絵柄は境界の彼方+サクラダリセット。内容も大体そんな雰囲気。
怪異たちの知恵の神とされた少女が、妖怪たちの謎に虚構推理でオチを付ける二話のノリで行ってくれるなら良かったが、いかんせん鋼人七瀬の話が長すぎる。
このエピソードどんだけかけてるの……現時点で七話以上?もう終盤だぞ。てっきり三話前後で終わると思ったのに、展開がgdgd冗長すぎ。
個人的な好みで言えば一話完結形式でサクサク行ってほしかった。
二話で切ったレビュアーもいたが、「特殊能力を持った少女оr少年が、異性のパートナーと組んで戦う退魔もの」など腐るほど見慣れてる。
主人公の琴子は二年ごと経過しても容姿が全く変わらぬ合法ロリ、しばしば見える義足の付け根がフェティッシュで義足フェチ(いるのか?)大喜び。
義足や義眼を外すシーンが結構な頻度であるが、メカバレに興奮するひとなら萌えるのか。各話のファッションも可愛らしい。
彼女と九郎の恋愛は見所の一つで、塩対応な彼氏に懐き倒す美少女の後輩という、体格差・身長差・年齢差を兼ね備えたカップルの恋模様にはニヤニヤする。元カノに嫉妬してむくれたり、わざといちゃ付いたりと、年相応の行動もツボ。

キャラクターは魅力的だが、なんにせよ話が長い。
くどくて理屈っぽい長台詞が頻出、コレもっとシンプルにできたんじゃないの?ってツッコミたい場面が多すぎ。四畳半神話大系や化物語など、独特のセリフ回しが好きなら苦じゃないだろうが、フツーに見るとキツい。

本作は屋内会話6:屋外会話3:戦闘1で構成される。
5・6・8話はほぼ会話だけで終わってる。主人公と彼氏と女刑事がホテルの部屋で話してるだけで丸々30分使いきるので、絵的な派手さはないし場面に変化が付かない。展開がもったりしすぎ。
それでも続きが気になって見てしまう程度には面白いのだが、殆ど話に進展がなく、同じ所をぐるぐるしてるだけでウンザリする。
「怪異という超常の存在が抱える謎に、虚構の推理で挑む」着眼点はなかなか斬新で面白いのに、現状ただの会話劇に終始。

他に気になる点といえば、さりげない飯テロ。
主人公が食べる料理がどれもおいしそうで、深夜に見ると腹がすく。九郎の手作りの豚汁やファミレスのあんかけ焼きそば、はてはステーキおにぎりに高級チョコと、やたらとモノを食べるシーンがある。ほかにもっと描くべきところあるのでは……?と疑問になる位、食べ物自体の描写にこだわりを感じる。コンビニのおにぎりだろうがファミレスの飯だろうが、なんでもおいしそうに食べる琴子は好感触。

一話内での起承転結がほぼなく、「承」がずっと続いてる印象だが、鋼人七瀬との決着が迫って全体的にはやや盛り上がってきたろうか。
登場人物の長台詞が辛い視聴者には勧めないが、化物語などが好きなら相性はいいかもしれない。

2020年3月9日

読書状況 読み終わった [2020年3月9日]

こんな嫌な女見たことない。
初っ端、まず主人公の性格の悪さに驚く。コイツは見事なまでのクソ女だ。寮の前で自分に手を振る女子をシカトし、誕生日にルームメイトが焼いてくれたカップケーキを目の前でゴミ箱にポイ。最低である。
こんなクソ女死んで当然……と思ってたら本当に殺された。自業自得である。

要約すると死に戻りのループもので、自分を殺した犯人を見付けるまで誕生日を延々くりかえすのだが、ぶっとんだ主人公とコメディ寄りのテンションのおかげでまったく怖くない。LINE中のツリーの背後で刺殺される男子学生など、もはや完全にギャグ。
高飛車でアバズレ、父親からの電話すら即切りするツリーには最初「なんだコイツ」と思うが、同じ一日がループする中で、だんだんと彼女が抱える事情が見えてくると違った感情を抱く。この仕掛けが上手い。
ツリーも殺られっぱなしじゃなく、なんとか今日を生き延びようとあの手この手で対抗する。その方法が容疑者総当たりのストーキング。死に戻りが可能な彼女だからこそできる、文字通り体当たりの作戦。
尾行の過程で周囲の人物の意外な秘密や嗜好、性癖を偶然知ってしまい、それを後に引き継いで行動を更新するなど、ループものの醍醐味を最大限生かしまくったパフォーマンスが痛快。おまけに「明日になればみんな忘れる」と店で屁をこくわ全裸でキャンパスを闊歩するわ、コイツ楽しんでる……。
コメディ色が強いのは確かだが、あることから自分勝手な生き様を反省し、いい人間になろうと行いを改めていくパートは素晴らしい。冒頭からツリーを見てきたからこそ、自分が死ぬ日を何度もくりかえし、タフに、前向きになった彼女を全力で応援したくなる。
そこで欠かせないのが彼女の最大の理解者であり、良きアドバイザーでもあるカーターの存在。非モテでいまいち頼りないナードかと思いきや、誕生日をループするツリーを信じ、親身に相談に乗ってくれた上、最大のピンチに駆け付けてくれる。そりゃあ惚れるわ。
ツリーにとっては災難だが、16回も同じ日を繰り返したおかげで彼の人間的な魅力……真実の愛に気付けたのなら、死にまくったのも無駄じゃないか。
それにしても、ちょっとしか出番ない癖にプリケツ女発言で物議を醸すライアンのインパクトは凄まじい。彼への躁鬱激しいリアクションの変化もまた見所。

