- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101019918
作品紹介・あらすじ
「みんなちがって、みんないい。」小さな命の輝きを詠った金子みすゞ。弟の雅輔は幼くして養子に出され、みすゞを姉と知らずに文学の友となる。新発見の雅輔の日記から浮かび上がる二人の文芸への情熱、青春の光と影、愛と嫉妬、みすゞの自死、永遠の別れ。大正デモクラシーに生まれた童謡詩が、戦争にむかう昭和に衰退する時代背景を描きながら、知られざるみすゞ像に迫る、画期的伝記小説。
感想・レビュー・書評
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大正時代の下関と仙崎を舞台に、金子みすゞと上山正祐(雅輔)の活躍を辿る物語だが、雑誌「赤い鳥」への投稿で才能を発揮し始めたみすゞに比較し、なかなか芽の出ない正祐の対比が面白かった.本屋の息子だった正祐とみすゞの複雑な家庭環境も、現在と比較して思うところが多い.当時の男たちの生態も詳しく描写されており楽しめた.みすゞの才能が家庭環境の影響で充分に発揮されなかったのは残念なことだが、未だに多くの詩が残っているのは幸いだ.
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金子みすゞの作品は、有名どころの数作しか知らないし、ましてやその生涯なんて考えたこともなかったけど、希った詩集の刊行が死後50年以上経ってからだったなんて、と驚いた。
巡り合わせが悪かったという事で片付けたくはないけれど、悲運の詩人だったんだなと。
そんなテルの心情を思ってあの有名な「私と小鳥と鈴と」を読んだら泣けてきた。後半はテルの不安や焦燥感、絶望が伝わってきて辛かった。
幸せだったかなあ。
それにしても、正祐の放蕩息子ぶりには辟易した。
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去年一番、読んでよかった本でした
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詩人金子みすゞの弟、雅輔は、幼くして養子に出されたため、みすゞを姉とは知らずに、文学の友となります。
新発見の雅輔の日記を丁寧に読み解き、そこから浮かび上がる二人の情熱。
東京へ行ってしまった雅輔、下関に残ったみすゞ、それぞれの青春、光と影、愛と嫉妬。
若くして夭逝したみすゞを、雅輔の目を通して描いていきます。
知られざるみすゞ像に迫る、素晴らしい伝記小説です。 -
みすゞの詩の裏には 強い想いがあった
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「事実を基に創作したフィクション」とあるので、どこまでが本当のことなのかは分かりませんが、みすゞや雅輔の為人や人生、作品の生み出された背景などが分かりました。
みすゞが全521作品を雅輔と八十に送ったこと、死の前日に写真を撮ったこと、ふうちゃん(娘)の言葉を「南京玉」と名付けて綴っていったこと、そして遺書の内容などは、自らの生きた証、作品を埋もれさせたくないという気持ち、残される者への配慮などを感じました。 少しずつ作品を読んでいきたいです。 -
弟 雅輔 が思ったことは、残された資料や彼が書いた手紙や日記などから読み取れる。姉 みすゞ への彼の思いも読み取ることができるだろう。みすゞ 本人の想いはどんなものだったのだろう。残された沢山の詩は想いが昇華した推敲の果てのイメージを伝えてはくれる。けれども、そこに着くまでの道筋を見せてはくれない。
当時の社会は彼女には生きにくかったかもしれない。病気も治らなかったかもしれない。それでも生きて、あなたの言葉で語られるあなた自身のことを聞きたかったと思う