- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094084078
感想・レビュー・書評
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2013/04/22読み始め
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僕は時代物小説と外国ものが苦手です。だったら読むなって話なんですが、苦手を克服したい気持ちと自分の変化を発見したい気持ちからたまに気が向くと読んだりします。
この「銀しゃり」は非常に良かったです。苦手な感じもあまりしませんでした。食(寿司屋)に関する表記なんかが粋で新鮮で、とても楽しめました。
≪文中より≫ご飯に鰹節と醤油をかけて食べる事に関して
「ひとはこの食べ方をよう、猫まんななどとひでえことを言うが、それはとんだ了見違いだ。米と鰹節と醤油の三つの美味さが揃ったら、余計な添え物はいらねえ」
うーん。わかる、わかる。日本人でよかったみたいな美味しいさです。それにしても嬉しいこと言ってくれますね。
全体を通して非常にテンポ良くキレがあっていい小説です。山本氏のほかの作品も是非読んでみたくなりました。難を言えば、ラストがきれいにまとまりすぎていて「あらら・・・」って感じです。が、失望させるほどのものではなく、全体の90%まではしっかり楽しめます。
余談
このおはなしに出てくる「柿寿司(こけらずし)」がすごくおいしそうなんですね。でも、見たことないし、ネットで検索してもお話にあるような棒状の柿寿司はなかなかないです。むむむ。
【柿寿司】薄く切った魚肉などを飯の上に並べた姿が、こけら板(屋根を葺くのに用いる杉やヒノキなどの薄い削り板)に似ていることからついた名である。 -
有名店で修業を積み、暖簾分けを果たしたばかりの寿司職人が主人公。
飯炊きひとつとっても、すんごい手間がかかる仕事なのですね。
うーむ。
その他、江戸のいろんなお仕事のヒトビトが登場し、どれもこれも綿密に描かれています。
お武家さんも町人さんも、大変なのだ。
江戸のお仕事小説。か。 -
江戸庶民のきっぷの良さが心地良い。
仕事に対する誇りも。 -
江戸深川に箱鮨「柿鮨(こけらずし)」を作る鮨職人を中心とした町人と武家の人情作品。いつもながらのシングルヒット。
杮鮨とは「四寸角の鮨型に、鮨飯を半分敷く。その上に醤油で煮たしいたけを細かく刻んで散らす。そして残り半分の飯を詰めたあと、鯛の刺身や蒸しあわびの薄切りを載せ、型の四隅に錦糸卵を散らしてふたをする。それに重石をのせて型押しすれば仕上がりである。」うまそうだ。
この時代にはまだ握鮨はなく、「杮鮨(こけら鮨)」を切り売りした切り鮨を、笹の葉で包んだ「けぬき鮨」を発展させたのが「握鮨」らしい。 -
舞台の深川は地元でとてもなじみ深いところ。
江戸時代のさまざまな人々の仕事や生活がわかって、
とても新鮮だった。
他の作品も読んでみたいな。
取りあえず、無性にお寿司が食べたくなります。 -
読んでて気持ちよかった!ほんと気持ちのいい人ばかりが出てくる。仕事に誠実な鮨職人の主人公、新吉はじめ、一本筋の通った武士の秋之助、親友の魚の棒手振の順平、みんな気持ちいい人ばかり!
昔の江戸っ子は義理人情に厚い人ばかりみたい。
江戸時代の武士の苦しい財政事情がよくわかったのがまた良かった。棄捐令なんてむちゃくちゃな法令まかり通るとは今じゃ考えられない!そんな武士の世の中で健気にまっすぐに創意工夫をこれしながら商売する職人はほんと天晴れ! -
だいこんよりずっとずっと面白かった。たぶんこの人は男を中心に描いた方がずっとずっと面白い話が作れるんだろう。主人公の新吉をはじめ、武家の小西秋之助、友人の順平、他の職人たちもどうしようもない引き立て役たちも、みんな男で、女は色恋相手か近所のおばちゃんである。そして、その方がキャラクターの書き込みがよくてずっと読みがいがあった。
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読み終わるのが本当にもったいないと思った一冊。挿絵はないけど文章だけで、柿鮨のお寿司、食べてみたくなりました。
http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage005.htm -
師匠から受け継いだ「杮寿司」の味と伝統を守りながら、更にその上を目指す江戸の職人の心意気が生き生きと描かれている。
寛政二年(1790年)武家の借金を棒引きにする「棄損令」により一気に景気が冷え込むが、確かな腕前と仲間たちとともに生み出すアイデアで商売を繁盛させていく。