贅沢なほどの遊び心がちりばめられたエンディングも必見。ペーパークラフトの製作時間が気になる……。

2020年3月6日

読書状況 観終わった [2020年3月6日]

前作視聴済み。
サスペンスホラーからSFに路線変更した目論見は成功してる。
ただ単に1の続きというだけじゃない、1の種明かしや補足を含んだ上で、良質の青春ドラマに仕上げる手腕は見事。前作は「カーターがツリーを救う話」、今作は「ツリーがカーターを救う話」と補完し合ってるのも粋。
1で艱難辛苦の末にループを脱したツリーだが、またしても死に戻り地獄に巻き込まれる。
あのダサいTシャツのままってことは1のラストが2の冒頭に繋がるので、ほぼ直後の話。てっきり数か月後の話とばかり思い込んでいたのでびっくり。こんなに時系列が早い続編があったろうか……
何度もループを繰り返したせいで既に体はボロボロと1の時点で診断されていたが、それにしては元気な主人公。ループが閉じた時点で体調もリセットされたのか?

前作では出オチの脇役にすぎなかったカーターのルームメイトが今作では重要な役割を担い、友人らと共に活躍。全員が理学系の科学者の卵とあり、ツリーの突飛な話を柔軟に受け入れてくれる。
1ではカーターしか理解者&相談相手がいなかったが、2では総勢4人に増えて断然頼もしい。
この手の話だと「冗談でしょ?」と信じてもらえないパターンが多いが、その手のストレスはフリーで、すぐ本筋に移行できるのは有り難い。
1のループに科学的な説明が付くのもさることながら、今回はパラレル次元に飛ばされたツリーの葛藤が見所。

現実では死んだ母が、こちらの世界では存命してる。
カーターはダニエルと付き合ってる。

母親か恋人か究極の選択を迫られる訳だが、完全にネジが飛んで吹っ切れた自殺の連続とあわせ、シリアスとギャグが絶妙なバランスを保っている。
ていうか、材木処理機に飛び込むって……そんな痛そうな自殺アリなん……
母親恋しさからパラレルに居残ることを選んだツリーが、カーターとの対話を経て、次第に変化していくのも見所。
「こっちにきてよかったこともある」「何?」「別れを言える」

ツリーは母とルームメイトを失っている。
が、こちらでは二人に本音を伝え、別れを告げる時間が残されている。
ぶっちゃけてしまうと、今回ツリーと殺人は関係ない。加害者でも被害者でもない、部外者の立場でいられる。
標的になるのはロリで、ツリーが保身に走ったところで全く問題ないのだが、前回の体験を経て「いい人間になりたい」=「ママみたいな女性になりたい」と改心した彼女は、ループ中何度も自分を殺してきた本人を助けようとする。
正当防衛(過剰防衛?)で撃退したとはいえ、ルームメイトに友情を感じてたのね……とホロリ。
母親に気持ちを伝えるシーンもよかった。
劇中母の死因は語られないが、「別れを言う時間がなかった」前提で、「綺麗よ」「美しい」と繰り返していた事実から察するに、闘病で窶れた母に会うのが辛くて避けていたのかもと妄想。
別れを言う時間がなかった=事故死とも考えられるが、病み衰えた母親の最期が焼き付いてるからこそ、あのセリフに繋がったとしたら切ない……。
ただブチギレて喚き散らすだけじゃなく、ちゃんと人間的に成長し、「ごめんなさい」と「ありがとう」が言えるようになったツリーは素敵。グレゴリーは相変わらずクズ。どのみち学生に手を出すのかよ……。
話自体もハッピーエンドで良かったが、最後はやや蛇足。
被験者ってグレゴリーやあの連続殺人犯じゃないのかよ!?
ダニエルは確かに嫌~な女だが、パラレル次元じゃ学部長を足止めしてくれたし殺人は犯してない。ループに閉じ込められるほど悪人とは思えないのだが……ツリーの中じゃダニエル>>>>グレゴリー≠殺人犯なムカツキ度なのか……まあ、脱出時に真人間になってればいいか……。

2020年3月7日

読書状況 観終わった [2020年3月7日]

