日本列島SOS: 太陽黒点消滅が招く異常気象 (小学館新書 244)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252442

作品紹介・あらすじ

氷河期再来? あなたの知らない地球の現実

地球はまったく温暖化などしていない!? この驚くべき説が宇宙物理学者の間で支持されているといいます。じつはこの10年、地球の平均気温はほとんど上昇しておらず、オゾンホールも消滅し、CO2(二酸化炭素)による温暖化の根拠が崩れているのです。NASAの主任研究員を経て、神奈川大学の学長も務めた宇宙物理学の権威が、長年にわたる研究の末、太陽の黒点活動が弱まり、地球が寒冷化していると主張。17世紀に夏のロンドンで川が凍ったなど異常現象が記録に残されており、江戸時代には浅間山が大噴火して飢饉も起こりました。このままでは再度同様の厳しい環境となり、小氷河期に突入するというのです。最近、日本も冬は豪雪に見舞われ、次々と日本列島を襲う夏の台風やゲリラ豪雨、度重なる地震活動と火山噴火で、日常に不安を感じる人が多いことでしょう。これから生きていくために知っておきたい、太陽と地球の現実を解説します。

【編集担当からのおすすめ情報】
近年、北極圏などでオーロラがめっきり見られなくなったのも、太陽の黒点活動が弱まっているため。
環境によいとされるソーラーパネルも、じつは周辺の気温を上昇させ自然を破壊するとか。常識を覆す、目からウロコの新説も。

感想・レビュー・書評

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  • 太陽の黒点消滅が、気象現象に大きい影響を与えていることを説いた一冊。

    現代だけではなく、古代から黒点の影響が氷河期を招いたり、それによって人類の移動や人口の増減があったりと、非常に勉強になった。

  • 地球温暖化が最近どの程度進んでいるのか私はわかりませんが、気象変動が起きているのは事実のようです。この本によれば、温暖化ではなく地球は寒冷化に向かっている様ですね。

    また、今までの日本の歴史を振り返っても、寒冷化の時期に歴史の大変動が起きていることが多かったようです。

    気象変動が先なのか、歴史の大変動が先なのかわかりませんが、今年(2015)の夏は7月の初めこそは暑かったですが、今日(8月30日)の時点で、もう秋のような陽気です。

    この本は地球物理学者の桜井氏が、現在の、太陽と地球の現実を解説しています。スーパー台風、ゲリラ豪雨、爆弾低気圧、これから気にしていこうと思ったキーワードでした。

    以下は気になったポイントです。

    ・2015年の4月8日には、桜が咲いたのに雪やみぞれが降った、早朝の最低気温は3℃と1月下旬並みで、1988年以来の27年ぶり(p4)

    ・よく知られている寒冷化は、17世紀半ば(1645)から、18世紀初め(1715)にかけての70年にわたる、この時期は「マウンダー極小期」と呼ばれる、日本では毎年冷害だった(p8)

    ・人間が太陽風を浴びることなく過ごせるのは、地球に磁場があるため。なので太陽風は磁場に遮られて地上に到達できない。金星には磁気がないので、大気を加熱して400℃に達する(p35、121)

    ・過去の歴史を見ると、無黒点状態が続いた場合、地球が寒冷化する可能性がある(p35)

    ・縄文人が長い間にわたって培ってきた現代日本語の原形をつくりあげてきたので、弥生時代に入ってきた言語は影響を及ぼさなかった(p45)

    ・中国から漢字を取り入れる過程において、まず片(カタ)仮名文字を発明、ついには発音に対応した平(ヒラ)仮名文字を発明した(p46)

    ・太陽活動が極端に低下した時代には、地球環境は寒冷化、人々の暮らしが厳しくなり、多くの人々が飢餓とペストなどの病気の流行に苦しめられた(p59)

    ・10世紀半ばから13世紀半ばにかけてのほぼ300年間は、地球温暖化が進んだ時代、平安後半から鎌倉時代あたり(p60)

    ・平家一族が落ち延びていく先に当たる、関西から西側に広がる中国地方から九州にかけては温暖多雨で食糧難であった(p71)

    ・1250年から1850年までの約600年は、地球全体が寒冷化した世にいう小氷河期に閉ざされた時代、ドールトンと呼ばれる極小期(p72)

    ・フビライハンが王位を継いだころには、すでに太陽活動は衰微に向かっていて、小氷河期が始まりつつあった(p76)

    ・文永、弘安の二度にわたる元寇が、台風に見舞わられたという歴史的事実は、気候の寒冷化の進行を如実に示しているだろう(p78)

    ・1783年以降、頻繁に起こった浅間山噴火により寒冷化が始まった、欧州では小麦・ぶどうの農業生産が落ち込み、このような状況でフランス革命が起きた(p99)

    ・季節が生じるのは、太陽の周囲を公転する地球の自転軸が23度ほど傾いているから。晴れたり曇ったりの気象現象は、大気中に生成される雲とその運動による(p127)

    ・アメリカ科学振興協会(AAAS)の機関誌である「サイエンス」によれば、2000年以降、世界の平均気温はほぼ同じ状態であり上昇していない(p135)

    ・広大な空き地に太陽光パネルを設置したら、その場所の気温が上昇して、地球環境の変化は避けられない。エネルギーは一度蓄積したらどうやって捨てるかを考えなければならない(p165、166)

    ・台風発生が多い理由として、1)地球内部のマントル対流の温暖化、2)森林の減少と砂漠化、これがメインで二酸化炭素増加ではない(p172、188)

    2015年8月30日作成

  • 二酸化炭素の排出による温暖化よりも宇宙線の侵入による影響が大きい、と。太陽の活動が活発になったり沈静化することで地球の磁場に影響が出、その強弱によって宇宙線の侵入量が変わる。太陽光パネルを増設していくことはパネル上の大気を温め、温暖化を加速する。マントル対流の活性化により地球内部からの放熱が増えることで海水温が上がっている。

    宇宙物理学の視点から温暖化を見ると、こうなるという一書。

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著者プロフィール

1933年埼玉県生まれ。現在、早稲田大学理工学術院総合研究所客員顧問研究員、横浜市民プラザ副会長、アメリカアラバマ州ハンツビル市名誉市民。1956 年京都大学理学部卒、理学博士。京都大学工学部助手、助教授、アメリカNASA 上級研究員、メリーランド大学教授を経て、神奈川大学工学部教授、同学部長、同学長を歴任。研究分野は高エネルギー宇宙物理学、太陽物理学。
著書:『移り気な太陽』(恒星社厚生閣)、『太陽−研究の最前線に立ちて』(サイエンス社)、『天体物理学の基礎』(地人書館)、『宇宙プラズマ物理学』(恒星社厚生閣)、『天文学を作った巨人たち』(中央公論新社)、『日本列島SOS』(小学館)、他100 冊余り。

「2016年 『ホッケースティック幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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