まぎわのごはん (小学館文庫 ふ 27-1)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094070316

作品紹介・あらすじ

現役医師が描く圧巻のデビュー作!

修業先の和食店を追い出された赤坂翔太は、あてもなく町をさまよい「まぎわ」という名の料理店にたどり着く。

店の主人が作る出汁のおいしさに感動した翔太は、店で働かせてほしいと頼み込む。念願かない働きはじめた翔太だが、なぜか店にやってくるのは糖尿病や腎炎など、様々な病気を抱える人ばかり。

それもそのはず、「まぎわ」はどんな病気にも対応し、患者に寄り添った食事を提供する、特別な食事処だったのだ。

塩一つまみ気軽には使えない店の正体に戸惑いを隠せない翔太。そんな中、翔太は末期がんをわずらう元モデル・如月咲良のための料理を作ってほしいと主人に依頼され――。

病と向き合う若き料理人の葛藤と成長を現役医師が描く、圧巻の感動作!

感想・レビュー・書評

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  •  小学館が創設した「食」に関する新レーベル「おいしい小説文庫」。2020年、コロナ禍の非日常だからこそ、食小説を通じ読者の心に彩りを添えたい、との思いで立ち上げたとのこと。その内の一冊です。

     ところで、現役医師兼作家さんて結構いらっしゃいますね。本書の著者・藤ノ木優さんもそうで、本作がデビュー作とのこと。今回初読みでした。

     末期患者専門の料理を提供する店「まぎわ」を舞台に、終末期医療の一つのあるべき姿を提示するとともに、人の心や店の流儀が解らない半端な青年・翔太が、人の想いや最後の晩餐を叶えることに喜びを見出し、料理人として成長していく物語です。

     翔太の、包丁の技はあれど心が伴わない、イラッとさせられる描写も意図的なんでしょう。そして、人へ寄り添う手段として「食」も多大な貢献要素なのだと気付かされます。
     なんだか、小川糸さんの『ライオンのおやつ』を思い出しました。食は大事ですね。

     「まぎわ」は確かに「死の間際」かもしれませんが、料理で患者に寄り添って満足してもらえるのなら、残り少ないけれども新たな「生」を燃やすきっかけとなる「出発間際」とも言える気がします。

     こんな「心」のこもった料理を提供されたら、涙なくしていただけません。架空の物語ながら、目に浮かぶ料理と本小説の提起に、心穏やかに手を合わせたくなります‥。美しい物語でした。

  • 主人公は今時?の若い男性の料理人です。
    努力はしているけれども少し先走ってしまい上手く周りとやれずにいたその時、まぎわの料理店で働く事になります。
    一緒に働く仲間と、様々な病気を抱えるお客さんとの関わりで料理人として成長していきます。
    また病気を抱えた人達の思いに触れる事が出来ます。
    自身の仕事への向き合い方、生きる事について振り返る事が出来ました。

  • 糖尿病、腎炎、アレルギー、様々な病気に対応した食事を提供する料理店が舞台。元医者のマスター、元看護師の店員、そして料理の腕に自信を持つ若き料理人、この3人が末期がん患者に最後の食事をさせる。それで、まぎわのごはんとなる訳。やはり若い人の死はつらい。ただ、店の名前が『まぎわ』でいいのかな?

  • まぎわの料理とは、「死ぬまぎわ」の料理だった⁉️
    「ありがとう。私の人生で、一番美味しくて、一番楽しくて、一番美しいご飯だった」

    「料理を作り続けて欲しい。翔太さんの料理には、人を救う力があるわ。私が亡くなった後も、沢山の人を助けてあげてね」

    現役医師が描く圧巻のデビュー作!

    修業先の和食店を追い出された赤坂翔太は、あてもなく町をさまよい「まぎわ」という名の料理店にたどり着く。

    店の主人が作る出汁のおいしさに感動した翔太は、店で働かせてほしいと頼み込む。念願かない働きはじめた翔太だが、なぜか店にやってくるのは糖尿病や腎炎など、様々な病気を抱える人ばかり。

    それもそのはず、「まぎわ」はどんな病気にも対応し、患者に寄り添った食事を提供する、特別な食事処だったのだ。

    塩一つまみ気軽には使えない店の正体に戸惑いを隠せない翔太。そんな中、翔太は末期がんをわずらう元モデル・如月咲良のための料理を作ってほしいと主人に依頼され――。

    病と向き合う若き料理人の葛藤と成長を現役医師が描く、圧巻の感動作!

  • はじめの翔太の態度にはイライラさせられたけど、本を読み進める内に、自分も翔太のように、自分本位で仕事をしているのではないかと考えさせられた。
    私も心を持って仕事をできる人になりたいと思った。

  • 翔太が少し「べらんめい口調」なのが気にかかったが、お店に訪れる親方の存在が若造の翔太に変化をもたらした
    翔太は包丁の腕はよかったが、今まではテクニックばかりで、食べる人のことが二の次になっていたことに気づく
    「相手のことを考えて腕を振るってこそ、料理と言える」との親方の発言がささる

  • 現役のお医者さんが書いたのか。なるほどー。
    終末医療、最後まで食事をすること=生きること。
    もちろん.叶わない人もいるだろうけど、なるべくそうありたい。
    そんな希望を叶えてくれる食事処に出会った和食職人修行中の翔太の成長物語でもある。
    元医者のマスター、元看護師の小夜ちゃん、闘病中の芝親方。
    登場人物もシンプルでよい。
    これはシリーズ化もありかな?
    また読みたい。

  • 最初翔太が本当になにも分かってない若造って感じなんだけど、咲良と真剣に接する事でどんどん変わって、成長が目に見えて分かって良かったです。
    様々な病気の人の苦しみに触れる、切なくも暖かい話。

  • 食ってやはり生きる上で最も大切なものだと思った。
    だからこそ、自分の食べたいもの、好きなもの、美味しいものを食べることが幸せなのだと思った。
    お医者さんも料理人さんもすごい職業。

  • こんな素敵なお店現実にはないんだろうけど、人の最期が、お料理が、人物像が全てとてもリアルで、とても泣けるお話でした。

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著者プロフィール

産婦人科医、医学博士。二〇二〇年、第2回日本おいしい小説大賞に「まぎわのごはん」を投稿し、同作を加筆修正しデビュー。

「2023年 『アンドクター 聖海病院患者相談室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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