パッケージからしてバタ臭いほどの悪ノリ。未見の人に説明すると、ほぼ第一印象まんまの内容である。
最愛の母の事故死から三年後、彼女の命日に上映されるホラー映画の世界に迷い込んだマックスたちが、生き残る為にあの手この手で殺人鬼への対策を練る。
ホラーあるあるネタのオンパレードが楽しく、登場人物も皆キャラが立ってる。
ホラー映画オタクで空気の読めない青年、SNSでメンヘラってる元友人、主人公にわかりやすく好意を持ってるイケメンなど、ちょっとズレてるが憎めないキャラ達のコミカルな掛け合いはティーンエイジャーのおバカさフルスロットル。
主人公たちが80年代の映画の世界に迷い込んでからは、劇中人物とのジェネレーションギャップに注目。まず序盤でホラー映画オタクと一般人の感性のズレを提示し、その後に80年代のフィルムフィクションの人物と、現代の若者との価値観のすれ違いを見せる手法は上手い。
怖いか怖くないかで言えば全然怖くはない。予告を見ればわかる通り、振り幅は完全にコメディーに寄ってる。
古今東西のホラー映画のメタやパロも含んでおり、「ストリップ=殺人鬼出現の前兆」と警戒し、ビッチな子にミトンを嵌めてぐるぐる巻きで厚着させるなど行き過ぎた演出がギャグになる。
そして絵がきれい。主人公と若き母が森の中で語り合うところでは、カラフルな花を前景におき、メルヒェンチックな雰囲気を出してる。
回想シーン突入時の演出など、映画の中だとこう見えるのか!なアイディアも新鮮。
総じて面白かったが不満もある。
回想シーンでさらに過去に飛ばされた時、指導員の悪ふざけをやめさせていれば、のちの殺人鬼も生まれず一件落着だったのでは……?
映画の根本を変える行動はできないとか、縛りがあるのだろうか。
欲を言えば、ヒロインと母のハートウォーミングなシーンに尺を割きすぎ。
映画の中のキャラと親友がイイ感じになってたが、フィクションの人物と現実の人物の恋という、いくらでも膨らませ甲斐のある美味しいエピソードが添え物にしかなっておらず残念。テーマの軸を親子愛においたなら仕方ないが、あそこはもう少し時間をかけて見たかった。

2020年3月6日

読書状況 観終わった [2020年3月6日]

パッケージからしてバタ臭いほどの悪ノリ。未見の人に説明すると、ほぼ第一印象まんまの内容である。
最愛の母の事故死から三年後、彼女の命日に上映されるホラー映画の世界に迷い込んだマックスたちが、生き残る為にあの手この手で殺人鬼への対策を練る。
ホラーあるあるネタのオンパレードが楽しく、登場人物も皆キャラが立ってる。
ホラー映画オタクで空気の読めない青年、SNSでメンヘラってる元友人、主人公にわかりやすく好意を持ってるイケメンなど、ちょっとズレてるが憎めないキャラ達のコミカルな掛け合いはティーンエイジャーのおバカさフルスロットル。
主人公たちが80年代の映画の世界に迷い込んでからは、劇中人物とのジェネレーションギャップに注目。まず序盤でホラー映画オタクと一般人の感性のズレを提示し、その後に80年代のフィルムフィクションの人物と、現代の若者との価値観のすれ違いを見せる手法は上手い。
怖いか怖くないかで言えば全然怖くはない。予告を見ればわかる通り、振り幅は完全にコメディーに寄ってる。
古今東西のホラー映画のメタやパロも含んでおり、「ストリップ=殺人鬼出現の前兆」と警戒し、ビッチな子にミトンを嵌めてぐるぐる巻きで厚着させるなど行き過ぎた演出がギャグになる。
そして絵がきれい。主人公と若き母が森の中で語り合うところでは、カラフルな花を前景におき、メルヒェンチックな雰囲気を出してる。
回想シーン突入時の演出など、映画の中だとこう見えるのか!なアイディアも新鮮。
総じて面白かったが不満もある。
回想シーンでさらに過去に飛ばされた時、指導員の悪ふざけをやめさせていれば、のちの殺人鬼も生まれず一件落着だったのでは……?
映画の根本を変える行動はできないとか、縛りがあるのだろうか。
欲を言えば、ヒロインと母のハートウォーミングなシーンに尺を割きすぎ。
映画の中のキャラと親友がイイ感じになってたが、フィクションの人物と現実の人物の恋という、いくらでも膨らませ甲斐のある美味しいエピソードが添え物にしかなっておらず残念。テーマの軸を親子愛においたなら仕方ないが、あそこはもう少し時間をかけて見たかった。

2020年3月6日

読書状況 読み終わった [2020年3月6日]

主人公といってもホフマンではない。今作のゲームパートの主人公、保険会社のCEOだ。
彼が今回の仕打ちに相当する許されざる極悪人とは思えない。
本当の極悪人なら身内も見捨てるし、赤の他人の部下が捕まったところで必死に助けようとはしない。自分なら第三ゲームで脱落してる。
脇腹を抉られながら両手両足を踏ん張り、高温の蒸気で火傷し、手を貫かれながらレバーを押し込み、身を挺して部下を助け続け、家族の為に奔走したCEОにすっかり同情的になっていたので結末はなんともやりきれない。
部下思いのいい人だったのに……
残酷で邪悪な人間が裁きを受けるなら胸がすくが、今回はただ冷徹なだけの男がジグソウの私怨でめちゃくちゃにされる話なので胸糞悪さ割り増し。
彼の提唱する独特の計算式が正しいとは言わないが、契約の範囲内で履行されたなら、資本主義社会の狡猾さを見抜けなかった客も愚かだ。
が、ジグソウは逆恨みする。
もうめっちゃする。
正義だ命の価値だ建前で今回完全に私怨に振り切ってるじゃねえか……しかも殺し方は全編トップクラスのエグさ。「金はある、主義の問題だ」って、金はあったのかよ!その金を医療か保険切られた被害者に使えよ!
ジグソウの行動原理が「良い人を助けたい」じゃなく「悪い奴を裁きたい」で、その都度個人の恨みだの口封じだので罰の重さが増減するのにモヤッとする。
善人悪人問わず惨殺される不条理な胸糞を貫くならそれでもいいが、思い出したように命の価値うんぬん正義の裁きうんぬんされると、啓発好きなシリアルキラーの詭弁を聞かされてるようでウンザリ。人間回転木馬なんて絶対楽しんで作ってたろ……

