非常に残念だ。

    巻末に2015年の森見登美彦が05年の森見登美彦を呼び出して「今昔対談」するという力技も載せている。もりみーファン必読の対談集。マリモさんの紹介。ありがとうございました♪

    • マリモさん
      kuma0504さん
      面白く読ませていただきました!
      表紙をあまりきちんと見ていませんでしたが、見立てになるほどと思いました。
      狐なんかは、...
      kuma0504さん
      面白く読ませていただきました!
      表紙をあまりきちんと見ていませんでしたが、見立てになるほどと思いました。
      狐なんかは、表情がなんとなく愛らしいし、見上げている感じが何故か綿矢さんぽくて、もう綿矢さんにしか見えなくなってしまいました(笑)
      上田さんとはガチ対談でしたよね。創作裏話が詰まっていたし面白かったですね。
      2022/03/02
    • kuma0504さん
      マリモさん、こんにちは。
      楽しんで頂けて何よりです♪

      偶然にも、本来綿谷りさなんて読まないのに、綿谷りさ「手のひらの京」と「きつねのはなし...
      マリモさん、こんにちは。
      楽しんで頂けて何よりです♪

      偶然にも、本来綿谷りさなんて読まないのに、綿谷りさ「手のひらの京」と「きつねのはなし」をほぼ同時期に読んでいて、あ、匂いが同じだな、なんて思ったことがありました。

      森見登美彦の本は、読んでいて楽しい。これを読むだけでも行きたいところが増えました。上田さんの書いていた「四畳半」脚本は、ほとんど深夜の「からふね屋珈琲店」で生まれた。とのこと。アニメ観てないけど、みたくなったし、この喫茶店にも行ってみたい。出町柳駅近くの「柳月堂」も行ってみたい。「夜は短し」で先輩と乙女が待ち合わせしたのは喫茶店・京大北門前の進々堂。というのは初めて知った。喫茶店巡りで腹がポタポタしそう。
      2022/03/03
  • デビュー直後の初対談から、森見登美彦〈昔〉と森見登美彦〈今〉の「小説 今昔対談」まで。

    一番おもしろかったのは、「対決! 三つの公開質問状」(万城目学)。

    プライベートでも親交のあるふたりだからこその、くだけたやりとりが楽しい。
    作家になるまでや、なってからの日常など、興味深かった。

    「ダメダメ人間ほど愛おしい」(羽海野チカ)は、それぞれの作品の登場人物についての掘り下げが、楽しい。
    『バトル・ロワイアル』について、「読んでないのに? (笑)」というツッコミには、笑ってしまう。

  • 森見さんのデビュー後10年間の対談集。
    一番驚いたことはデビュー作『太陽の塔』をヒロインのモデルになった元カノに、賞に応募する前に読んでもらっていたこと。森見さん、勇気あるなー。
    そしてその『太陽の塔』を読み影響を受けた万城目学さんがデビュー作『鴨川ホルモー』を書いた、という繋がりにも驚いた。
    対談相手の森見評「森見さんは乙女」や森見文学の神髄「読者のツッコミ待ち」には激しく納得。

    漫画家・羽海野チカさんとの対談での「人はボロボロにならないと次の一段に上がれない」「ヘコたれることが実はすごく大事」「持って生まれたものが違う、不公平だって嘆いていてもしょうがない」という若者向けの言葉に、もう若くもない私にまでパワーをもらえた。
    この先10年後の森見さんがどのような姿で今昔対談の場に現れるのか、今後の楽しみとしたい。

  • 森見氏10年間の対談集。
    あー森見さんて喋るんだ(笑)

    関西では頭のいい人をことを「かしこ」と言ったりします。
    「かしこ」やなぁと思うのです。

    森見氏は、
    もう「かしこ中のかしこ」です。

    私が初めて読んだ森見作品は「恋文の技術」でした。
    読みながら「この人何者?」
    と思ったことをよく覚えています。

    最初から最後まで口角上げたまま読みました。

    かしこの森見さんは
    かしこの回りをまあるいやさしさで囲んでいる人やなぁと思います。

    そんな森見さんが見え隠れする対談集でした。

    万城目さんとの対談がそこはかとなく面白かった。

  • 京都の町を流れる風情と怖さの間にある気持ちの悪さ。昼間は見えなかったものが、おどろおどろしく露わになる気味の悪さ。森見登美彦が醸す一種独特の狂気が様々な著名人との対談を通して形をもって立ち上がってくる。小説を読んでいたときは気づけなかったものに触れ随所でハッとさせられた。とりわけ京都つながりの綾辻行人氏、万城目学氏、綿谷りさ氏との対談は頗る興味深く読んだ。森見氏の新たな真髄を見出せた。

  • 好きな作家さん
    対談集なので、流し読み。

  • p.77
    全裸にアルミホイル巻いてるバンドとか体育祭という名のイベントのために夜どおしティッシュの花作るとか、アホなことをやってるのを見て「すごいアホやなぁ」と思ってたら、就職先はむっちゃええとこやったりして「そっか、京大やった」みたいな人がいました。
    P.198
    中学生くらいまでは素直に書いてるからよかったんですけど、高校生くらいになるとへんな知恵がついて、カッコつけるようになって。
    違う「カッコいい自分」で描いてもダメですよね。「自分」で描かないと。

    まあまあ面白かったです。

  • 対談した人~劇団ひとり(小説が売れた)万城目学(森見さんの3級上)瀧波ユカリ(漫画家)柴崎友香(1973生まれ大阪出身の「春の庭」芥川賞作家)うすた京介(すごいよ!!マサルさん)綾辻行人(1960生まれ京大出身のミステリ作家)神山健治(アニメ「東のエデン」の監督)上田誠(四畳半神話体系をアニメ化した脚本家)羽海野チカ(3月のライオン)大江麻理子(もやさま・テレビ東京アナウンサー)萩尾望都(1949生まれ)飴村行(1969生まれ東京歯科大中退の粘膜シリーズ作家)本上まなみ(1975生まれ)綿谷りさ(1984生まれ「蹴りたい背中」芥川賞作家)昔の森見登美彦~仕事がらみの人が多いね。この絡みからサマータイムマシーンブルースが生まれる。万城目さんの方が下だと思ってた

  • 森見登美彦の人となりに触れることができる対談集。
    ご本人は「ぐるぐる」と評されているが、そんなこともなく非常に充実した、或いは緊張された雰囲気が伝わってきた。
    「なんだかんだと言いながら貴方自身も『リア充』ではないかこやつめ!こやつめ!」というなんとも仄暗い感情を抱えながら読了。

  • 森見登美彦の対談集

    本上まなみが好きだったんだなぁ(笑)
    この対談集を読むと、太陽の塔とかもう一回読みたくなる

    今でこそバラエティ豊かな主人公達だけど、確かに初期の作品は腐れ大学生ばっかだったね
    個人的には腐れ大学生の話は好きだ
    恋文の技術は腐れ大学生をベースに研究者っぽい要素もあって尚良し

    羽海野チカも帯や解説を手がけたりしてたなぁと思い出した

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森見登美彦の作品

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