手塚治虫の冒険: 戦後マンガの神々 (小学館文庫 R な- 1-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 62
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094025217

作品紹介・あらすじ

手塚治虫の死に触発されて書き始められた、マンガ評論第一人者の著者による戦後マンガ史の徹底的な考察。日本のマンガはなぜ、そしていかに隆盛したか。戦後マンガの「表現」はどのように成立したか。著書『手塚治虫はどこにいる』をテーマに行なわれた計8回の講議録をもとに、「しゃべるようにして書きおろされた手塚論」の集大成。手塚治虫作品の解読はもちろん、白土三平、水木しげる、つげ義春、大友克洋など、意欲的に同時代作品との比較研究をすすめ、戦後マンガの表現がどのように展開してきたかを徹底的に解き明かす。手塚ファンはもちろん、マンガとともに育った大人たち必読の、初の本格的「戦後マンガ史」研究書。

感想・レビュー・書評

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  • 手塚と表現が主題だと思います。特に劇画について取り扱っていて手塚が時代の流れで劇画を取り入れなければならなかった。アニメチックでギャグ的な表現方法は初期と比べると後期にはある程度消化された。目の大きさや必要以上のリアクションや寒いギャグが改善されたようだが表現上その中でも良いものを残しつつ進化したようだ。時代の流れに悩む手塚を分析したものである。

  • キャラの内面描写を可能にした描線や、その感情や行動を一瞬にしてわからせるマンガ記号、コマの分節による時間の流れなど、今日のマンガ表現の基本を作った手塚治虫。作品論や作家論ではなく、「マンガの描かれ方」という表現論で評しているのがミソ。自分で模写をする著者だからこそできる解析だと思う。常にマンガ界の一線での表現者でありたい、という思いから手塚は自分で生みだした制度を、他で起こった新しい流行を取り入れるために壊しては再構築を試みる。手塚が自らの表現方法を求め、何を取り入れてゆき、何を取り込めなかったのか、白土三平、梶原一騎、水木しげる、大友克洋など、その時代その時代での手塚のライバル作家たちの作品などもとりあげながら仔細に検証していくのだが、その軌跡はまさに「冒険」と呼ぶにふさわしい。

  • 手塚治虫のマンガを読まないと理解できない部分が多かった。
    まあ、読めばいい話ですけどね。多いんだもん。

  • 求めている物に出会ったと思った本。

  • 本書は全8回の連続講義をテープおこしして一冊にまとめたものです。タッチや線の引きかた、コマの割りかた、表現方法等を他の漫画家の作品と比較して考えていく評論の方法(いわゆる表現論的アプローチ)は画期的で、また読んでいて非常に面白いです。夏目房之介の漫画に対する想い入れ、そしてバックグラウンドの成せる技でしょう。

    ということで、基本的には手塚治虫に関する本ですが、同時に、白土三平や大友克洋にも詳しくなりました(笑)。

  • あれだけ人気も実力も影響力もある人が、ずっと試行錯誤を続けていたということに驚いた。白土三平の劇画の当時としては「リアル」な描写であったり、水木しげるの不必要なくらい丁寧な背景や点描などが、当時の手塚作品に強い影響を与えているのが面白かった。

  • 悩み多き神様だ。

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著者プロフィール

漫画コラムニスト、マンガ家、エッセイスト。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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