100人の人生の物語 (小学館文庫 ア 5-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088182

作品紹介・あらすじ

傷つきもがく彼女が最後に見つけた真実とは

ジャーナリストのキティは、仕事での成功を焦るあまり偽の情報に飛びつき、大失敗。ようやく手に入れた念願のテレビレポーターの仕事を失ってしまった。
そしてそのことで、罪のない高校教師の人生までめちゃくちゃにしてしまう。
さらには、敬愛している親友であり上司の雑誌編集長、コンスタンスをガンで亡くす。大きな悲しみの中、最後に彼女が遺した仕事を担当することに。
だが、彼女が遺していったものは、100人の名前が書かれたリストのみ。何の手がかりもないまま、何とかリストの人物に会い、取材をし、この仕事のテーマを探り続けるキティ。取材で出会った人々との心の交流を通じて、確実に自分の中の何かも変化していく。どんどん仕事にのめり込んでいく彼女が、ようやく最後に見つけた仕事の、人生の真実とは。



【編集担当からのおすすめ情報】
デビュー作『p.s.アイラヴユー』が全世界で500万部を越える大ヒットとなった大人気作家、セシリア・アハーンの最新作。今回も等身大で描かれる、強気でおしゃれな働く女性を主役に、魅力的な人々が登場し、物語を盛り上げます。
ラストでは、哲学的とも言える仕事、人生における大切な真実に気づかせてくれる、今までのセシリア・アハーンの作品にはなかった、新鮮な驚きと魅力がつまった人間ドラマです。

感想・レビュー・書評

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  • チックリットの名手アハーンの第9作目、2012年の作品。原題は"One Hundred Names"。
    スティーブとのロマンスも悪くはないが、なんといってもキャサリンのインタビュー相手の人生がすてき。どこかで聞いたことのありそうな話なのに、登場人物ひとりひとりの表情が目に浮かんで泣けてしまう。キャサリン自身は臆病で、自分のしでかしたことから逃げているようなところがあって、どうも好きにはなれないけれど、人間ってこんなものかもしれない。
    人の善なる部分に光を当て、完全なハッピーエンドではなくとも、自分を取り戻し、前に進み続ける姿を書かせたら、アハーンはピカ1。
    これこそ映画で観たい。

    以下の登場人物、完全にネタバレ。

    キティ(キャサリン)・ローガン:主人公。33歳のジャーナリスト。成功を焦るあまり、罪のない高校教師の人生を台無しにし、テレビレポーターの職を失う。
    コンスタンス・デュボワ:雑誌『エトセトラ』の編集長。キティを始め、数々のジャーナリストを育ててきた。独自の視点で真実を追究することに長けている。
    ボブ:コンスタンスの良き夫。キティの良き理解者。
    スティーブ・ジャクソン:キティの大学時代からの友人。キティに彼氏がいようが、自分に彼女がいようが、誰よりもキティを優先させ、支えてくれるひたむきな人。恋人のカーチャは可哀想だが、こんなふうに陰ながら支援してくれる人がいたら、女としては嬉しいだろうなと思わざるをえない。
    リッチー・デイリー:キティの大学時代の友人。卑怯なやり口で、キティから情報を引き出したが、キティにこの人を責める資格があるとは思えない。彼の推理小説が刊行されなかったのは、むしろ残念。
    コリン・マグワイア:中等学校の体育教師で、昔、教え子を振ったばかりに、生徒を虐待したという偽の情報を流されてしまう。いい人過ぎる。
    ブリジット・マーフィー:老人ホームで暮らす上品な婦人。彼女が求めていたのは、賭けのお金ではなく、再会だったことを思うと一抹の悲しさが残るが、晩年にこんなすてきな旅をできてうらやましい。
    エバ・ウー:ショッピングの代行業というが、どちらかというと、プレゼントの代行で見事な手腕を発揮する。アハーン作品の善人が結実したような人物。観察眼に優れ、愛に溢れている。
    アーチー・ハミルトン:フィッシュ・アンド・チップス店員。娘を殺した犯人に復讐し、前科持ちとなった。助けを求める人の心の声が聞こえるようになる。Giftにも通じるファンタジックな要素。
    メアリー=ローズ・ゴドフリー:美容師で、病院への出張も行っている。週に一度、片思い相手のサムが「嘘の」プロポーズをしてくれる。サムにプロポーズをされる時のメアリー=ローズは、『エージェント・オブ・シールド』のシモンズのような可憐さを感じさせる。
    ジェドレク・ビソツキー:失業したポーランド人移民で、自分が価値あることを証明するために、ギネス記録に挑戦して成功。
    アンブローズ・ノーラン:蝶類研究者。半身に火傷を負い、両目の色も違うため、人前に出るのを極端に嫌う。彼女が心を寄せるユージーンは、ありのままの彼女を受け入れている。この2人のロマンスは、断片的にしか書かれていないが、もっと読みたい。

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