AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094510805

感想・レビュー・書評

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  • 同著者の「灼熱の小早川さん」と同じルーツを感じた一冊。でも、インパクトはこちらがはるかに上だった。
    中盤のある意味不快な展開は最後のカタルシスに向けての引き絞り。ただやはり不快は不快で、そのバランスが物語作りの難しさだなと感じた。

  • 笑わせてもらいました、
    右目や左手ががうずく方にはおすすめかな。

  • 久々にライトノベルを読みたくて購入。普通の高校生が、ちょっと変なパーソナリティー(厨二病やね)の人々に振り回される……という内容だけれど、これはライトノベル的世界観と、そうでない世界観の対立を書いている。

    というわけで、この話はスクールカーストを描いたアメリカの学園ドラマを、「ジョックス(上位)」と「ギーグ(下位のオタ)」しかいない教室と単純化した話になっている。本当はもっと階層化されてるんだけれどね。主人公はギーグの過去を隠して、ジョックス側に入ろうとしているけれども、自身の過去を嗅ぎつけたギーグの面々に振り回されて……


    でもさ、こんな可愛い子が寄ってくるなら、お前はすでに勝ち組だよ!と読んでて思った。誰もが羨むだろ。もっと、佐藤良子はコスプレや言動だけでなくルックスも「これはどうか」というキャラじゃないと、この話は成り立たないと思う。そういう意味で、売るとは言っても編集は、解ってない絵を用意したなーと思った。


    だいたい、オチも良子が普通の子になりましたで終わっているけれども、それもどうか。アメリカではオタは(高校までは)バカにされる存在だけれど、億万長者はみんなオタで、そいつらがジョックスたちをこき使い、ハリウッドに大金を出しているので、今やこういう物語はほとんどギーグ賛歌になっている。


    そう考えると、ライトノベル的世界観やオタ的な思考から抜け出すことがゴールになっているこの作品は、コンテンツ産業としてのライトノベルの「諦め」や「限界」を自ずと自白しているようなものになっていると思う。こういうの読んでて喜ぶのはどうか。むしろ怒るべきでは?


    世界を変える気のないコンテンツは、ヒロインの容姿に頼るわけだ、と私は呆れちゃいました。オタク相手のボロい商売という気持ちが、作者にも編集にも心のどこかにあるのではないか。面白半分のつもりで書いていても、これでは日本の文化を巡る戦いに白旗を上げているようなものだ。

    でも、文章や語り口は良かった。小説としてのルックもできていると思う。ライトノベル的な世界観のパロディとかは上手い。あるあるネタも良いチョイスだと思った。でも、映画化は勘弁してほしい。

  • 【読了】田中ロミオ「AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~」 9月13冊目

    「人類は衰退しました」が好評の田中ロミオ。そんな彼の著作の中から、劇場版が決まっている「AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~」をチョイスして読んでみることにした。

    結論から言えば思わず壁ドンっ!したくなるようなシンプルなボーイ・ミーツ・ガールものである。事前にタイトルから勝手に予想していたストーリーラインとは全く、それはもう全くもって異なっており、軽く意表をつかれた印象である。

    読み進めていくと、ある種のメタ視点が場を支配しているかのように感じるのだけれども、そもそも中二病というのは観察者がいてこそ認識されるものであり、そういった意味においてはメタ視点は構造的に正しいのだろう。

    主人公、佐藤一郎の造形はそこはかとなくリアルである。フィクションでありながら、どこかリアル的な要素を、思考パターンを感じさせるというか。ポジティブすぎず、ネガティブすぎず、現実的な保身を選択したり。

    一方でヒロイン、佐藤良子はどことなく虚構的である。そのふるまいのリアリティーのなさは、本当にリアルな存在ではないんじゃないかとミスリードしかねないほど(そこがこの作品の肝でもある)。しかし、彼女をそこに至らしめた世界への絶望の深さを知るからこそ、そこからの救済に読者はカタルシスを得るのではないだろうか。

    蛇足:

    どことなく基本設定が虎虎「中二病でも恋がしたい!」と似ているんだけど、AURAの方がリリースは先。AURAはちょっと陰湿な部分があるので、そういうのが苦手な人は「中二病でも恋がしたい!」の方が明るい青春小説をお楽しみ頂けます。しかし似たような時期に両者、アニメ化しちゃうんですよね。私、気になります。

  • 一部の邪気眼を持っていた人々が読むと邪悪に苦しむことになる魔本。
    特に黒歴史もないのでさらーっと読めました。
    話自体は面白く、作者の筆力でグイグイ引き込まれていきます。が、ラストのアレで、現実はこんなんじゃねぇや!!!と叫びました。くそっこれはフィクションです!!!!
    ラノベは最初のページで惹きこめないとアカンとよく聞きますが、この本の場合最初のページで本を閉じることうけあいです。さあ勇気を出してお読みなさい。
    一部の人の為に書かれた魔本、一部の人じゃない自分でも楽しかったです。

  • 劇場版もそういえば公開ですね。
    声優さんは島崎信長、花澤香菜
    前情報もなく、読んでいて能力者バトルもの……?
    と錯覚するもその幻想をぶち殺されました。
    そこからは、もうロミオワールド展開ですね。
    よくある話の展開でしたが、書き方の勉強になりました。
    特に最後のほうの展開や話の持って行き方、
    タイトルの意味がきちんと頭に入りました。
    オチもなるほどと思います。
    学園ものを作る際のひとつの参考作品として。

  • 丸戸史明が新刊で現代的な許されるオタク像を描いた一方、許されないオタク像の内面を描いた良作がこちら。ライトノベルの枠に合わせた軽妙なコメディから中二病患者の内面に迫るシリアス展開に至る展開はさすが。いまどき珍しい1巻完結型でキャラ、ストーリーともに出し切ってるところも、昨今の引き伸ばし展開と逆をいってて好感がもてる。ただ映画化するには演出に不足がある気もするが…。その辺は良改変に期待しよう。"中二病"がわからない人にはオススメできないが、どっぷりハマってる人には憑き物落としの一冊ともなりえる良作。

  •  現代の人々が知らないところで繰り広げられている、剣士や魔法使いたちの戦いの物語……ではなく、妄想にはまってコスプレしてる女の子と、昔そういうのをやっていじめられていた主人公の話。読むまでファンタジー的な内容だとばかり思っていましたが、これはこれで面白かったです。
     内容はコメディな感じで、所々で出てくるギャグっぽい台詞の応酬が面白かったです。

  • 映画化を前に原作を読んでみたが、なんだ、傑作じゃないか。これを岸監督の率いる安定チームがどう料理するか期待大。

  • 主人公の心情表現や途中までの展開はなかなか良かった。ただラストがやはりご都合主義的な感は否めない。どん底→どんでん返しは物語の定番か。イラストは可愛い。

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著者プロフィール

小説家・ゲームシナリオライター。代表作『CROSS†CHANNEL』『人類は衰退しました』『Rewrite』(竜騎士07、都乃河勇人との共著)『ミサイルとプランクトン』など多数。

「2016年 『アウトロー・ワンダーランド 1 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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