人面瘡探偵 (小学館文庫 な 33-2)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094071146

作品紹介・あらすじ

名探偵は肩にいる!? 不可解連続殺人の謎 三津木六兵には秘密がある。子供の頃に負った右肩の怪我、その傷痕がある日突然しゃべりだしたのだ。人面瘡という怪異であるそれを三津木は「ジンさん」と呼び、いつしか頼れる友人となっていった。そして現在、相続鑑定人となった三津木に調査依頼が入る。信州随一の山林王である本城家の当主・蔵之助の死に際し遺産分割協議を行うという。相続人は尊大な態度の長男・武一郎、享楽主義者の次男・孝次、本城家の良心と目される三男・悦三、知的障害のある息子と出戻ってきた長女・沙夜子の四人。さらに家政婦の久瑠実、料理人の沢崎、顧問弁護士の柊など一癖ある人々が待ち構える。家父長制度が色濃く残る本城家で分割協議がすんなり進むはずがない。財産の多くを占める山林に希少な鉱物資源が眠ることが判明した夜、蔵が火事に遭う。翌日、焼け跡から武一郎夫婦の焼死体が発見された。さらに孝次は水車小屋で不可解な死を遂げ……。一連の経緯を追う三津木。そんな宿主にジンさんは言う。「俺の趣味にぴったりだ。好きなんだよ、こういう横溝的展開」さまざまな感情渦巻く本城家で起きる事件の真相とは……!?解説は金田一俳優でもある片岡鶴太郎氏。 【編集担当からのおすすめ情報】 続編となる『人面島』も発売決定。”人の顔”の形をした絶海の孤島でさらなる怪事件が発生……!? あわせてお楽しみください!

感想・レビュー・書評

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  • 田舎の資産家が亡くなり、相続鑑定士の三津木が依頼を受けて調査に出向くのだが、次々と殺人事件が起こる。三津木の肩に寄生した人面瘡のジンさんがバディとなり、事件の真相に迫るミステリ。

    通読10作品目の中山七里。

    本屋で平積みされた本文庫作品を発見。
    直感的にイヤな予感。人面瘡が描かれた装丁が気に入らない。あれか。カエル男の路線のヤツか。はたまたSFちっくなヤツか。

    20分ほど自問自答し、最後は勢いで手に取った。

    家父長制が残る信州の田舎町が舞台。信州山林王の本城家より、遺産相続の鑑定依頼を受け調査すると遺産の中に鉱物資源を発見。これを発端に、相続人が次々と殺害されていく…と言う展開に、100ページを超えたあたりから私の脳内で奏でられる犬神家の一族・愛のバラード。

    事件も昔ばなしの絵本の通りに進んで行くという、まさに金田一耕助ワールド全開のファンタジー強めなミステリだった。横溝 正史作品が好きな人には、きっとハマる物語ではないだろうか。

    しかしながら、私にとってはイヤな予感が的中。
    本作品は私が求める中山七里のミステリでは無かった。
    本屋であと10分、自問自答を続けておけば良かった。


    それでもきっと買っていたんだろうけど。
    人面瘡のドSなセリフがちょいちょい笑えたんだけど。
    なんだかんだ片岡鶴太郎の解説まで読んだんだけど。

  • もうバディもんやな。
    人面瘡とペアの。
    寄生獣って、マンガあったけど、あんな感じになるんかな。
    上下関係は、人面瘡の方が上っぽいけど。
    後は、王道のミステリー。
    ー何か横溝正史的な感じな話。
    血や!血!
    ドバドバの方やなく、血縁関係の方!
    古い因習みたいな一族の血で血を争うみたいな。
    もう終わっていく一族かと思ってやって来た相続鑑定士 三津木。
    ヘナチョコなんやけど、肩には人面瘡ジンさんが…
    この一族の財産は碌なんがない!しかし、よく調べると山に鉱脈がありそう。
    そこから、血みどろの相続争い。
    まさしく横溝風!

    それをジンさんが解決していくのは、まるで、眠りの小五郎(名探偵コナン)のよう…
    まぁ、うちには、血みどろになる要素がないからええけど(金ない)、ハァ〜!

    今回の大どんでん返しは、犯人とかやない!







    自分の内なる声に耳を傾けることは大切やなぁ〜!

