大脱走 (小学館文庫 あ 19-8)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063929

作品紹介・あらすじ

「オケ老人!」作者が描く新しいお仕事小説

中堅よりやや落ちるレベルの女子大を卒業した片桐いずみは、就活で大苦戦し、ようやく住宅リフォーム会社に内定した。しかし、入社早々、理不尽に怒鳴りまくる部長・大木田の姿を目にして生ぬるい空気が一変する。
それから、3年。なんとか社内でのポジションをキープしながら鬼の飛び込み営業を続けていたある日、片桐に新人の部下が付く。だが、これが、前代未聞のとんでもないやる気のない男だったのだ。連日連夜、超絶無気力新人・俵の教育に骨を折るものの、一向に改善の余地は見られない。業を煮やした大木田はある策に出るのだが――。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから、仕事辞める話しかとおもったけど、脱走しなかったね。
    すごく頑張った!よく頑張った!!!
    と感情移入してしまった。
    自分も頑張ろうと思える本だった。

  • ブラック企業に悪い意味で大型新人登場、彼が刺激剤となって企業の体質が変わる? 彼が社会の闇や矛盾を鋭く突き、さらに自身も成長する?
    とはならないんですよ…。
    その考え方はある意味聖人…、いや、違うな。
    彼の生き方から寓意的なものが…、いや、引き出せんわ。
    肩透かし(?)を何度かくらい、読後感は意外にいい。
    不思議なおもしろさでした。

  • 大脱走というタイトルがいまひとつあっていない気はする。

  • 楽しめるストーリー
    一方で多様性の尊重はいいが普通に働く方がバカを見る世の中は変わってほしいと感じた
    いろいろと多様性を主張する日本になってきたのなら大人になったら就職して真面目に働かなきゃいけないって教育自体まず変えましょうよ

    せっかく楽しく読んでいたのに違う事でイライラしてしまった

  • ブラック会社に就職してしまった女性が会社での立ち位置も見つけながらも、新しい部下の新入社員がとんでもなくやる気のない子だった事に端を発するお話


    就職難の中、中堅レベルの女子大の片桐いずみはギリギリのところで住宅リフォーム会社の社長に雇ってもらえることになる
    しかし、初出社早々に理不尽なルール、罵声罵倒、コンプライアンス違反な飛び込み営業、安月給という事実に直面
    しかし、就職難の時代、退職という選択肢を考える事もできず、なんとか自分なりの営業方法で結果を残そうとして会社に残る
    3年後、クリーンな営業を心がけながらもある程度の結果を残すという形で自分との折り合いをつけていた片桐に新人の部下が任された
    新人の俵は遅刻、サボり、言い訳と全くやる気を感じない男で、対応に困る
    新人ながらもノルマだけは一人分としてチームの数字を負わされた片桐は休日も返上で営業をしたところ、人のいい認知症と思われる老婆宅に出くわす
    グレーゾーンと知りつつも契約を交わした片桐に襲いかかる怒涛の展開



    えーっと、この会社のモデルってあったりする?(笑)
    やたらと気合いの入った朝礼、飛び交う罵声、本来の目的ではないフロントで訪問してアポ取り、アポ要員とクローザーの分担、歩合制、工事は自社では行わない営業会社、高い退職率で入れ替わりの激しいとか

    なんか、いくつも共通点がある会社知ってるー(笑)
    大丈夫、コンプライアンス違反はしてない、そう、グレーではなく白
    だよな?
    まぁ今の現場は知らないけど、社員にも昔ほど厳しくあたってないんじゃなかろうか?と希望的観測


    最初は片桐さんに共感を覚えていたんだけど、俵を相手にしているところなんかは会社に染まっているのが伺えてちょっと残念な気持ちになる
    ま、最終的には思い直しているからいいんだけどね
    真っ当な会社にするって大変でしょうねぇ


    大木田も「こんな嫌な人いるー」と思いながらも、中盤からは同情的に思える
    その選択肢は悪手だろ?と思うけど、追い詰められると正常な判断ができなくなるもんなぁ


    認知症のお客さんと契約というのもどこで線引するかだよね
    どうやって認知症と判断するかだけど、世の中には変わった応対をする人もいるし、少しでも疑いを感じたら契約しないとなると営業が成り立たない場合もあるし
    となると年齢で区切るのが現実的か?
    しかしまぁ政治家や経済界の重鎮のように、老齢が当たり前で判断を任されるポジションというのあるからね

    後で「そうは見えなかった」というしらを切って見逃されればいいというわけでもなく
    本来は契約可能な条件を明確に規定しておくべきだよなー


    トマトの品種改良だけど
    トマトってそもそも原種は厳しい環境の植物だし、水も栄養もそんなに必要ない植物なんじゃなかったか?
    水をやりすぎると水っぽくなるというのも本来の性質なわけで
    なので、手をかけないほどいいという生育条件もそんなに間違ってもない気がする
    ただ、雑草も抜かなくていいというのまでいくと、現実的ではないかなとは思う


    裁判の証拠に関してだけど
    認められないんじゃないかなー
    本来だったら動画とかの提出になるんだろうけど、それだと個体の特定という意味で難しくなるわけで
    となると実際にその場でということか?
    まぁ、所詮はフィクションですしね


    タイトルが大脱走という事だけど
    ちょっと違う気がする

    「大逃避」「大脱力」「大サボり」
    そう、「全力サボり」が一番近い気がする

    けど、インパクトとか語呂が悪いので、「大脱走」が適しているのかねぇ

  • ブラック企業の事で入りにくい

  • 荒木源作品をチェックφ(..)

  • ブラック企業に立ち向かうぎりぎり昭和生まれの女。
    面倒くさいことから避けるための努力だけは惜しまない、無欲な平成生まれの新人。
    なんのために働くのかが人それぞれなのと同じく、ブラック企業に勤めてしまった人々がどう立ち向かうのかも人それぞれ。
    個人的には無欲な新人くんの行く末が、想像できそうでできないので、ぜひ続編を期待したい!

  • 自分も主人公と同じ世代で就職氷河期だったので、ストーリーに共感できた。
    ブラック企業を辞めたらいいというけれど、生活がありやめられない。主人公たちのギリギリの心境が、読んでいて胸が締め付けられた。
    それと対比するように生きる新入社員の姿。
    どちらの生き方がいいとか、悪いとかではない。
    日本で働くということは、兵士として戦ってるということと同じ意味をもつ気がしてならない!

  • ブラックしかなかった。残ってなかった。
    就職難の今の世の中、ブラック企業であっても仕事があるというありがたさ。
    そんなありがたいという気持ちをうまく利用する経営者。負のループ。
    そんな負のループに立ち向かう新入社員の物語。

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著者プロフィール

1964年、京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー。2010年『ちょんまげぷりん』が錦戸亮主演で映画化され、2016年には『オケ老人!』が杏主演で映画化された。著書に『探検隊の栄光』『けいどろ』『大脱走』『ヘビメタ中年!』『独裁者ですが、なにか?』『早期退職』など。

「2019年 『残業禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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