そのとき、西洋では: 時代で比べる日本美術と西洋美術

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096822746

作品紹介・あらすじ

日本美術という窓から見た西洋美術

古代から現代まで、「同時代性」という観点から、時代ごとに西洋美術と日本美術を比較。それによって、時に不思議なほどの類似点をもち、時に対照的な展開を見せる、また、時に影響し合い、時に遠く隔たる両者の歴史の在り様、そのダイナミズムを、著者独自の切り口によるテーマにそって明らかにしていきます。それによって、各々の美術の歴史を個別に見ていただけではわからない、人の営為としての美術の面白さ、奥深さや豊かさが見えてきます。美術についてのグローバルな理解を追究する意欲作。
『日本美術全集』全20巻の月報にて好評連載「その時、西洋では」を大幅に加筆修正。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の芸術と西洋の芸術を同列に考えるのは(私にとって)非常に難しく、ついつい切り離して鑑賞してしまいがちだ。とはいえ同じ時代に別の地点で様々な芸術が開花していたことは事実で、そこを非常に明朗に語ってくれている本書はとても面白い。西洋美術の解説が主ではあるけれど、同時代の日本美術との比較、日本と西洋の歴史の流れなど様々な発見があり、芸術に目を向ける新たな視点をひとつ手に入れたような感覚。

  • 日本美術と西洋美術を俯瞰し、時代で並べて同時代にどんな美術が世界と日本で起こったか、その比較を通し、それぞれの美術の在り方を探るという本かと思う。
    日本美術、西洋美術をそれぞれに論じる本は多いと思うが、それらの関係性に注目したところが面白い。美術と宗教の関係、美術品とそれが配置される建築との関係という論点はとても興味深かった。近代までは一貫して美術に及ぼす宗教の影響力はなんて大きいのか。偶像崇拝の認否が時代で変わるたびに、それに合わせて彫刻、像の美術が興隆するというのも面白い。また日本では西洋に比べ、美術品と背景となる建築の結びつきはゆるやかで、移動されることも多いというのは、確かに!と。日本の住居は、西洋の住居と違って、部屋の用途を限定しない、たとえば寝室とか居間とかに固定されず、さまざまに流用される日本の住形態と通じるものがあるのではないだろうか。
    ただ盛だくさんで歴史の資料集か教科書的な気もした。タイトルから予想した内容より一般的な美術史の比較に終わっている気もした。たとえば宗教と美術、建築と美術といったテーマに絞って書いてくださったものを読みたいとも思う。以前に読んだ同じ著者が書かれた「美術の力」の方が、著者の意見、考えが述べられていて、一層面白かった。

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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