- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098253739
作品紹介・あらすじ
北朝鮮当局が忌み嫌う記者が放った決死の書
北朝鮮は独裁国家だ。情報統制も厳しい。内情を知るには公式発表の裏を読み取るか、脱北者の証言に頼るか。いや唯一、抜け道があった。それが今回、筆者が試みた内部資料である。
朝鮮半島取材25年に及ぶ筆者は、独自のルートで約1400件超の機密文書や音声記録を入手した。金正恩の暗殺計画から朝鮮人民軍の内申書、はたまた深刻な麻薬汚染や巷に現れたモヒカン男子への戒めまで。
〈資料を通じて北朝鮮の全体像に迫ろうとする本書の内容は、北朝鮮で体制側に属し、最高指導者に忠誠を誓っている彼の国の知人たちを不快にさせたり、怒らせたりすることが きっとあるはずだ。日本と北朝鮮を隔てる体制の壁は高く、厚い。北朝鮮の人々と育んだ友情や信頼を失うおそれは、絶対にないとはいえない。 そういう点を考えると、本書の執筆はある意味、私にとって北朝鮮との「決別宣言」に なるかもしれない〉
――本書「まえがき」より
当局発の文書ゆえ生々しい。圧政に苦しみながらも生き抜く民衆のしたたかも見えてくる。北の監視網を潜り続けた筆者の取材余録もコラムとして収録!
【編集担当からのおすすめ情報】
北も本書に重大関心?
〈本書の校了直前、何者かが私に成りすまして、多くの知人に電子メールを送りつけた(略)私のコンピューターに保存されている少なからぬ北朝鮮関連の資料が無断でアップロードされていた。何者かが私のコンピューターに侵入したのは明らかだった〉
本書編集担当も校了直前に大混乱!
――詳しくは「あとがき」参照
感想・レビュー・書評
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新聞記者である著者が中国で北朝鮮人と接触して得た情報や、手に入れた大量の北朝鮮文書を通して「北朝鮮の実情」と解き明かす。
紹介された文書は、人民の取り締まりに関する検察文書や、住宅のない軍官のリスト、金正恩の指示に至るまで幅広い。それと合わせ、「講演会」(全住民が半強制的に出席する勉強会のようなもの)での音声データの内容にも触れられており、北朝鮮が住民に対してどのような「教育」を行っているのか、また世界情勢をどのように解説しているのかという情報の一端に触れることができる。
公開されている北朝鮮の文書と合わせて、こうした「機密文書」を読むことで、北朝鮮が何を隠そうとしているのか、何を偽っているのかが見えてくる。
文章は読みやすく、面白いが、多少内容がマニアックでもあるため、北朝鮮のことをある程度知っている人にこそおすすめしたい一冊である。
著者が中国で取材妨害に遭うエピソードや、北朝鮮の情報提供者に様々な(そして高価な)「見返り」を求められて困る話などを読むと、ヒューミントの困難さやその苦労に頭が下がる思いである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●北朝鮮の情報を知るには、公式発表の裏を読み取るか、脱北者の証言に頼るか。または内部資料から読み取るかだ。
●なぜ核開発に舵を切ったのか。現在の軍部では祖国と人民のために任務を遂行できる能力を備えていない。 -
報告文書が基本的に硬派な言葉が多い印象。
「彼の国」の生粋の真面目さを知りたい方にはオススメ。 -
東京新聞の記者が北京特派員時代に入手した北朝鮮の機密情報を集めた新書。時期や内容もばらばらで体系的に語られている本ではないが、記者がヒューミントで得た生の情報という点で北朝鮮のリアルな実情がわかる貴重な本。
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著者が入手した北朝鮮当局各機関の内部文書、講演記録など(『北朝鮮・絶対秘密文書』と一部重複?)。中枢のものがあるわけではないのは当然。また、金正恩自身や対米関係に関わる文書は建前そのままの内容という印象。また著者のSIGINTの理解には少し勘違いがあるようだ。
一方で生き生きしていて面白いのが、国内の犯罪や不祥事に関するもの。青少年での覚醒剤蔓延やワイドショー的犯罪、韓国ドラマ流入。軍内部での規律弛緩や不満。文化財や放射性物質窃盗など。犯罪はともかく、モヒカン頭の青年や無学から成り上がった起業家、非社会主義的な「チャンマダン世代」には逞しさを感じる。
また著者自身の取材経験もいくつか挿入されている。金銭・物品の贈与や身分偽装を行ったことを認め、批判を意識しつつも、関係構築のためには必要だと信条として肯定する。いずれ公になる事項であっても、事前に記事化できたことをスクープとして誇り、事前にはできなかったことを残念がる。記者の思考の一端が分かった。 -
シルミドの著者なので、期待したがあまり面白くなかった。