幽式 (ガガガ文庫 に 2-1)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094511017

作品紹介・あらすじ

いるのかいないのか誰もが定義できない幽かな存在-亡霊。皇鳴学園高等学校一年、渡崎トキオはヘタレなうえに霊体験皆無のオカルトマニア。そんな彼の呑気な日常は、奇人にして美貌の転校生・神野江ユイと出逢ったことから揺らぎ始める!神野江は言う-「すべてが、逆なのだわ」。赤く染められた部屋、口にすると憑かれる言葉…この世にひそむ"霊かなもの"を次々と暴く神野江ユイに圧倒されながら、トキオが最後に辿り着いた彼岸の真実とは-?新感覚学園オカルティックホラーここに登場。

感想・レビュー・書評

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  • 身も蓋もないこといっちゃえばオカルト版GОТH。
    ヒロインが黒髪黒服の寡黙で電波な暗黒面に魅せられた美少女って符号も共通です。ラノベで分類するとSINОや嘘つきみーくん、マージナルと同じ系統になるのかな……暗黒青春ライトノベルってジャンルがあるならそれに分類したい。
    しかし「幽式」の主人公トキオはGОТHの「僕」と違ってへタレでまともな至って普通なイマドキ男子高校生なのでその点は安心されたし。
    彼岸と此岸のはざまに立つヒロインの電波な言動の数々にふりまわさつつもいざってときは漢を見せてくれます。
    深夜の霊園に嬉々として録音テープを仕掛けにいっちゃう神野江に最初は引いてた主人公のトキオだけど、ふたりで冒険をかさねるうち徐徐に彼女に惹かれていく……という表現は正しくないか……同類の親近感から始まって異端を愛する同志として共鳴してく過程、友情以上恋愛未満の微妙な距離感がなかなかにやけさせる。
    幼い頃目撃した赤い部屋の謎の解明はかなりぞっとする。
    月並みだけど幽霊より狂った人間のほうがよっぽど怖いんだよなあ……この話の特徴として、謎の一部が常に保留されるもやもや消化不良感があげられる。怪談に一応合理的な説明が付いても謎のすべてがすっぱりさっぱり解明されず、何故そうなったのか、何故彼ら彼女が怪奇の暗黒にのめりこんでいったのかの肝心の動機が曖昧なままなのでそこはかとない不気味さがあとをひく。
    赤い部屋の話も怖かったけど次の忌み語のエピソードも怖い。
    西条八十の詩にそんな意味あるなんて知らんかった……読むと死期速めるって……知らずに桜庭一樹の読書日記の引用で読んじゃったじゃんか……忌み語はやっぱり忌み子とかけてるのかな?と考察し甲斐があります。

    「赤い部屋」と「忌み語ノート」の話は前座で、中盤からトキオの父親が絡む話になり、一気にシリアスでへヴィな様相を呈す。
    どんでん返しがあるってのは前情報でしってたんである程度予想と覚悟はしてたんですが、例の屋上のシーンで親友の大森からトキオが衝撃の真実を告げられるシーンは、やっぱ緊迫感ありましたね……それに前後する一連のシーンも静と動の緩急絶妙にスリルを高めます。 
    六所塚の鉄塔を背にした夕闇での初遭遇、屋上での初接近で神野江とイヤホン半分こするシーンなど印象的な場面は色々ありますが、個人的に一番好きなのは神野江の校舎大暴走。それまでの鬱屈を全解放するように跳んで跳ね跳んで跳ね蹴りをくれ台風のように大暴走する神野江を追うトキオ、このシーンがほんと躍動的で手に汗握る。読んでるほうまで文章のリズムにのって気持ちよくなる。
    オカルトを扱った話だけにグロいシーンも多々あるのですが、こういう青春全開なエピソードが盛り込まれてるせいで後味はさわやか。
    終盤、あちら側に行ってしまいそうになった神野江にトキオが目一杯手をさしのべるシーンの美しさは胸に迫ります。

    表紙・挿絵はネットで有名なレーターのわかばさん。
    萌え主流全盛のラノベ界にあっては異彩を放つ画風ですが、白と黒の対比が清廉な独特の絵は、書店でぱっと目をひくこと間違いなし。  
    カラー口絵の空間の使い方とかほんとうまい……吹く風を感じられる絵というか……トキオと神野江の隔絶した距離と微妙な関係を的確に表現していて感動しました。

  • すごい面白かった。星4.5。

    ライトノベルの枠で読みごたえのある本を探している人におすすめの本。

    萌えやドタバタギャグに終始するラノベも楽しいけれど、そうじゃない、こういう作品もラノベレーベルから出ていることがうれしい。

    構成も良かったし、キャラの配置も絶妙。時々入る、知ってる人しか分からない他作品からのオマージュも良い。主人公の一人称じゃなくてもよかったかなとは感じた。

    イラストのセンスは個人的には好きだけど、普通のラノベを求めてる人には合わない。一般文芸に近い。

  • 登場回数が殆どなくても濃いキャラに囲まれたヘタレ男子とデンパ女子の心霊冒険物語。

  • 星海社の『フェノメノ』と世界観が繋がっているとの事なので購入しました。

    異界ヶ淵、クリシュナさん、彼岸の女性。
    『フェノメノ』の雛形のように感じる程に共通した点は多く、あの薄気味の悪い世界観もしっかりと健在しておりました。

    『フェノメノ』が面白かったという方には是非読んで頂きたいですし、またこの作品が面白かったのであれば『フェノメノ』を読むことをお勧めいたしますね(^_^)

  •  イラストが好きなイラストレーター、わかばさんだったのでジャケ買いしました。
     都市伝説や怪談とミステリー女子高生とビビり高校生の二人がメインです。
     百物語のような感じ。
     

  • だいすきです。挿絵と相まって独特の空気が感じられて、ついなんども開いてしまいます。

  • 予想出来たストーリーではあったけれど、それでも最後まで読ませる魅力があったと思う
    キャラの立ち位置とか、心理描写がすごく上手いんじゃないかしら
    色々不完全な所もあったけれど、そんなの全然気にならなかった

  • 前半物理ホラー、後半心理ホラー。その境目に全く気付かせないのはほんとにすごい。読んでて怖くなった。
    この人これだけ書けるのになんで出してる冊数少ないんだろう。作家買いするのに。
    表紙絵で損してる気がする。もっとかわいい絵で引きつけたらもっといいと思う。続きが出たら買う。

  • ホラー

    主人公がフープメンの主人公

    ヒロインが放課後プレイのヒロインに

    脳内変換して読んでいました

    面白かった…

  • 素敵な青春オカルティックホラー

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著者プロフィール

小説家。「ニトロプラス」所属。著作に『幽式』、『フェノメノ』シリーズ、『少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語』、『黙視論』、『謎の館へようこそ 白』(共著)などがある。

「2018年 『僕だけがいない街 Another Record』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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