この気持ちもいつか忘れる (新潮文庫)

  • 新潮社 (2023年6月26日発売)
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  • 本 ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101023526

作品紹介・あらすじ

毎日が退屈だ。楽しいことなんて何もない。授業を受けるだけの日日を過ごす男子高校生のカヤは、16歳の誕生日を前に謎の少女チカと出会う。美しい目を光らせ不思議なことを話すチカ。彼女は異世界の住人らしいのだが、二つの世界では奇妙なシンクロが起きていた。そして、チカとの出会いを重ねるうちカヤの心にはある変化が起き……ひりつく思いと切なさに胸を締め付けられる傑作恋愛長編。

感想・レビュー・書評

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  • たぶん、読み方を間違ったかな、と思っている。
    かといって、再読する予定はないので、考えてみる。
    住野さんは、学生生活、学校を舞台にしたものが多いし、多少異能風なものもの入れてくることがあるので、そういう流れかなというつもりで読み始めた。
    前半は、高校時代のすべてがつまらない、社会を斜めに見ている主人公。山中の使われていないバス停で、異世界の少女と接触することになり、そこから恋愛感情を持つ。後半は、大人になった青年が、高校時代の気持ちを引きずったまま人を好きになれなかったけど、タイトル通り、あんな大切で深い想いも時間と生活の流れの中で、忘れていくし、忘れても良いんだと次の恋愛に向かう。
    前半のストーリーの中のエピソードが、どーも落ち着かない。
    この作品は、住野さんが好きなバンドとの歌と小説のコラボという挑戦。5曲ほどがコラボ曲として収録されていて、確かにその中の 輪郭とか爪とか空っぽとか リンクさせているのかと思われる語句はある。小説だけだと、唐突な異世界の少女の目と爪だけの登場が、多少なりとも意味が出てくる。だから、楽曲を聴きながら、小説を楽しみ、理解を深めるという感じなのかと思う。
    なかなか大変なことに挑戦しましたよね。


  • 感情移入があまりできなくて、
    難しかった。
    主人公香弥の拗らせている感情にもあまり共感できなかったというのが
    正直な気持ちです。

    けれど、拗らせまくっている香弥
    にひどいことを言われたにもかかわらず、寄り添って、新しい感情に気づかせてくれた紗苗は
    大人で、寛容でどっしり構えて
    すごいなぁと
    私には、できないかも思ってしまいました。

  • 読みながら、この話のテーマって何なんだろう……と考え。
    「厨二病こじらせ小説」と命名。失礼。

    平凡な日常に倦む高校生男子が、UMA(女子)と出会ったら?という所から始まるのだが。
    とりあえず、この男子=カヤの自己満足感がなかなか酷い。

    ただし、カヤのダメっぷりが露呈してからが、この小説の面白くなりどころで、読むスピードもガンガン上がっていく。

    後半で、成長したらちょっとはマシになってるんかなと思いきや。
    田中と斎藤のくだりに、戦慄が走る。
    なので、読むスピードは衰えないまま、エンディングに向かえます。笑

    カヤにとっての奇跡的な、忘れられない出会いが、厨二病を卒業出来ない理由にもなるわけで。
    その間に、周囲はどんどんドラマを生んでは消費し、忘れていってしまっているんだな。

  • 住野よる先生初読み。
    ファンタジーであり中高生向きの小説。
    異世界に住む2人の男女の甘酸っぱい恋物語でしょうか。
    異世界のせいで、互いの姿が見えない中での会話だけでの展開から惹かれ合う。
    ただ、主人公の男の子の、過去での出来事も引きずりながら、現代でのやり場のなさ、やる気のなさにたまらなく苛立つ。
    内容が、40過ぎのおばさんには理解の出来ないお話でした。学生向きだね^_^

  • 男子高校生のカヤは毎日が退屈だった
    ある日バス停で謎の少女チカと出会う
    チカの世界では戦争がおこっている
    文化も生きる場所も違う2人は
    いつしか心をかよわせるようになる

    2人がふれあう描写はなんとも美しい

    カヤの世界をあきらめかけたクールさが
    私には響かなかった

    紗苗の言葉が素敵だった

    作者の好きなバンドと
    曲と小説を同時進行で作った
    QRコードから曲を聴いてみた
    輪郭は素敵な曲だった

  • バックボーンって知らない。これこそ聴きながら読めば良かったのだろうか、自問自答します。とても不思議な物語だったが、人生論の人は忘れると改めて聞き事が出来た気がする。ただ不思議なんだで終わらせないのが一番いいかな コラボも考え方が面白いしチカとカヤとこんな風に過ごしていたのかと想像した。こちらの世界も変わっているし異星だろうか、チカの存在は興味ありました。そして再会出来たが、思ったのと違うエンディングが斬新。一本スジが通っているし沙苗と一緒に生きていくのね。斉藤が出てきて恋愛してこれだったかと思いきやこれじゃないと思いきや〜って事 イチカに会う為の布石だけかと思ったら自分はまだまだだった ふっ

  • 「どんな強い気持ちもちょっとずつすり減って薄れて、かすれていく。」「今、その自分の心と大切なものに恥じない自分じゃなくちゃいけない。」人は、過去に囚われていても、時間は止まらない。常に未来に向かって生きるのだ。過去の感情や詳細は薄れて行くのを怖がらず、より良き未来の自分を夢見て歩き進めることが必要なのだろうと思った。

  • 住野よるさんが大好きなバンド「THE BACK HORN」とのコラボ作。恋愛という概念が存在しない異世界に住んでいるチカに、恋とは何か、恋人になると何をするのか、分かってもらえるように言葉と気持ちの限りを尽くして一生懸命に説明しているカヤがとても純情に思えた。「嘘になんてならない。私達は忘れていく。どんなに強い気持ちもちょっとずつすり減って薄れて、かすれていく。でもその時の自分の気持ちが嘘だったことには絶対にならない。」という紗苗の言葉が心に残った。

  • 前半は異世界に暮らすチカと主人公の高校生カヤのお話。後半は大人になったカヤと元クラスメイトの女性のお話。

    久しぶりに恋愛系読んでみようと思いページをめくっていたが、これは恋愛か?と思いつつ、読み進めてみると確かに恋愛小説ではあった。
    一般的な恋愛小説が読みたくて手に取った方は好みではないと感じるかもしれないが、物語が登場人物の”一言”で大きく動いていくのは圧巻。

  • だれかのすべてをわかるなんてことは
    とても無理な話で
    だれかのすべてを肯定するなんてことも
    とうていできやしない。
    ただ、隣に並んであるくだけ。
    ただそれだけ。

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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第二位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『この気持ちもいつか忘れる』『腹を割ったら血が出るだけさ』がある。カニカマが好き。

「2023年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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