ペガサスの記憶

  • 小学館
3.58
  • (6)
  • (27)
  • (23)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 342
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093888608

作品紹介・あらすじ

桐島洋子と三人の子供たちが繋ぐ家族の物語 「この伝記を読めば、なぜ私たちが桐島さんにあれほど熱狂したかわかる」・・・林真理子(作家)フリージャーナリストとしてマス・メディアで活躍するかたわら、未婚のまま、かれん、ノエル、ローランドの三姉弟を育て上げ、「女性の自立と成熟」の代名詞として女性の絶大なる人気を集めた桐島洋子による、破天荒で波瀾万丈な自伝に加え、三人の子供達が、母への思いを存分に綴った、最初で最後の「桐島家」本格自叙伝。長年の桐島洋子ファンをはじめ、自分らしく生きることを模索する現代の女性たちに、年代を超えて勇気と元気を与えてくれる1冊。「大胆不敵で聡明で驚くばかりの行動力。お嬢様育ちで女王様のようでもあり、恋をすると熱烈――」(桐島かれん)「人間としての母に対する私たちのリスペクトは揺るぎないものです。その絆はどんなことがあっても変わりません」(桐島ノエル)「現代のシングルマザーたちが置かれている環境も大変ですが、母の生き様が少しでも励みになってくれたら幸いです」(桐島ローランド)今こそ知りたい! 「桐島洋子」という生き方

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 桐島かれんさんのお母様洋子さんの自叙伝になるはずが筆の途中で認知症をわずらい5年の空白の後、子供たち(かれん、ノエル、ローランド)の追記により仕上がった本でした。

    洋子さんは私の親世代でその生き方も全く存じ上げませんでしたが、その時代の日本人女性としては破天荒(今ならもっと考えられない!?)と言えるのではないでしょうか。読んで仰天しました、子供たちもさぞや苦労しただろうなと。独立心、自立心の権化。でも三人のお子さんは本の中で皆洋子さんを尊敬し、労り、慈愛に満ちていました。

    この本を読むと、日本という国が窒息しそうながんじがらめの国なんだなぁと思います。中にいるとこれが当たり前と思って日々あまり気になりませんが、世界は広くもっと伸びやかに暮らせる処も沢山あるのだなと。

    林真理子さんがお薦めしてた記憶。図書館でなんと10ヶ月も待ってようやく私の元へ。とても興味深くて1日で読了でした。

  • 三菱財閥の一族の1人として育った筆者。舞台は上海、葉山、東京と次々移り変わる。勤務先の文藝春秋には仮病で2ヶ月の休暇をとってる間に第一子かれんを出産。第二子ノエルは世界一周旅行終盤の船上で出産。第三子はベトナム戦争従軍記者として日本を離れいる間に..。そして、3人すべてアメリカ海軍中佐との隠し子なのだから、筆者の人生そのものが小説より奇なり、の面白さ。至って真面目で、大胆不敵。聡明で驚くばかりの行動力。

    この小説は前半は桐島洋子の回顧録、後半は筆者洋子の3人の子どもたち、かれん、ノエル、そしてローランドの3人の手記から成っている。子どもの立場から見た親の姿の描写が親である私として、大変面白い。

    編集者、文筆家であり母親でもあった洋子の真実と、3人の子どもたちから見る真実。人間として母をリスペクトしそれぞれが母親を支える姿は、複雑でありながら美しいと思う。

    常識に囚われて、べき論を掲げてしまう母親である自分に恥ずかしくなりながら、彼女の型破りな行動力と桐島家という血筋に羨ましくもなる一冊。

  • 大学合格祝いのコンポステレオとともに上京した私には、そのカタログの表紙の桐島かれんさんは、憧れの都会の少女でした。
    媚びない、アンニュイな表情。
    有名な御一家、きっと煌びやかな日々に違いないと、想像していた人も、ひとりの少女として沢山のことを感じながら暮らしていたのだ、と。
    桐島洋子さんのファンとしても読み始めたこの本には、表紙の写真通り、家族の想いがいっぱい詰まっていました。

