- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784096221150
作品紹介・あらすじ
日中戦争前後から、アジア各地や南洋地域へと侵略するなかで、日本は各地で人びとを動員する。植民地から日本本土へ、日本から植民地へ、生存するために多くの人びとが移動し、また、移動を強いられた。そしてアジア太平洋戦争の敗北とともに、彼らは故郷をめざす。しかし、その道のりは平坦ではなかった。中国大陸では国共内戦が激化し、日本の敗戦前夜からはじまった東西冷戦により朝鮮戦争が勃発、帰る場所を失う人びと。満州にいた日本兵たちはシベリアへ抑留され、一方で米軍統治下の沖縄へは戻れなくなる。彼らへの聞き取りや残された記録を追って、じっさい彼らがどのように戦争を体験したのかを探りながら、あの戦争の実態を描き出します。
感想・レビュー・書評
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とくに戦中に生き、戦争に翻弄された一般の人間の「経験」をクローズアップしている点で、政治や経済を中心に描いてきたこれまでの戦中・戦後を描いた通史とは一味違う構成である。とても興味深い。
でも、その一方で、これまで歴史学が総力を挙げて取り組んできた、そして実際に戦争を体験した人が知りたいと思っているであろう「なぜ戦争がおこったのか?」という問いはもう立てなくていいのか、という気になる。もちろん、この本でも、対外関係などとおりいっぺんの戦争にいたった経緯は記されている。でも、そのとおりいっぺんの戦争がおこった原因の記述と、個々の人間の「経験」が、どのように結び付いているのかわからなくなってしまうのだ。
「経験」を書くか、「政治・経済」を書くか、の二者択一ではなく、両方を昇華するような歴史叙述というのはありえないのだろうか。マクロとミクロの視点をつなぐ理論的なツールが今後は必要になってくるのかもしれない。少なくとも、マクロとミクロの両者の視点の関係は、探究されていくべきなんだろうなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
[ 目次 ]
第1章 大恐慌と満州事変
第2章 大日本帝国としての日本
第3章 総力戦の時代
第4章 アジア・太平洋のなかの日本の戦争
第5章 戦争の終わり方と東アジア
第6章 占領と戦後の出発
第7章 戦後社会をつくる
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