活字オタクの主人公、侃があるきっかけで、高校のテニス部に入る。初心者のため、最初は思った通りに出来なかったが、練習に練習を重ねてどんどん上手になっていく。
憧れの女子、三角関係、ライバルとの競争、高校生の部活ならではの話題は、懐かしさ、胸キュン、いろんな思いが溢れてくる。
あるとき、自分の不注意で部活の大事な友達に怪我をさせてしまう。そこからテニスが続けられなくなり、侃は心を閉ざしてしまう。
そのとき、侃が辿り着いた場所は田舎に住む自分の祖父の家。認知症なのかどうなのか微妙な態度のお祖父ちゃんと暮らし、田舎の子供たちと接し、改めて、自分としっかり向き合うようになる。
美しい田舎の風景は、読んでいて、どんどん想像できた。
緑色の木々、広い海。これらが、侃のカチカチに凍った心を少しづつ溶かしていく。
中学生や高校生が読むと、自分と重ね合わせ、無理難題にぶつかったときに、自分の心の栄養剤として、とてもいい本だと思った。
大人が読んでも、当時のしょっぱさ、甘酸っぱさが味わえる、ザ・青春がたくさん詰まった本です。