今作のゲームはどちらからというと身体的苦痛より精神的苦痛を重視したものが多かった。肉体的にも無論痛いのだが、参加者全員が部下とあって、切り捨てる側の苦悩が伝わってくる。
その最たるものがデス回転木馬。
職場じゃ和気藹藹とやってた連中が、自分だけは助かろうと仲間を売り飛ばして媚びまくる。下手に待ち時間があるせいで人間の醜さが全開になる嫌~~~なゲームだ。
スプラッタに突出したゲームの中で、人間関係に軋轢を生じさせ、心理的プレッシャーをかけてくる出色のアイディア。単純なグロにとどまらず、生きてる人間の醜さや怖さを暴き出す仕掛けをもっと増やしてほしかったな……

2020年3月6日

読書状況 読み終わった [2020年3月6日]

初手の解剖シーンがいちばんグロい。へー頭蓋骨の中ってあーなってんだふーん……
刑事パートとゲームパートが交差しながら続くお決まりの展開だが、場面転換がめまぐるしくて混乱する。自分的にはゲームパートが見たいので、刑事パートに戻る度にじれる。ジグソウの後継者争いメインに話が込み入ってきたせいか、集中力を欠く。
しかし「彼は人間だぞ」って……歯車とか逆トラバサミとか、どう考えても人間を楽しんで殺す拷問具を発明したおっさんにンなこと言われたくないんですが……
罪と罰を司り、命の価値を問い直す聖人にジョンを見立てたいのはわかるが、いっそギャグじゃないコレ??と突っ込みたくなるほど説得力が弱い。
ゲームパートと刑事パートがリンクしないのは残念だった。これならば完全に別の話として成立するし、同時進行する意味が然程ない。最後に一応ホフマンで繋がるのだが……
ゲームの内容は相変わらずグロいが、全員助かる選択肢が与えられているだけまだ優しい方。付け加えて言えば、参加者がアグレッシブにバイオレンス。これまでも参加者同士で裏切り出し抜き殺し合うことはあったが、今作ではほぼ序盤から疑心暗鬼、ギスギスした空気が漂っている。
面識ない赤の他人同士ときた上、経歴も前科もろくなヤツがいないから必然やることも容赦ない(性格はいわずもがな)特に女性陣のキレっぷりが怖い。
同情したくなる善人がいないので、ある意味安心して観られる。
個人的な不満は、いちばん罪の重い人物が生き残ってしまったこと。この人が利益目的で仕組んだ陰謀が全ての原因なんじゃ……

2020年3月6日

読書状況 読み終わった [2020年3月6日]

全体的に評判が芳しくないが、自分は推す。
その理由は一点に尽きる。悪い奴がちゃんと苦しんで死ぬから。

マンネリ化でストーリーが破綻するのは長期シリーズの宿命だが、5・6・ファイナルを通して見、「え?この人こんな惨たらしく嬲り殺されるほど悪くなくね??」ってモヤモヤ爆発してた自分は逆に4でスッキリ。
この先どんどん装置や拷問が過激になり、殺し方も悪趣味を極めてグロテスクになるが、ただ冷徹なだけの保険会社のCEOとか、嘘の自伝で大儲けしたけど別に他人を傷付けたり殺してもない愛妻家の男性が不条理に痛め付けられるのはキツい。妻に至っては完全にとばっちり。

グロと胸糞がウリならさもありなんだが、当初の大義名分はどこへやら殺人や拷問を楽しんでるだけにしか思えぬ矛盾にイライラする。
快楽殺人者なら快楽殺人者で吹っ切れよ!

その点妻子にDVするクソ男や、強姦魔のクソデブが犠牲者なら安心して見てられる(一人目の女性は写真を見ると誘拐殺人?)
ジグソウの指示に翻弄されるリッグのパートと、監禁された刑事パートの尺のバランスもよく、交互に挿入されることでスリルを出していた。ジグソウの過去は気の毒だが、子供が無事に産まれる前から浮かれまくりでちょっと引く。
ベビーベッドはともかく、乳幼児にあんな悪趣味な人形与えるって……極め付けは生まれてくる息子の名前を建物に付けるとか。娘だったらどうする、大ショックだぞ……。
今までの所業を振り返ると、ジグソウの可哀想な過去が判明しても同情する気になれない。ていうか、短い間でも父親だった経験があるなら3の彼への仕打ちは一体……
私怨7:正義感3(この比率は変動する上に、しばしば罪がない人間を巻き込んで残虐に殺す)で動くジグソウがどうしても小物くさく見えてしまうのは否めない。しかも大元の元凶のアマンダはほぼ即死であっさり死んでる。「彼女はいい人だ」って渋る恋人をお前がけしかけたんやないかい!!
アマンダにはもっと苦しみ悶えて死んでほしかった。