  • 「聡明な女は料理がうまい」という素敵なタイトルの著書があることくらいしか桐島洋子を知らないのだが、家族ぐるみで書いた最新刊が出たということで、内容も知らないまま読んでみた。
    驚いた。
    前半は完全に桐島洋子の自伝である。想像もつかないほどのお嬢様として育ち、戦後ありえないほどの没落を経験し、都立駒場高校から文藝春秋に入って活躍するも婚外子の極秘出産を重ねるため退社、世界一周の末帰国前夜の船上で第二子を出産……とても一人の人間のうえに起こった事実とは思えない経歴である。時代性もあったとはいえ、生粋のヒロイン体質といえるであろう。そのうえとにかく筆が立つので自分自身のことを面白おかしく書き作れるのであるから、なまじなドラマを観るよりも断然面白い。
    ところが物語はその第二子誕生でブッツリと途切れてしまい、そこから先は3人の子供たちによるリレーで話が進むのである。それぞれに有名人な子女ではあるが、とても母のようなヒロイン気質でもなければカリスマ性もない。物語は淡々と進み、それなりの山や谷はあるもののカタルシスは特にないまま、現在へと至る桐島洋子とその家族の物語が語られていく。
    これはいったい何?
    キツネにつままれたような気持ちで「あとがき」にたどり着いた時、はじめて事情がわかった。桐島洋子はアルツハイマー型認知症となり、症状の進行により連載が続けられなくなったため、その続きを子供たちで書き継いだということなのだそう。
    病気は不可逆であるからこういう形しかなかった、いや、こういう形ででも前半をそのまま読める形で世に出たのは良かったとは思うが、最後まで桐島洋子の筆で読みたかったというのが正直なところではある。ただその場合は、子どもたち、特に桐島かれんが書いていたような母への愛憎や葛藤はなかなか読み取れない内容になっただろうし、物議を醸した結婚相手との経緯もおそらく全く違った形で語られたであろう。子どもの立場からの客観的な描写を知った後だと、さらに、桐島洋子自身がこの時期をどう書いたかにとても興味が湧くのであるが、これは無い物ねだりかもしれない。
    ちなみに、子どもたち3人の文章のうち、上ふたりはまあフツーの文章なのだが、末っ子長男ローランドの文章はなぜかメチャメチャ日本語のうまい外国人のしゃべり口を彷彿とさせた。ピーター・バラカンとかパトリック・ハーランとか。この部分だけ口述筆記だったのかなあ。どうでもいいことでした。

  • アルツハイマー性の認知症の家族をもつ人の体験が知りたくて読んでみた。前半は桐島洋子さん自身が書いた半生記。他にもどこかで読んだり聞いたりしたことのある話が多く、多くの人に語るうちに完成した「美化された思い出」という印象。桐島氏自身はシングルマザーになるのを厭わなかったのかもしれないが、結婚している男性が若い女性と付き合うのに、なぜ避妊をしないのだろうか? いくら昔のこととはいえ、理解できない。後半は、子どもたちの側から桐島氏が語られる。有名な母をもつ大変さを語るが、その言葉の端々に一人ひとりのささやかな愛情がのぞく。こちらはリアリティがあって面白い。母にエッセイで描かれていたアメリカでの生活も、一人ひとりのキャラクターの違いと、そのときの年齢によりまったく違う経験として語られる。変わった親をもつ兄弟同士の絆には、特別なものがあるようで、そこも面白かった。

  • 面白くて一気に読んだ。桐島洋子さんのことは全く知らなくて、お子さんの名前を聞いたことがあるくらい。もっと上の世代にはすごく有名なのだろうけど。

    前半は洋子さんが、後半は3人のお子さんからそれぞれ桐島ファミリーの人生が語られる。

    圧倒されるほど力強いある女性の一生。
    (注:ご存命です)
    信じられない!と思う話ばかりでびっくり。
    戦前のセレブな上海生活、結婚という制度無視の自由な恋愛事情、何より子どもを産む時の腹の座り方。船の上で産む話は衝撃的。
    葉山、アメリカ、カナダでの生活。大胆で豪快な人。まっすぐ芯がある。

    ただ子どもを預けて自由に働くことは相当反発されただろうなぁ。こんな人がいたなんて!

