毒麦の季 (小学館文庫 み 2-9)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094084443

作品紹介・あらすじ

知らぬ間に麦畑に紛れ込み、はびこっていく毒麦のように、容赦なく人々の心をむしばんでゆく悪意の種子。その種子を蒔くのは、生まれついて悪しき人々なのか、あるいは無垢と見える我々自身なのか。凄惨なまでに人間の弱さ、醜さを描き続け、血を流すような痛みの中で読者に人間の営為と神の愛を問い続けた三浦綾子。父の不倫に端を発して両親の別居で、徐々に孤独の淵に追いつめられていく少年の姿を描いた表題作の他に、作家活動中期の短編『尾灯』『喪失』『貝殻』『壁の声』を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 短編5編とも主人公の心の動揺、そして招いてしまう不幸はいずれも鋭く重い。著者が優れた短編作家でもあることを証明していると思った。定年後の寂しい心境『尾灯』、妹を喪い同じ病に冒された姉と義弟の微妙な関係『喪失』、不倫の夫とその両親の理不尽な態度に泣かされる主人公の妻の心境『貝殻』、吃音ゆえに不幸な人生を歩み最後は冤罪にも抗議をする元気もないおとなしい男性の内面『壁の声』、夫の不倫の末に家庭を奪われた妻とその幼い息子の境遇と悲劇的な終末『毒麦の季』。著者には珍しくキリスト教とは無縁の作品ばかりであったが、人間の醜い罪、それが招く救いのない不幸な世界を描き尽くしている。

  • 嫉妬や裏切り、自己中心的な行動など人の嫌な部分が 描かれていてこれを読者がどう受け止めるか、にかかっている

  • 『尾灯』『喪失』『貝殻』『壁の声』『毒麦の季』
    すべて救いのない物語である。ここでは弱い者が犠牲になったり,悲惨な最期を遂げるものが,さらりと描かれている。あまりに毒々しさがないが故に心に突き刺さる。彼らはどこで救われるのであろうか?

  • 帯文(裏表紙):”三浦綾子の問いかける声は、今も我々の生きる糧となる。”

    目次:尾灯、喪失、貝殻、壁の声、毒麦の季、解説 関口苑生

  • 借本。
    著者の本は読後に色々と考えさせられてしまう。
    なんだか教会に行きたくなってしまった。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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