- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094061185
作品紹介・あらすじ
至純の愛を描く心ふるえる恋愛小説
物語は、十年前の展覧会場から始まる。画家の卵である主人公は、そこで初めて「わたしだけの神様」に出会う。二十歳以上年上の彼は額縁職人だった。すぐに〈わたしたち〉は愛しあう。でも、恋は一年しかつづかなかった。そして十年後の再会。〈わたし〉は高校の美術教師になっている。三十八歳。再会はホテルの一室だった。そこでの優しくて官能的な性描写は、ため息が出るほど美しく、嘆賞に価する。
〈わたし〉が唯一気に入っている自作の絵は「夜の街なみ」を描いた風景画だ。「夜の風景は、いかなる光を浴びせられても夜のままなので安定しているし、すべての色を使うには昼よりも夜のほうが描ききれると、わたしは考えている」。その絵を見た高校生の教え子たちはこう感想を述べる――「誰も愛しあわなかった夜みたい」「愛しあうって、どういうこと?」「セックスだろう」「誰もセックスしなかった夜みたい」
物語は、〈わたしだけの神様〉の死、感動的な終結に向かって静かに穏やかにながれていく。
感想・レビュー・書評
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自分が好きな小説は空気が動いているものだとこの本を読んで分かった。
お話の中で登場人物が自在に動き回り、
私の前に飛び出してきそうな感じが好き。
残念ながら、この作品は違ったけれど…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書かれているのは時間、である。
あのひとと私が経てきた時間の差を埋めるように、ゆっくりと重ねられた言葉である。
完全にタイトル勝ちな題名である。
できれば裏表紙の梗概も帯の惹句もなにも見ないで読んだ方が良いかと思われる。
何ならこの題名も意識しない方が良いかもしれない。