生きるとか死ぬとか父親とか (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025414

作品紹介・あらすじ

母を亡くして約二十年。私にとって七十代の父はただ一人の肉親だ。だが私は父のことを何も知らない。そこで私は、父について書こうと決めた。母との馴れ初め、戦時中の体験、事業の成功と失敗。人たらしの父に振り回されつつ、見えてきた父という人、呼び起される記憶。そして私は目を背けてきた事実に向き合う――。誰もが家族を思い浮かべずにはいられない、愛憎混じる、父と娘の本当の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ジェーン・スーさん、予備知識なしに読んだけど後で補完したら日本人の方だった。この名前は芸名だそうで。

    内容は自伝的エッセイ。父子のおもしろやりとりが綴られる。父の病や、肉親の死、戦時の記憶なんかを軸に描かれているが重さは全くない。さらっと読めた。
    私は最初、父目線で追っていたけど、人間としても男性としても魅力あふれるご老体であっさり置いていかれた。クヨクヨしない、金離れの良い生き方。
    むむむ。(何)

  • ジェーン・スーさんとそのお父さんの物語。
    なかなかに破天荒なお父さんだったようで、他人の話だから吹き出したりしながら読んでいたが、実の父親だったら……
    それでも"親"だったら許してしまうのだろうか?
    老いてくる親とのつきあい方には自分も共感したり、見習わないとな…と思うところも多々あり。
    身につまされるところの多い本だった。

  • 年末に読み終えていたが、バタバタしていて感想が遅れました……。

    昨年ドラマ化されており、毎週楽しみに見ていた作品。
    先に映像化したものを見てしまうと、読んでいるときのイメージは完全に役者さんに引っ張られるので、ジェーン・スーさんのお父さんは國村隼さんで。
    原作を改めて読んでみて、雰囲気をよく摑んだドラマだったんだなぁ、と感じた。
    著者はリベラルな考えの持ち主だと思うんだけど、やっぱり「父」と「娘」(「息子」ではなく)というところに、無意識に従来のジェンダー的価値観が入ってくるところが、非常に興味深い。
    やっぱりただの「親子」とはまた別に「父と娘」「父と息子」「母と娘」「母と息子」といった関係性も、家族を語るときに無視できないのだ。
    これから自分自身も直面するであろう「親の老い」を、著者のように、ある意味俯瞰して受け止めるために、「書く」という行為が、私にも必要になっていくような予感がする。

  • スーさんは「ザ・トップ5」以来TBSラジオで愛聴しているが、まとまった文章は初めて読んだ。
    文章力すばらしい!
    そして親子の愛憎、親の死と老い、という誰にとっても他人事ではない題材。
    スーさんほど激しくなくとも、あらゆる親子があざなえる縄のように愛と憎しみでつながっている。
    中年にならなければ得られない諦観があると、中年になってようやく知ったが、年を重ねて知ることはだいたい手遅れなんだよな……。
    思ったことを書くタイプのエッセイというよりは、エピソードを重ねていくタイプで、多少物語っぽい。
    未鑑賞だがテレビドラマ化されていて、wikipediaで各エピソードのサブタイトルを見てみると、結構原作に忠実っぽい。
    吉田羊(40代)、國村隼(父)、松岡茉優(20代)、富田靖子(母)、という配役は綺麗すぎんかと思うが、ちょっと興味をそそられる。

    目次
    1. この男、肉親につき
    2. 男の愛嬌
    3. 結核男とダビデの星
    4. サバランとミルフィーユ
    5. ファミリー・ツリー
    6. 不都合な遺伝子
    7. 戦中派の終点とブラスバンド
    8. 七月の焼茄子
    9. それぞれの銀座
    10. ミニ・トランプ
    11. 東京生まれの東京知らず
    12. H氏のこと
    13. 二人にしかわからないこと
    14. 商売は難しい
    15. ステーキとパナマ帽
    16. 騙すとか騙されるとか
    17. ここにはいない人
    18. ふたたびの沼津
    19. 真っ赤なマニキュア
    20. 予兆
    21. はんぶんのおどり
    22. 小石川の家 I
    23. 小石川の家 II
    24. いいニュースと悪いニュース
    25. 似て非なる似た者同士
    26. 父からの申し次ぎ

  • 祝文庫化!

    ジェーン・スー、父との関係つづった書籍が文庫化 4月から吉田羊主演でテレ東ドラマに | ORICON NEWS
    https://www.google.co.jp/amp/s/www.oricon.co.jp/news/2185966/amp/

  • つい最近中学生の子どもの国語の教科書をパラパラ読んで、手紙に関する記述があった。
    東北出身でバスガイドをしていた方が10年後に届く親への手紙を書き、
    震災でその後亡くなったが、時を経て親には手紙が届いた話があった。

    手紙ではないが著者スーさんが引越しの際の荷物整理の中で、亡き母の非常に高額な未使用のコートが見つかったエピソードが同じような感情を惹起した。
    友人に真顔で「寂しかったんだね」と指摘されてスーさんはハッとする。
    時間が経っても本人の感情が伝わってくる。そういう買い物をせざるを得ないような心の状態に追いやられていたことが間接的に伝わって心がキュっとなる。


    生前の母と父とが同時に入院になった時の話も非常に印象に残った。
    自らは休職して対応していたが、どうしても回らない状況になった時、父の浮気相手に依頼した時の感情とか。

    その後、母は亡くなってお互い別々に暮らすけど、たまたま父はモテる人だったから生活を支えてくれる人に恵まれたけど、もしモテる人じゃなかったら同居せざるを得なかったかもしれない。
    そうしたら全く違う人間ドラマになったろうと思う。

  • 憎めないお父さんw
    いや、自分ごとになったら嫌いになっちゃうのかなw
    お父さんも娘さんも可愛くて素直にきててよかったです。
    お母さんが生きていたら、二人の関係は違っていたのかな

  • 淡々とした独白のように綴られた、父親への愛憎入り混じった行き場のない気持ち。後悔や恥など、見たくないものをも直視するような、自らへの厳しさを感じる文章。人間は「いい人」「悪い人」で分けられるような単純なものではないのだ。内容に反して(?)読み心地は軽く、一気に読んでしまった。

  • 誰しもが平等に歳をとるのだろうが、人生どう生きていくか

  • 自分の親も老いてきて、親の死と向き合う心の準備もしていくべきかだけど、まずは軽い感じのものからと思って手に取ったエッセイ。著者は奇しくも同年生まれのジェーン・スーさん。東京生まれ東京育ち。これまで存在を知りませんでしたが、音楽プロデューサーやコラムニスト、ラジオのパーソナリティとしても活躍されていて人気があるようです。
    さて、本書のタイトルから想像していたのとは違い、著者の父親(70代後半)は死にません。老いてきたようですがまだまだお元気な様子。昔は貴金属業を営んでブイブイ言わせいたが、事業が失敗して小石川の家業も実家も失った父親のために引っ越し代として100万円を渡す交換条件として父親のことをエッセイとして書くこととなり、そのエッセイをまとめたのが本書。著者の母親が20年前に亡くなっていることや、父親との確執なども含めて、70代後半の父親と50目前の(未婚の)一人娘がどのように接し、互いを認識し、過去と現在、未来に向けて動いていくのか。他人の例を参考に、自分の親との今後の向かい合い方を考え直すきっかけにしたいものだ。

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著者プロフィール

1973年、東京都出身。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー。『ジェーン・スー生活は踊る』(毎週月~木曜午前11時TBSラジオ)に出演中。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『ひとまず上出来』(文藝春秋)、『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)など。

「2022年 『OVER THE SUN 公式互助会本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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