本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784096820735
作品紹介・あらすじ
巨匠たちが追い求めた「理想の美女」の全て
人の身体が卑しいものとされ人前で語ることがタブー視された中世の束縛から解放されたルネサンス期のイタリアでは、人の身体について公の場で論じることが盛んとなりました。それとともに、旧来の女性像とはまったく異なる多様で豊かな女性観が発達し、巨匠たちが描く女性像にも大きな影響を及ぼしました。その結果、イタリア・ルネサンスは「女性の時代」と称されるほどに、さまざまな女性像であふれています。
本書は、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ボッティチェリ、ラファエロ、ティツィアーノらイタリア・ルネサンスの巨匠たちが追い求めた「理想の美女」の全貌を、数多くの大判で美麗な図版で紹介する画集です。
また、平易な文章で社会的・美術史的・文化史的な背景を掘り下げたテキストと詳細な作品解説によって、ルネサンス絵画の魅力と本質を、一般の読者にも面白くわかりやすく読み解いていきます。
感想・レビュー・書評
-
こうやってイタリ・ルネサンス期の美女が並べられると、やはり可憐で美しいと思うのはボッティチェリが描く少女たちか。平板で装飾的な絵が、現代のイラストにも通じる親しみさを感じさせる。ヴィーナスが大っぴらに描かれるようになったのは、ボッティチェリ辺りからなのである。
聖母マリアの処女懐妊を思わせる記述は新約聖書にあるのだが、その新約聖書ではマリアはほとんど重要視されていない。ローマ人たちにキリスト教が浸透する中で、聖母マリアが重要視されていくのであるが、中世期おいては権威をまとった存在であり、権威を象徴する赤い衣服をまとっていた。ルネサンスになって、聖母マリアは実際のモデルの容姿で描かれるようになる。清純さを表す青い衣服にもなる。清らかで優し気な少女のイメージを作り上げたのはラファエロである。確かにラファエロの聖母マリアは親しみやすいものであっても、その清らかさは紛れもない。フィリッポ・リッピの聖母マリアなんかは好きだけどねえ。修道士のリッピの恋人の尼僧をモデルにしているみたい。さすがにレオナルド・ダ・ヴィンチが描く女性はすさまじい美しさだ。近寄りがたいけど。
そのほか、たくさんのルネサンス期の女性たちの肖像画なども載せられていて、まさしく眼福である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
借りたもの。
ルネサンス絵画における女性たちの表現の変容――込められた意図から美の体現まで――を項目ごとにまとめたもの。
項目とは「女神」「聖母」「女性のあるべき姿」「横たわる裸婦の官能美」そしてそれら「美神たちの変容」を追っていく。
正確な理想の美の追求から、多少の誇張(強調)でドラマティックに描画する、ミケランジェロのマニエリスムの台頭まで。
本のサイズの分だけ図版が大きめなので、見ごたえがある。
序章には1401年に起こった、13世紀に書かれた『薔薇物語』における女性への偏見……その理由を旧約聖書のエヴァ(イヴ)に求め、曰く‘判断力に欠け、誘惑に弱く、色香をもって男性を堕落させる……’とし、それが支持されていたことに、クリスティーヌ・ド・ピザンという女性が反論した話から始まる。
そこから、この時代、女性の描き方がルネサンス以前と以降で大きく違う事を強調している。
官能美に関する項目では、注文主が禁欲的で厳粛な教会・聖職者から世俗的な人々へと移った事も相まって、ポルノグラフィティ的な側面が強くなることがわかる。
それだけでなく、当時の婚姻形態…女性は多額の持参金が無いと結婚できない、男性はギルドの既得権益保護のせいで経済的自立ができない…という問題があった、との事。
……心なしか、現代にも通じるような?制度によって社会が破綻してる。人類史はその繰り返しか。
著者はこの時代の女性像の多様性を強調している。
それは全くその通りだと思うが、当時活躍した画家たちが、どうしても男性が多いので、「“男性の”美の理想としての女性」ではないか…と斜に構えてしまう。最も、それが現代まで続く美の基本…古典となっているのだが。
…では女性が描く女性美とは何か、という定義が、私には未だ曖昧な事と、それはこの本には関係ない事なのでここで止めよう。 -
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac.nara-ni.ac.jp/opac/volume/747569 -
前から気になっていたこいつに手を出してしまった!
著者プロフィール
池上英洋の作品
本棚登録 :
感想 :