結末は予想の範囲内だが、アレだけの事やらかした殺人鬼の言い分を信じろってのも無茶振り。
リッグの軽率さが招いた必然の結末ともいえるが、娘を虐待しときながら悪びれぬ父親にたまらず殴りかかり、強姦魔を「自業自得だ」と脅したりと、血の気の多い正義感は好ましかった。故に退場は残念。

マシューズに靴はかせてあげて……凍傷になっちゃうよ……

2020年3月6日

読書状況 観終わった [2020年3月6日]

ツァボの人喰いライオン事件は有名な獣害事件で、小説・映画など、フィクションでも多く取り上げられてる。
本作は史実を大胆にアレンジ・省略しており、ウィキにも掲載されてるパターソン暗殺未遂事件はカット。
コレは石工たちが共謀し、ライオンのしわざと偽りパターソンを亡き者にせんとした陰謀だが、本作では人間とライオンの戦いにのみ焦点を絞っている。
広大なサバンナで生きる野生動物たち、ダイナミックなアフリカの大自然もさることながら、最大の見せ場はやはりライオンの存在感。人間が仕掛ける罠を出し抜き、欺き、残虐の限りを尽くす百獣の王の暴威には目を瞠る。
パターソンは非常に誠実な人物として描かれているが、最初彼の周囲にいた部下や知人がどんどん犠牲となり減っていくのが痛ましい。
中盤に登場するハンター・レミントンは映画オリジナルの人物で、史実には登場しない。南北戦争の生き残りであり、天涯孤独な男のアウトローな生き様はなかなか渋く魅せてくれる。レミントンとパターソンが死闘の中で友情を育んでいく過程もよい。
個人的には犠牲者が出ても、登場人物が安っぽく泣き崩れないのが好感触。敵がまだ生き残っているのに泣いてる暇なぞないとばかり、しぶとくしたたかに反撃を画策する。哀しみを秘めて闘志を奮い立たせる、その寡黙なたたずまいが熱い。
失策続きで自信を失いかけていたパターソンが、レミントンとの共闘を経て、恐怖を克服し勇敢さを獲得する展開はバディもの好きならぐっとくる。
息遣いや気配など、風や葦のざわめきに乗せて殺気が吹き付けてくるような音響は実にリアル。アップで迫るライオンの無機質な瞳も、何を考えてるかわからず怖い。実際の撮影では調教師を使ったとのことだが、ライオンが襲いかかるシーンなど、よくこんな迫力ある画が撮れたと感心する。
パターソン会心の一撃を受けたライオンが這いずるように前進する場面など、当時の未完成な映画技術でも、いやだからこそ、変に衒わないストレートな撮り方で迫真の恐怖を引き出すことに成功してる。終盤のパターソンがほぼランボー化していた。
ちなみに映画では語られてないが、二匹が人肉の味を覚えたきっかけは、マラリアで死亡した人足の亡骸。
当時、労働者の死体は断崖からそのまま投げ捨てられていた。
彼らはその死体を食べたことがきっかけで人を襲い始めたと言われており、ぶっちゃけ自業自得である。
冒頭で「アフリカの奴隷を解放するのが橋を架ける大義」と教授が演説をぶっていたが、大英帝国が奴隷売買や植民地分割で巨万の富を得てきた歴史を振り返ると白人至上主義の欺瞞を感じる。パターソンを主人公として持ち上げる装置とわかってはいるが、ちょっと複雑。

2020年3月2日

読書状況 観終わった [2020年3月2日]

