この気持ちもいつか忘れる (新潮文庫 す 29-2)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1663
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101023526

感想・レビュー・書評

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  • いた。
    したかった。
    なりたかった。
    信じられた。
    心の中に湧いたもの全て。
    全て、過去の想いだ。
    その想いを現在の形ですくい取ろうとすれば、
    それらは砂のように崩れ指の間をすり抜けていく。
    -------------------------------------------------
    住野よるの作品は良くも悪くも強烈な読後感が残る。
    そして、微妙に共感できそうでできない主人公も特徴の一つだと思う。
    でも、何故か共感できないはずの主人公の感情に、引き込まれるだけの勢いがある。

    タイトル回収が気持ちいい。これも特徴の一つかも。
    『この気持ちもいつか忘れる』
    「記憶」を忘れることと、「気持ち」を忘れることを分けて描写しているように感じられた。
    後者は、引用箇所のように想いが過去形になった時に「忘れる」という表現をしていてすごく納得がいった。
    思えば、自分だって「気持ち」を忘れながら生きている。
    忘れなければ自分の気持ちがいつまでも居座り続けてしまう。新しく気持ちが生まれくなってしまう。
    何も感じられなくなってしまう。
    「気持ち」を忘れるという機能は、「今」を生きていくためにあるのだと感じた。

  • 良かった点は忘れたくない気持ちの描写が良かったところ。
    大事な特別な気持ちということがよく分かって良かった。あと2人だけの特別な関係というのも好きだった。
    悪かった点は何も分からなかったところ。
    モヤモヤしたまま終わってしまったし、タイトル回収がせっかく今まで読み進めてきた大切な気持ちをそんなのいつか忘れるんだよという意味で言っているのでじゃあ今までの壮大なストーリーは何やってんと思った。
    タイトルに惹かれて購入したので、蔑ろにしてる感じがしてして嫌だった。
    でも気持ちの描写はすごく良かったので星3かな〜

  • こんな自分の世界に引きこもり、世界をつまらないと思ってる主人公初めて見た。そこまで世界を、人生を諦められるものなのか、高校生にして。その諦め自体厨二病感もあるけども。
    最初の方はザファンタジーで夢中になって読めた。展開にドキドキした。
    けど最後爆展開があるかと思いきやそうではなかった。今までの住野さんの作品で、ファンタジーとしての期待をしすぎた。
    あと、「見つからないように」って何か意味があるのかと思ってたけど、なかったぽい?
    そこもちょっとモヤっとしている。

    でも確かに、この気持ちもいつか忘れるな、とは本当に思う。
    前に好きだった人のこと、好きだったことは覚えているけど、どんな気持ちで好きだったか、どんな感情だったかは思い出せない。
    今好きな人もそうなのかもな。切ないけど、それが事実で、その気持ちがこれからの自分を作っていくのも事実。

  • 自分の読解力の問題なのか、最後まで読み進めれば解決すると思ってたものが結局謎のまま終わって頭の中の???がとまらない。作者の方の他の作品が好きだから手に取った本だったけれど、すこし後悔。

  • 中二病の拗らせ小説。
    いい歳して拗らせてるのは読んでて痛かった。
    同じような主人公の心情が描かれていて途中でダレました。

  • 良い意味で裏切られた本!
    恋愛系を想像していたが、SF?のような印象を受けました!

  • けっこう評価が別れる作品なのかもしれないと思った。

    序盤はSFで後半は説教。いちおうジャンルは恋愛だけど、『君の膵臓~』みたいな恋愛作品を期待している人には刺さらないとおもった。むしろ朝井リョウさんの、「人間ってこんな愚かな一面があるよね」的な要素が好きな人にはオススメできるかも。

    異世界の少女に恋をした主人公が、その少女に対する想いをずっと捨てきれないいまま、でも大人になったらあんなに切実だったその気持ちを忘れていて、やべ、どうしよう~というのが本作のおおまかな流れで、主人公の気持ちはよくいえばピュア、悪くいえばいつまでも大人になりきれないイタいやつ。

    自分は特別な恋をした、だから特別なんだ!という思想を主人公は永遠に訴え続けていて、共感はできるものの、読んでいて正直気持ちのいいものではなかったし、個人的には主人公を好きになれなかった。

    感情の移り変わりの描写はていねいで、とっても繊細な作品だと思った。一方、ページ数の割りに響くものが少なかったので☆3つ。

    あとミュージシャンとコラボしてるのか、小説を曲にしたものがあるだそう。歌詞をみる限りあまりいい感じではなかったので、そちらは聞いていない。笑

  • 小説を読むことはつくづく難しい。
    早く読み進めて展開を知りたい気持ち、一つひとつの言葉をきちんと理解しないといけない、味わいたい気持ち、それらを持ちながらページを捲る。

    住野よるさんの小説はこれが初めて。
    想像力と感受性で読んでいく作品、というイメージ。

    THE BACK HORNとのコラボのようで、ギタリスト菅波さんが書かれた解説の中に「闇の中から光に手を伸ばすようにもがき続けている」のではないかとの記載があった。
    住野さんの、と言えば良いのかわからないが、人間の捉え方が独特だ。

    正直、物語に出てくる人物に全面的に共感できるわけではなかった。
    共感してしまえば、こういった小説や音楽、創作にしか感じられなくなってしまうのではないかと思う。

    私ももう「突風」は終わったのかもしれない。
    それでも、突風でなくとも、熱狂できる何かを見つけて生きていきたい。

  • 表すなら「ファンタジーミステリー恋愛小説」。主人公に感情移入できるかどうかで評価は変わると思う。

  • 曖昧でちょっと切ない

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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第二位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『この気持ちもいつか忘れる』『腹を割ったら血が出るだけさ』がある。カニカマが好き。

「2023年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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