荒野の古本屋 (小学館文庫 も 27-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 178
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094068610

作品紹介・あらすじ

「一冊の本だけしか売らない書店」誕生前夜

ベストセラーとして話題を呼んだ単行本がついに文庫化!前代未聞の「一冊の本だけを売る書店」として、今や国内はもとより海外からも注目を集める銀座「森岡書店」。その人気書店誕生前夜の物語。大学卒業後、本と散歩に明け暮れたモラトリアム期、神保町の老舗古書店で日々勤しんだ修業時代、その後、茅場町というビジネス街で古書店を成功させるまでをリリカルに描く。「店内にはシューベルトのニ単調ソナタがブツ、ブツという音とともに鳴り響いていた。たしかにこちらもあまりに牧歌的に長すぎる。LPレコードのかなたのピアニストも、二律背反のなかでもがいているのだろうか」「私のようなものがこの時期に独立することは、荒海に飛び込んでいくような行為ではないか。独立はとんだ落とし穴なのではないか」「見渡すかぎりの荒れ地。風はそのあいだを土煙を巻いて、侘びしく吹き抜けた。住所はさしずめ東京中央区無番地といったところだろう。私はそこに古本屋を開いてしまった」(本文より)。本を愛する人、書店、ブックカフェを開いてみたい人、書店に関わる人すべて必読の一冊。解説はエッセイストの酒井順子さん。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化!

    「自著を語る」森岡督行『荒野の古本屋』|本の窓
    https://shosetsumaru.tameshiyo.me/M202102JICHOMORIOKA

    荒野の古本屋 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09406861

  • 森岡督行『荒野の古本屋』小学館文庫。

    牧歌的な古き善き時代の香りが漂う自伝的な作品。珍しい『一冊の本だけしか売らない書店』である森岡書店を開店させるに至った過程が綴られる。

    昭和の若者が描いたエッセイを読むかのようだった。しかし、これが本当にベストセラーなのかという感じだった。著者独自の考え方を押し付けられるばかりで、今一つ『一冊の本だけしか売らない書店』のコンセプトや必要性が全く伝わって来ないのだ。

    著者は大学卒業後に本と散歩に明け暮れたモラトリアム時代から、神保町の老舗古書店・一誠堂書店での修業時代を経て、森岡書店を開業する。

    本体価格560円
    ★★★

  •  定職に就かずに散歩と読書三昧の日々を過ごしていた若者が、あることを奇縁に神保町の老舗古書店一誠堂書店で勤務することになり、古書との関わりを持つ。数年後、茅場町にある建物・スペースに出会い、ここで古本屋をやりたいと一念発起、古本屋「森岡書店」を開業する、その道行きを描いたもの。
     
     他人からは、やることが決まらずブラブラしているように見えたであろう著者が、一誠堂書店での修業時代を経て、自分のやりたいことをしようと独立開業。プラハやパリでの写真集買付けのバイタリティに感心したし、ギャラリーやスタジオ、対外宣伝誌の古書目録刊行と、既成概念に囚われずに新たな書店の在り方を目指す行き方が、新鮮に感じられた。

     文庫版では、親本刊行後の変化ー特に、銀座で、一冊の本だけを売る書店をオープンさせたことーが、あとがきに綴られている。一度、是非訪れてみたい。

     

  • 一冊の本しか売らない、個性的な本屋を営む森岡督行さんのエッセイ本。
    正直、知らなかったー!ってなりました。
    万世橋のとこも岡山県のSOHOも聞いたことある。万世橋は行ってるけれど、それをプロデュースした古本屋のオーナーの事は知ろうとしたことがなかった。。。
    読み初めは、あぁ、昭和かぶれな本好きの方が好きな事生業にしている的な人生譚かなーと思っていました。
    が、なかなかどうして、ドラマチックです!
    まだ五十路前かと思いますが、それでも己の仕事の話で本が完成するくらいに、紆余曲折ありの、本好きが共感、震撼、嫉妬、羨望するような経験を多々されていました。
    本読み趣味な人が一度は憧れる、自分の書店、、、。実現するだけでなく、新たな取り組みにもガンガン向かっていく経営者としての確かな能力、羨ましいです。
    じゃあやるかと言われると、とても勇気が無くて踏み出せませんが、やっぱり羨望の目で読んでしまう。
    自分の書店を夢想したことのある本読みさんに読んでほしいエッセイです。