ツァボの人喰いライオン事件は有名な獣害事件で、小説・映画など、フィクションでも多く取り上げられてる。
本作は史実を大胆にアレンジ・省略しており、ウィキにも掲載されてるパターソン暗殺未遂事件はカット。
コレは石工たちが共謀し、ライオンのしわざと偽りパターソンを亡き者にせんとした陰謀だが、本作では人間とライオンの戦いにのみ焦点を絞っている。
広大なサバンナで生きる野生動物たち、ダイナミックなアフリカの大自然もさることながら、最大の見せ場はやはりライオンの存在感。人間が仕掛ける罠を出し抜き、欺き、残虐の限りを尽くす百獣の王の暴威には目を瞠る。
パターソンは非常に誠実な人物として描かれているが、最初彼の周囲にいた部下や知人がどんどん犠牲となり減っていくのが痛ましい。
中盤に登場するハンター・レミントンは映画オリジナルの人物で、史実には登場しない。南北戦争の生き残りであり、天涯孤独な男のアウトローな生き様はなかなか渋く魅せてくれる。レミントンとパターソンが死闘の中で友情を育んでいく過程もよい。
個人的には犠牲者が出ても、登場人物が安っぽく泣き崩れないのが好感触。敵がまだ生き残っているのに泣いてる暇なぞないとばかり、しぶとくしたたかに反撃を画策する。哀しみを秘めて闘志を奮い立たせる、その寡黙なたたずまいが熱い。
失策続きで自信を失いかけていたパターソンが、レミントンとの共闘を経て、恐怖を克服し勇敢さを獲得する展開はバディもの好きならぐっとくる。
息遣いや気配など、風や葦のざわめきに乗せて殺気が吹き付けてくるような音響は実にリアル。アップで迫るライオンの無機質な瞳も、何を考えてるかわからず怖い。実際の撮影では調教師を使ったとのことだが、ライオンが襲いかかるシーンなど、よくこんな迫力ある画が撮れたと感心する。
パターソン会心の一撃を受けたライオンが這いずるように前進する場面など、当時の未完成な映画技術でも、いやだからこそ、変に衒わないストレートな撮り方で迫真の恐怖を引き出すことに成功してる。終盤のパターソンがほぼランボー化していた。
ちなみに映画では語られてないが、二匹が人肉の味を覚えたきっかけは、マラリアで死亡した人足の亡骸。
当時、労働者の死体は断崖からそのまま投げ捨てられていた。
彼らはその死体を食べたことがきっかけで人を襲い始めたと言われており、ぶっちゃけ自業自得である。
冒頭で「アフリカの奴隷を解放するのが橋を架ける大義」と教授が演説をぶっていたが、大英帝国が奴隷売買や植民地分割で巨万の富を得てきた歴史を振り返ると白人至上主義の欺瞞を感じる。パターソンを主人公として持ち上げる装置とわかってはいるが、ちょっと複雑。

2020年3月2日

読書状況 観終わった [2020年3月2日]

この漫画はpixivで無料公開されており誰でも読める。
「スターストリングスより」で検索するとフツーにトップのリンクから飛べるので、購入を迷っているならそちらを読んではいかがだろうか。
作者にお布施したい!どうしても個人で所有したい!というなら買って損はない。
絵柄はメルヒェンタッチでかわいらしいが、三頭身の女の子がやや古く感じた。作者の魅力であるディープにして壮大な世界観は健在。
広大な惑星にひとりぽっち、自分が誰かもわからない主人公コロルが、空から伸びた糸を延々のぼっていく話なのだが、のちに死生観をも含んで寓話とも神話ともいえる展開を見せる。そしてこのコロルも人間ではないことが複数の事実により示唆される。
「メイドインアビス」の読者なら波長が合いそうな作品で、仮想の希望が打ち砕かれたあとには過酷な現実を容赦なく突き付けられ、絶望のどん底に落とされる。主人公が孤独を再認識するガチ鬱展開。
だが鬱なだけでは終わらず、そんな状況でも生きる知恵を絞り、タフに生活していくコロルの姿は奇妙に前向きで明るい。
良質のサバイバル漫画でもあり、生物が生きるのも困難な環境で、水を確保し日々の食糧を獲得するコロルの逞しさは凄い。
最初に言ったように無料で読めるが、「メイドインアビス」の原点を求めるコアなファンなら、購入しても期待を裏切られることはない。
一点気になるのは、作中の謎に明確な回答が提示されないこと。
いわゆる投げっぱなしエンドで、コロルの正体や交信していた相手のことは最後まで明かされない。
意味深な伏線が全部キレイに回収されスッキリ解決大団円、みんな幸せになりましためでたしめでたし……なエンドではない。
これを余韻のある終わり方ととるか、中途半端ととるかで賛否が分かれる。

2020年2月29日

読書状況 読み終わった [2020年2月29日]

総じて面白く満足の出来だったのだが最初に一言叫ばせてほしい。

おい会長。
カイの父親の肩抱いてなんかいい雰囲気出してるけどお前が元凶やろがい!!!!!!!!!
「人魚捕まえて見せ物にしようぜ」っていいだしっぺお前やないかい!!!!!!!!!!

なのに遊歩の父親一人が悪者にされてるようでモヤってしまった……いや娘に過保護で誤解から人魚憎しに凝り固まった社長もどうかと思うけど、終盤主人公たちの味方に回ったからって祖父のやらかしは帳消しか?
そもそもコイツが遊園地で一山あてるの失敗して幼少時の遊歩父を貧困に落としたのが原因では?

と全力でツッコんでしまい、スッキリ解決大団円だーって空気に乗り切れなくなってしまった……
ラストの人魚&町民総出のダンスシーンでも社長だけハブかれてたし。いや確かにわかりやすい憎まれ役だったけど、そこまで一人にヘイト向けなくたっていいじゃない……ルーの言葉どおり「ルーみんな好き!みんな仲良し!」で幕閉じてよ……

映像美は素晴らしい。にょーんと伸び縮みする立方体にデフォルメされた水の表現は斬新だし、水中の歪んだ人体描写も面白い。
それ以上に鄙びた港町の風景がツボすぎる。あの無駄に長い石段!海に面した番屋!廃墟の遊園地!秘密基地みたいでわくわくする。
ルーも天真爛漫で可愛らしく、カイと手を繋いで夜の散歩をするパートなど、まんま2・3歳児のビジュアルと言動で微笑ましい。
カイの変貌はいささか唐突に感じた。遊歩たちと友好的になるのに、もう1エピソード入れてほしい。暗く俯いた無表情から突然キャラを180度変えた爽やか笑顔の中学生になるので当惑。
途中遊歩の自己中ぶりにイラッときたが、年齢を考えれば許容範囲の幼稚さか。
ルーの尾びれが音楽にのって脚に変形するシーンやパラソルで踊るシーンは、思わず体が動いてしまう楽しさ。

