親ができるのはほんの少しばかりのこと (新潮文庫 や 28-14)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101018249

作品紹介・あらすじ

親は、子の性別も、容姿も頭のよさも性格も健康も、備わったままを受けとめるしかない。その上で「できること」を探り、何とか一緒に生きていく。では何ができる?翻って自分は幼い頃、どんな時幸福で、どんな時不幸だったろう。何が今の自分を育んだろう-子供は自分の成熟する場所だった、という三児の父の著者が、四年をかけ心をこめて語り尽した親子考。きっと気持が穏やかになります。

感想・レビュー・書評

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  • 子供についてこういう心持ちでいたいなという思いをぼんやりと持っていたけれど、それを言語化されたような感覚を持つところの多い、「合う」本だった。
    平成7年の出版か。

    娘が生まれた時から、保護するものとしての責任と、愛でる可愛さと共に、「いつかは離れる存在」を強く意識していた。思春期が来るんだから、みたいな戒めの気持ちみたいな。
    思春期を前にして、この本の「心の暗闇に触れない」は、意識して心に留めようと思った。

    俵万智の、好きな句が引用されていた。
    「親は子を育ててきたというけれど勝手に赤い畑のトマト」

    この子ってどんな人なんだろう、この子を発見していきたいと思ったあの日を忘れたくないな、と思う。


    本文から引用を。
    「そういう時、ブレーキになりたくないと願います。親に、そんな権利はないし責任もない。親のできることは、ほんの少しなのだ、と思います。」

  • 結局は程度問題。バランスが大事。

  • 山田太一 「 親ができるのはほんの少しばかりのこと 」 30年前の父親目線の子育てエッセイ。

    著者の子育てのスタンスは タイトル通り、親の力の限界を知り、遠くから 子供を見守る というもの。子供と理解し合うまでの話し合ったり、子供の世界への積極関与したり ということは しない

    犯罪を通して 現代を描くのをやめた
    社会の歪みは 犯罪に現れるので 描きやすいが、犯罪を犯さない人の喜び、悲しみを描く

    孔子「30にして立つ、40にして惑わず」達成目標を書いたのではなく、その年齢になると 知らぬ間に 手に入れる→年齢とは そういうもの

  • 親は見過ごす度量が必要。

  • 小説家の著者による、子育て本。だが、著者は子育ての専門家ではないので、自分の親としての経験であるとか、意見であるとかが書かれている。
    著者は1934年生まれということで自分の両親よりも上の世代に当たるけど、子育てにあたっての考え方なんかは割と自分と似通っている部分があって、深く共感しながら読み進めることができた。

    著者がこの中で「中庸」ということを何回か言うんだけど、それが自分の日ごろ考えていることと全く同じでびっくりした。つまり極端はいけない。だから中庸を目指すんだけど、たどり着いた先が本当に「中庸」なのかはわからない。誰もわからない。だからその中庸を目指すという過程の積み重ねが人間を成長させるというようなこと。

    育児でも中庸が必要だと思うんだけど、自分を見つめてみると極端になっているような時もあるような気がするし、その辺のさじ加減が難しい。結局はそんなことで悩み、葛藤しているといつの間にか子供は大きくなっているのだと思う。

  • 自分はまだまだ予定はないけれど、最近小さい子と触れ合う機会が多くなって、自分の時はどうしたらいいんやろうってよく考えてました。
    一つ一つの言動が悪影響与えたらどうしようとか、どう対処したら正解なのかとかそうゆうことをずっと考えてた中での一冊でした。
    それなりにほどほどに、関わりつつも関わらない部分を作る。
    自分ができることは「ほんの少しばかり」だと知る。
    子育ての部分じゃなくて、個人的に最近気になってた点もそれなりに明快にしてくれる本でした。
    自分の子育ての時にまた読みたい。

  • 親は自分の人格以上のものを口先だけで伝えることはできないし、
    口で伝えられるようなことは黙っていても伝わってしまうのが
    親子ではないか?自分の毎日の姿でしか伝えることはできない・・・
    つまり、教育的な言辞は無駄なことが多い・・・などなど。

    自分の損得は考えず、たまに見当違いのことを言うが
    自分を心から愛してくれる存在であることを子どもは
    生活の中から自然と身につける、という。

    これでいいのかな?と子育てにちょっと迷いが出ていたとき
    グッドタイミングで読んだので、肩の力が抜けたというか
    人生って正しいことばかりじゃないんだよ、ということを
    常々伝えたいと思っている私だけれど、言葉でわざわざ伝えなくても
    いいんだな、と楽になった。

    文章も柔らかくて好きだ。
    山田太一の作品は初めて読んだが、他の作品も読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1934年、東京生まれ。大学卒業後、松竹入社、助監督を務める。独立後、数々のTVドラマ脚本を執筆。作品に「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」他。88年、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。

「2019年 『絶望書店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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