  • 本好きにはただの読書好きと、書物という存在が好きな人がいます。当然書物という存在が好きな人も読書好きだとは思うのですが、前者は本そのものに思い入れが少なかったりするので、その本が貴重だとかは関係ないんですね。あくまで自分にとって面白い本が読めればそれで良しとするタイプ。これは私が当てはまります。
    そして後者のタイプはこの森岡書店さんや、その周辺の本好きの人たちが当てはまるでしょう。本という存在を愛している人。オブジェとしても書物を愛している人です。
    何しろ東京の中心部で1冊だけ本を展示して、その関連のものも展示するとか意識高すぎでしょう。正直行こうとは思わない書店なのですが、その成り立ちにはとても興味が有ります。
    書店としては興味の外なのですが、昭和趣味というか古い建物や物が好きなのでそちらの方で反応しました。中野ハウスという建物見てみたかった。どんな建物だったんだろう。

  • 最高の読書体験だった...!

    読書と散歩、そして古い建物が好き......。冒頭のモラトリアム期の著者に共感の嵐で、ぐいぐい読み始めました。
    「坑夫」というワードが道を開くポイントになっているのも面白い。こじつけかもしれなくても、それにまつわる出来事や偶然の出会いに運や縁を感じて逃さず、次に繋げる行動力に脱帽。
    いつも自分の感じたこと、考えたことをシンプルに大胆に行動に移していて、まるで小説のような展開に次はどうなるのだろうと読んでいてワクワクしました。
    今まで勝手に著者に対してお堅い人なのかな...という印象を持っていたのですが、文章からとてもユーモアのある明るい人柄が滲み出ていて、印象がガラリと変わりました。

    また、知らない本や人、店などが多々登場し、行ってみたり読んでみたりしたい好奇心をつつかれます。自分の世界に奥行きをもたらしてくれました。
    初めて森岡さんの本を読みましたが、他のご著書もぜひ読みたくなりました。

    とても面白かったです!

  • ふむ

  • 茅場町で古本屋を開き、今は銀座で週に1冊だけ同じ本を売るという面白い売り方をしている森岡書店を経営している森岡督行さん。

    その森岡さんが、神保町の古本屋で修行し、自分の店を開業し、軌道に載せるまでの行動や思考が描かれている。

    特にプラハとパリに買い付けに行った場面は、不安と緊張と安堵が伝わってきて、読み応えがある。

    ひょんなことから古書店にギャラリーを開くことになり、そこから写真家の平野太呂と繋がり、POOLという傑作を展示することになる。

    好きなことを仕事にする。
    古本屋を開業し運営していく様子に、きっと勇気をもらえる人も多いはず。

  • 著者が森岡書店を独立開業するまでの話。とにかくギリギリな状況での著者の幸運を引き寄せる力?に驚かされた。嘘みたいな本当の話が沢山書かれていて面白い。でも運命に向かっている時って、確かにこういう信じられないような展開ってあるよなあ、、と思う。
    書店は昔訪問したらお洒落で敷居が高い印象だったけど、本書を読んで、著者の気取らない語り口に親近感が湧いた。

  • 一冊の本にまつわる展示会を催す体験型の書店を営む著者による自伝。今で言うモラトリアム期を経て、神保町の老舗古書店へ就職。そこから独立開業に至るまでの半生を振り返る形式だが、書籍化に際して内容を削りに削った顛末が見て取れるほど、何とも奥行きに欠ける仕上がり。リリカルと言えば聞こえは良いが、こなれていない朴訥な文章からは著者の人物像が今ひとつ浮かび上がってこなかった。ギャラリー開設後の随筆は殊更書店のリピーターに向けられたきらいがあり、一見さんには尚更取っ付きにくい。最初から最後まで相性の合わない読書でした。

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著者プロフィール

1974年山形県生まれ。森岡書店代表。著書に『荒野の古本屋』(小学館文庫)、『800日間銀座一周』(文春文庫)などがある。共著の絵本『ライオンごうのたび』(あかね書房)が全国学校図書館協議会が選ぶ「2022えほん50」に選ばれる。現在、小学館「本の窓」オンラインにて『銀座で一番小さな書店』を、資生堂『花椿』オンラインにて『銀座バラード』を連載中。「森岡製菓」の屋号でお菓子の販売とプロデュースも手掛ける。

「2023年 『ショートケーキを許す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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