……が、57分経過した頃から中だるみした。ルーの父登場から椅子レースあたり。
物語としてカタルシスをもたらす為にタメが必要なのはわかるが、もっとテンポよく、端折るとこはサクッと端折って80分程度にまとめられたんじゃないか。
酷い目にあわされてもなお人間を助けようとする人魚たちの優しさ、善良さを強調したかった意図はともあれ、ルーが囚われるくだりはぶっちゃけいらない。
人魚たちと対照的な人間たちの醜悪さや強欲さを描きたかったんだとしても、ああこうなるだろうなと予想した通りの展開が続くので食傷気味。
それなら遊園地のショーで、ルーが晒し者にされた直後にお陰様の異変が起きて……とした方がいい。
2時間近い尺がある割には、キャラクターの捌き方が偏っている。
終盤ターボばあちゃんになって水上アクション演じるタコ婆もほぼ空気で、抗議に来てもすぐ閉め出される。
折角人魚と対立する位置にいたのだから、もう少し目立った出番あげてもよかったのでは。
カイの成長やルーとの友情に焦点を当てたかったのだろうが、そこに寄りすぎていた印象。
他のレビュアーも言ってたが、ポニョとの類似性は感じた。個人的にはこっちの方がポップで好み。人魚に噛まれると人魚になる=人間以外の人魚もいる、という古今東西類を見ない新しい人魚像を構築した点は良かった。体質的には人魚と吸血鬼のハイブリッド。

人魚=死にかけて人魚に救われた元人間ならば、身を挺して人間を救おうとするのは不自然じゃないが、人魚が性善説の体現者みたいに描かれるのも気になる。まあ軸となるストーリーに人魚と人間の対立まで盛りこんだら欲張りすぎか。
超常現象と日常が地続きで混在する世界観に戸惑う人がいたが、四畳半神話大系などの過去作が表す通り、それは湯浅監督の作風と言うしかない。
彼の作品は、四畳半の生活感を滲ませながら摩訶不思議な事が...

続きを読む

2020年2月26日

読書状況 観終わった [2020年2月26日]

総じて面白く満足の出来だったのだが最初に一言叫ばせてほしい。

おい会長。
カイの父親の肩抱いてなんかいい雰囲気出してるけどお前が元凶やろがい!!!!!!!!!
「人魚捕まえて見せ物にしようぜ」っていいだしっぺお前やないかい!!!!!!!!!!

なのに遊歩の父親一人が悪者にされてるようでモヤってしまった……いや娘に過保護で誤解から人魚憎しに凝り固まった社長もどうかと思うけど、終盤主人公たちの味方に回ったからって祖父のやらかしは帳消しか?
そもそもコイツが遊園地で一山あてるの失敗して幼少時の遊歩父を貧困に落としたのが原因では?

と全力でツッコんでしまい、スッキリ解決大団円だーって空気に乗り切れなくなってしまった……
ラストの人魚&町民総出のダンスシーンでも社長だけハブかれてたし。いや確かにわかりやすい憎まれ役だったけど、そこまで一人にヘイト向けなくたっていいじゃない……ルーの言葉どおり「ルーみんな好き!みんな仲良し!」で幕閉じてよ……

映像美は素晴らしい。にょーんと伸び縮みする立方体にデフォルメされた水の表現は斬新だし、水中の歪んだ人体描写も面白い。
それ以上に鄙びた港町の風景がツボすぎる。あの無駄に長い石段!海に面した番屋!廃墟の遊園地!秘密基地みたいでわくわくする。
ルーも天真爛漫で可愛らしく、カイと手を繋いで夜の散歩をするパートなど、まんま2・3歳児のビジュアルと言動で微笑ましい。
カイの変貌はいささか唐突に感じた。遊歩たちと友好的になるのに、もう1エピソード入れてほしい。暗く俯いた無表情から突然キャラを180度変えた爽やか笑顔の中学生になるので当惑。
途中遊歩の自己中ぶりにイラッときたが、年齢を考えれば許容範囲の幼稚さか。
ルーの尾びれが音楽にのって脚に変形するシーンやパラソルで踊るシーンは、思わず体が動いてしまう楽しさ。

