- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098250189
作品紹介・あらすじ
東京都立駒込病院の脳外科医長・篠浦伸禎氏が、臨床で1冊の「人間学」の本を神経疾患(うつ、自律神経失調)の患者に手渡したところ、薬よりも効果が認められた。それはなぜなのか?
そこから始まった研究でわかったのは「人間学」の教えを実践することは究極の「脳トレ」である、ということだった。いかに人間らしく生きるかを考えた「人間学」を最先端の脳科学で読み解くと、脳と心の関係が見えてくる。私心にとらわれることなく「公」を考えることが脳に新しい回路を開き、「志」を持つことがストレスを乗り越える脳を作る。脳の「いい使い方」が幸せに生きるための鉄則だということが脳科学的に解明されつつある。脳外科の臨床からわかった「究極の脳の使い方」をレポートする。
感想・レビュー・書評
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脳が動物脳(大脳辺縁系)、右脳、左脳から成り立っており、そのバランスが必要だが、現在の日本は合理主義、成果主義、利益優先社会であり、左脳的な機能が過大に求められてバランスが崩れ、公よりも私が優先されていることが、メンタルの病や格差、社会の信頼の崩壊などの様々な社会問題をもたらしていると分析する。そして、右脳や公的脳を伸ばすには人間学が有効と主張している。
メンタルや社会の問題を右脳、左脳のバランスの崩れとしてとらえる考え方はおもしろい。特に教育の場で、左脳的な機能が優先され、戦前までの教育の中心だった経験則に基づく人間学が重要視されていないという指摘も的を射ていると思う。
・人間は、左脳的なセンスで科学技術を発展させ、便利で豊かな資本主義社会をつくりあげたが、心を豊かに育て進歩させる右脳的なセンスを失ってしまった。
・人間学の伝える公の精神や愛、弱いものに対する惻隠の情や義侠心の考え方は、弱った心に活力を注いでくれる。これは、右脳を暖かく刺激する力となり、脳全体をバランスよく活用させて、人間らしく動かす力になると考えられる。
・人間学は、失敗やつまずきによって自分の人生が否定されることはないことを思い出させ、広い視野を与えてくれる生き方のヒントを与えてくれる。
・人間学は、大きな目標、愛に基づいた志が必要だと繰り返し述べている。志を持つということは、目的に対していかに自分を律して努力を続けるかという、行動の原動力のようなもの。
・戦前の教育では、論語などの人間学、すなわち人間関係や人間の生き方を問う学問が教育の基本となっていた。そうした教育を受け、戦争の苦労を体験した人々が、戦後の復興の中軸となって世の中をつくってきた。この世代が1980年代に引退すると、利益優先の動物的な精神が世の中を席巻し始め、私が優先される社会のなかで、バブルも引き起こした。社会のひずみが、弱い立場にある若者や同人を追いこみ、うつや自律神経系の症状などの問題を引き起こしている面もあるだろう。
・戦後の教育は、左脳の機能である学校の成績でのみ評価するものであり、右脳の機能は評価されない。
<紹介されている本>
安岡正篤人間学(神渡良平)
西郷南洲遺訓(山田 済斎)
安岡正篤・中村天風の人望学(下村澄, 清水榮一)
世に棲む日日(司馬遼太郎)
日本人の神髄―8人の先賢に学ぶ「大和魂」(小田全宏)
春風を斬る―小説・山岡鉄舟(神渡良平)
本田宗一郎 こうすれば人生はもっと面白くなる!(一ノ瀬遼)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間脳/動物脳、左脳/右脳、公/私、人間学など
自分が思っていたことと、リンクすることが多々あった。
現代社会に、昔のような英雄がいないと思えてしまうのは
「志」を持った、リーダーが減ってしまったからなんだろうな。
個人の利益や損得しか考えない、似非リーダー「私」が目に付く。
脳のタイプを知るテストも、いくつかあるので(まだやってない)
自分の脳タイプを知り、左脳/右脳のバランスを意識しながら生活すれば
生き易くなるんだと思う。 -
脳外科医である著者が発見したこととは?
病変だけを治そうとするのではなく、人間の道・志を思い出させることを並行して行った方が治癒率が高まる、ということ。人間は感情で生きている。
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『人に向かわず天に向かえ』 (小学館101新書 18) 篠浦伸禎
http://booklog.jp/users/jwtdream/archives/4098250187
小学館(2009-02-03)
内容紹介
東京都立駒込病院の脳外科医長・篠浦伸禎氏が、臨床で1冊の「人間学」の本を神経疾患(うつ、
自律神経失調)の患者に手渡したところ、薬よりも効果が認められた。それはなぜなのか?
そこから始まった研究でわかったのは、「人間学」の教えを実践することは究極の「脳トレ」である、ということだった。
いかに人間らしく生きるかを考えた「人間学」を最先端の脳科学で読み解くと、脳と心の関係が見えてくる。
私心にとらわれることなく「公」を考えることが脳に新しい回路を開き、「志」を持つことが
ストレスを乗り越える脳を作る。脳の「いい使い方」が幸せに生きるための鉄則だということが
脳科学的に解明されつつある。
脳外科の臨床からわかった「究極の脳の使い方」をレポートする。
内容(「BOOK」データベースより)
東京都立駒込病院の脳外科医長・篠浦伸禎氏が、臨床で1冊の「人間学」の本を神経疾患(うつ、自律神経失調)の患者に手渡したところ、薬よりも効果が認められた。それはなぜなのか?そこから始まった研究でわかったのは「人間学」の教えを実践することは究極の「脳トレ」である、ということだった。いかに人間らしく生きるかを考えた「人間学」を最先端の脳科学で読み解くと、脳と心の関係が見えてくる。私心にとらわれることなく「公」を考えることが脳に新しい回路を開き、「志」を持つことがストレスを乗り越える脳を作る。脳の「いい使い方」が幸せに生きるための鉄則だということが脳科学的に解明されつつある。脳外科の臨床からわかった「究極の脳の使い方」をレポートする。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
篠浦 伸禎
1958年生まれ。東京大学医学部卒業後、富士脳障害研究所、東京大学医学部附属病院、茨城県立中央病院、都立荏原病院、国立国際医療センターなどで、脳外科手術を行う。1992年東京大学医学部の医学博士を取得。シンシナティ大学分子生物学部に留学、帰国後、国立国際医療センターなどで脳神経外科医として勤務。2000年より都立駒込病院脳神経外科医長として活躍している。脳の覚醒下手術ではトップクラスの実績を誇る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)