- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094510010
作品紹介・あらすじ
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の"調停官"となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが…。田中ロミオ、新境地に挑む作家デビュー作。
感想・レビュー・書評
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『高度に発達したライトノベルは純文学とみわけがつかない。』を体現したような作品。
パロディというかクリシェがおおい、でも肥満した妄想を爆発させる文体がとても純文チックな文章。妖精さんがほのぼのシュール。
童話みたい。ライトノベルなんて読んだことないと豪語するそこのあなた、騙されたと思ってまずはこの一冊から始めませんか?
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すぐ足元にたくさんの妖精さんが集まってきます。
「お元気そうですね」
「おげんくです」「むだにげんきです?」「いきいきいきてますが」「ちりあくたみたいなぼくらです」「なぜかいきてます」「ふしぎだー」「いきてるってふしぎです」「じつは、いきてないのかもです」「せかいはもしかするとじぶんひとりのまぼろしかもです」「きのうあたりからいきてるです」「そういえば、いきてます」
――214Pより引用詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人類は「衰退」し「引退」。旧人類となった。
そして現在、地球は「妖精さん」のものになっている。
学舎最後の卒業生の一人、<わたし>は
おじいさんの後を継いで国家公務員<調停官>に。
(といっても給料は現物支給なので高給取りではない)
楽そうだからこの仕事を選んだものの、
<わたし>を待っていたのは
「妖精さん」に翻弄されたり翻弄したりの
多忙と怠惰を極める(?)毎日だった――。
《感想》
ラノベ界でも修羅の道、女性主人公の本作ですが、
読んでみて納得。
このゆるさは<わたし>にしか出せない。
発展することをやめ、静かに終わりへと近づいていく
人類はこんなにも穏やかです。 -
どういう因果か、Amazonの「おすすめ」の本に入っていたので、なんとなく購入。
金額合わせのための(配送料を無料にするための)ザ・衝動買い。
でも、けっこうお気に入りです。
くだらないんだけど、おもしろい。
なんか、全体的に力の抜ける、まったりした雰囲気。
リラックス用の本。
ちょうどマンガを読むのと同じ感覚で読めます。
妖精さんがもう、本当にバカバカしくて、可愛くて。
2冊目も買っちゃおうと思っている今日この頃(でも本屋さんで見つからない。。。Amazonだと他の本も買わなきゃだしな〜)。 -
寝る前に読むと幸せな気持ちになって眠れます。
限りなくゆるいんだけど、時に知的で、ユーモアのセンスに富んだ、作者の文才がすばらしい。 -
ほんわか。
群れた「妖精さん」のざわめきがブラックかつ小ネタ満載で楽しめた。
どっかであらすじを知って探し求めた割には…という感もあるが、
無欲な感じの旧人類と、予想の斜め上をいく人類こと妖精さんはほんわかに素敵。
次巻は…古本か電車で暇なときか -
ほーりーしっと(=世界の仕組みや妖精さんの秘密に心ときめかせながら、主人公とおじいさんや主人公と妖精さんとのキャッキャウフフを楽しみながら、物語の要素の作りや妖精さんの行動からいろいろ深読みしながら、世界や妖精さんや主人公やテーマや作者のことを楽しみつつ知ることができる超良作)。
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読みやすくって面白い。
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いただき本。
人類がゆるく衰退して旧人類となり、妖精さんが人類として活動している話。
昔アニメで見たなという記憶ぐらいはあります。
こんな風にゆるく仕事をして生活していきたい。 -
ゆったりとした終末に憧れます。
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人間たちの文明が衰退してから多くの年月が流れた地球を舞台に、主人公の少女と「妖精」と呼ばれる不思議な生き物たちとの交流をえがいた作品です。
少女は学舎を卒業したあと、クスノキの里自治行政区に帰り、おじいさんとおなじ「調停官」に就任し、妖精たちの生態を調査します。おじいさんに仕事の内容についてたずねてみても、これといってきめられた仕事もなく、少女は持ち前のゆるさを発揮して、妖精たちとの交流を試みます。
童話のような世界観でありながら、かなり濃いめのネタを放り込んでくるといった著者の遊び心が随所に発揮されており、独特の作品世界に入り込むことができます。「文明」とはいったいなんなのかという問いを、「文明」の外側から問いかけるような批評的な視点を読み取ることも可能なのかもしれませんが、まずはこの雰囲気そのものをたのしみたいと思います。