  • 不気味な表紙とタイトルに引いてしまうが、読んでみた。
    中山作品にしては地味な内容に思う。次々と殺人が起きてくるが、最初の犯人らしき人には大いに疑問があったが、真犯人にはそうだと思った。
    人面瘡自体も主人公との関係から、他の人の目に触れる機会もあったろうにと違和感を持ったが、最後にそれとなく真相らしきものが出て納得。
    主人公と真逆な性格の人面瘡が、事件の真相を軌道修正しながら解決に導く探偵役となっている。

  • 横溝ワールドの物語
    自分としてはどちらかというと好みではありません(笑)
    相続鑑定士の三津木六兵(ヒョウロク)とその六兵の肩に寄生した人面瘡のジンさんとで田舎の財産分割協議での殺人事件の真相を明らかにしていく物語。

    家長制度がまだ残る田舎の家で、財産分割をめぐって、相続人が次々と亡くなっていきます。
    その亡くなり方が横溝ワールドです。
    絵本の物語に見立てられた殺人になっていて、
      最初のタヌキは焼け死んで
      二番目のタヌキは首を吊り
      三番目のタヌキは流されて
    という展開

    相続人のそれぞれの思惑の中、犯人は?
    そしてその真相は?
    ということなのですが、何が好みじゃないかというと、
    ヒョウロクとジンさんの掛け合い、そして、ジンさんが明らかにしていく真相という設定
    ジンさんのドエスなものの言い方もなんだかなだし、
    ジンさんが真相を明かしていくところもなんだかなだし、
    結局ジンさんの正体は?というのもそうだよなだし..(笑)
    横溝好きな人には楽しめる作品と思います。

    これ続編があるようです。

    横溝好きな人にお勧め

  • 素直で人を疑うことができない常識人、気の弱い臆病者でコミュ障気味の相続鑑定士・三津木六兵(ヒョウロク)。その右肩に寄生するのは、頭脳明晰で記憶力元抜群だが毒舌/人でなしキャラの人面瘡・ジンさん。

    このデコボココンビが、信州の片田舎、昭和の遺物のようなあしき因習(封建的家父長制)が色濃く残るの旧家で、遺産相続を巡る連続殺人事件に巻き込まれた。

    人面瘡を登場させるなんてちょっと漫画チックだな、と思ったのだが、内容的にはオーソドックスなミステリーだった。どんでん返しの切れ味はいまいちだったな。

    単行本で読んだ。文庫本では加筆修正されているとのことだが…。続編「人面島」も刊行されたが、シリーズ化されるのかな。

  • 相続鑑定士・三津木 六兵の肩には人面瘡が寄生していた。
    頭脳明晰だが、口の悪い彼を『ジンさん』と呼んでいた。

    ある日、信州の山林王・本城家の当主の財産分割協議に向かう。相続人は、息子たちの4人。
    しかし、何もない荒れた山から、貴重な鉱物資源が発見される。
    そして、長男が焼け死に、次男が水車小屋で亡くなり、そして...
    連続して起こる殺人事件、果たして、遺産目当ての事件なのか?

    ジンさんの推理が冴える傑作。
    そして、隠れた真実とは?

  • 三津木と人面瘡との会話が、なんとなくわざとらしさを孕んでいる感じがしてたんだけど最後の章がこの先のヒント?と思わせる展開。ものすごい気持ち悪さで終了。
    これは続きを手に取らずにはいられない。

  • 中学・高校時代を横溝正史を傍に過ごした私にとって、本作は堪らぬ内容…
    夢中になって電車で読み終わってしまい、もっと余韻に浸りたかった。

    古い慣習が根付く地域が舞台の殺人事件、頼りない主人公、日本らしい陰鬱とした独特の世界観、どこか淫靡でいかがわしい風情…まさに横溝作品へのオマージュ!

    横溝作品にハマっていた人ならば、犯人はどことなく想像がつくハズ。
    それでも、最後の最後まで楽しめた。

    終わり方すら横溝。

    続編に向けて心は躍る。

  • 面白かった!
    犯人が誰か、という推理小説としての面白さもあるが、個人的には主人公とジンさんとの掛け合いが楽しかった。
    人面瘡が人語を話す、ということだけでも気持ち悪いが、最後まで読んだ時、その印象が変わった。
    これまで脳内でイメージしていたジンさんの姿がガラリと変わった。
    もし、この作品を映像化したならば、かなりのホラー的な絵面になるのではないだろうか。
    特に、ジンさんと主人公が密談しているところなんて……。

  • まさに横溝的展開?

    犬神と手毬唄と…獄門島?

    最後ちょっとゾワっとしました( ̄▽ ̄)笑

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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