    素敵だとは思うけど、自分の母親は普通でよかったと思ってしまいました笑

  • 子供を1年間も病院や知り合ったばかりのアメリカ人家庭に預けたりする。家庭のある人と恋愛し相手の家庭を平気で壊す。子供の居場所を無くすような男性と結婚し、子供に絶縁状を書かれる。それにも関わらず、子供3人がひとかどの大人になり、それぞれに活躍し、母を尊敬していることに驚きしかない。
    世の中本当に不公平。

  • 桐島洋子さん、これまでに本屋でエッセーの類いを目にすることがあり「どんな人なんだろう?」とうっすら思っていました。イメージとしては“聡明であり大胆な明るい女性像”を描いていました。

    長女である桐島かれんさんの写真集を以前から集めており、かれんさんのインテリアに対する独自の世界観、また家族や人々に対する包み込むような愛情を感じて自然と惹かれていました。そのかれんさんの本の中に母である桐島洋子さんの話が度々載っており、どんな方なんだろうと思い、本書を手にとりました。

    結果、とても興味深かったです。
    本書の前半は洋子さんご自身が自分の人生を振り返り途中まで綴ったもの。後半は、お子さん3人がご自身たちの思いも含めてお母さんの残りから現在までの人生を綴ったものになります。
    自由奔放に生きること、自分の意思に忠実に生きること、自由を選択し続ける人生は、強さがあるからこそ成し遂げられることなんだなと感じました。と同時に、その意思を持ち続けることはまわりの環境をも時として焼き焦がしてしまう、とも思いました。

    桐島洋子さんの生き方を、洋子さん自身が書かれた瑞々しい文章によって、またお子さんたちの率直な思いが綴られた文章によって、様々な視点から解きほぐされた一冊でした。

    長女であるかれんさんのインテリアを選ぶ上での素敵な世界観、また家族に対する深い眼差しがどのように作られたのか、少し理解できたような気がします。



  • 子供の頃母が桐島洋子の事を奔放な女、3人の子供のお父さんがみんな違うって言っていた。(実際は同じお父さん)でもなんか憧れがあったのかな?本は読んでたもんな。今この本も読みたいって言っているしな。面白かった。ノエルさん誕生の先も読んでみたかったな。

  • 何てチャーミングな文章を書くのだろう。引き継いで書かれた3人の子供からの目線も面白いが、やっぱり桐島洋子さんの文章に惹かれる。彼女の人生は到底まねできるものでもないし、考え方も自分とはまるで違うし、破天荒すぎて羨ましいとは思えない。けれど、そのドラマチックな人生を、嫌みもなくチャーミングに書いてしまう彼女はきっと文章以上に魅力的な方なんだと思う。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

桐島洋子(きりしま・ようこ)
1937年東京生まれ。文藝春秋に9年間勤務の後、フリーのジャーナリストとして海外各地を放浪。70年に処女作『渚と澪と舵』で作家デビュー。72年『淋しいアメリカ人』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。以来メディアの第一線で活躍するいっぽうで独身のまま三人の子どもを育てる。娘のかれん(モデル)、ノエル(エッセイスト)、息子のローランド(カメラマン)はそれぞれのジャンルで活躍中である。子育てを卒業した50代から林住期(人生の収穫の秋)を宣言してカナダのバンクーバーに家を持ち、1年の3分の1はバンクーバーでの暮しを楽しんでいる。また70代からは自宅で私塾の森羅塾を主宰している。『いつでも今日が人生の始まり』(大和書房)、『残り時間には福がある』(海竜社)、『骨董物語』(講談社)、『バンクーバーに恋をする』(角川SSコミュニケーションズ)、『わたしが家族について語るなら』(ポプラ社)、『聡明な女たちへ』『50歳からのこだわらない生き方』(大和書房)など著書多数。
公式サイト http://www.yoko-kirishima.net


「2022年 『ほんとうに70代は面白い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桐島洋子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×