……が、57分経過した頃から中だるみした。ルーの父登場から椅子レースあたり。
物語としてカタルシスをもたらす為にタメが必要なのはわかるが、もっとテンポよく、端折るとこはサクッと端折って80分程度にまとめられたんじゃないか。
酷い目にあわされてもなお人間を助けようとする人魚たちの優しさ、善良さを強調したかった意図はともあれ、ルーが囚われるくだりはぶっちゃけいらない。
人魚たちと対照的な人間たちの醜悪さや強欲さを描きたかったんだとしても、ああこうなるだろうなと予想した通りの展開が続くので食傷気味。
それなら遊園地のショーで、ルーが晒し者にされた直後にお陰様の異変が起きて……とした方がいい。
2時間近い尺がある割には、キャラクターの捌き方が偏っている。
終盤ターボばあちゃんになって水上アクション演じるタコ婆もほぼ空気で、抗議に来てもすぐ閉め出される。
折角人魚と対立する位置にいたのだから、もう少し目立った出番あげてもよかったのでは。
カイの成長やルーとの友情に焦点を当てたかったのだろうが、そこに寄りすぎていた印象。
他のレビュアーも言ってたが、ポニョとの類似性は感じた。個人的にはこっちの方がポップで好み。人魚に噛まれると人魚になる=人間以外の人魚もいる、という古今東西類を見ない新しい人魚像を構築した点は良かった。体質的には人魚と吸血鬼のハイブリッド。

人魚=死にかけて人魚に救われた元人間ならば、身を挺して人間を救おうとするのは不自然じゃないが、人魚が性善説の体現者みたいに描かれるのも気になる。まあ軸となるストーリーに人魚と人間の対立まで盛りこんだら欲張りすぎか。
超常現象と日常が地続きで混在する世界観に戸惑う人がいたが、四畳半神話大系などの過去作が表す通り、それは湯浅監督の作風と言うしかない。
彼の作品は、四畳半の生活感を滲ませながら摩訶不思議な事が...

続きを読む

2020年2月26日

読書状況 観終わった [2020年2月26日]

デジモンは子供の頃見てた位で、さほど詳しいわけでも熱烈なファンというわけでもないが、評判がいいので視聴。
感想は……面白かったー!
現実世界に帰還した太一と光子郎のパソコンに謎のデジモン幼体が出現。そいつは世界中のデータを次々食い尽くし無限に分裂していくヤバいヤツだった!
という話なのだが、この内容を過不足なく40分にきっちりおさめた手腕がすごい。なにせ全世界を巻き込むレベルでスケールが壮大なので、本来なら二時間は欲しいところを、アニメ一話分に僅か10分足しただけの尺に起承転結カチッと盛り込んでいる。
細田守らしい演出のこだわりも随所に見られ、団地を引きで撮ったカットとか、電脳空間のサイバーなビジュアルなどが印象的。特に後者は監督の代表作、「サマーウォーズ」がデジャビュ。
細田守は本作に着想を得てサマーウォーズを撮ったらしいが、舞台を日本の田舎にスライドし大家族のドラマを追加しただけで、概要は驚くほどよく似ている。
緩急の付け方も絶品で、ネット空間で進化する敵が現実世界にもたらす被害の大きさと反比例し、パートナーデジモンとタッグを組んで脅威に対処する太一たち視点はいまいちシリアスに徹しきれない。
太一ママののほほんとしたお喋りはいちいち場を和ませて笑いを誘うし、それに礼儀正しく応じる光子郎に「おいおいそんなに烏龍茶飲んで大丈夫か……」と突っ込んでいたら案の定な展開。
同時進行で祖母の田舎(島根)に帰省していたヤマトとタケルが、パソコンを見付ける為にドタバタコミカルに奔走するのだが、こちらも実にとぼけた味わいで笑わせてくれる。本筋には直接関与しない、ちょい役の田舎の人たちが凄く親切な上にキャラが立っていて、サマーウォーズに出てくる親戚の原型?と深読み。
もちろん熱いバトルもあり、王道といえば王道、ありきたりといえばありきたりなピンチからの覚醒→合体だが、世界中の子供たちから殺到する応援メールが電脳空間を埋め尽くす光景は、やっぱりテンション上がる。
そこで閃く光子郎の機転もイイ!
パソコンやネット知識がない凡人も、「あーなるほどね!」と経験則で発想が繋がるアイディアで、見事に一発逆転してくれる。メールの再利用法といい、序盤から上手く伏線が仕込まれており、ここで生きてくるのかー!と唸る。
レンジのタイマーと核ミサイルのカウントダウンを同時に見せる演出もスリルを煽るし、そのミスリードがまた憎い。すべての伏線をキレイに回収し、子供も大人も楽しめる良作に仕上げている。

不満をあげるなら、太一・光子郎・ヤマト・タケルの四人以外選ばれし子どもたちの活躍がないこと。ヤマトとタケルが参戦するのも中盤以降である。
空に至っては「え、そんなことで怒るの?!」と斜め上のキレ方。ていうか、空ってこんな嫌な子だっけ……ネタバレになってしまうので詳細は控えるが、憎からず思ってる相手からのプレゼントを悪意にとりすぎでは?とひっかかる。
この映画だけ見ると空と太一は友達以上カップル未満の両想いに見えるのだが、続編で空がヤマトとくっ付くと聞いて混乱している。な、なんでそうなった……?理解できない。

話変わるが、細田守監督は無から有を生み出すより、もともとある素材をアレンジするほうが生きるのかもしれない。
本作とサマーウォーズの共通項の多さや、監督自身が担当した脚本に矛盾が噴出し話が破綻する現状を踏まえると、下手にオンリーワンのオリジナリティを追及するより換骨奪胎のセンスを磨く方が良いエンターテイメント作品が仕上がりそうだ。

2020年2月26日

読書状況 観終わった [2020年2月26日]
ツイートする