- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101039114
感想・レビュー・書評
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15〜20年ほど前に読んで以来の再読。以前は自分よりうんと年上の男女の不倫ものということで、あまりどこにも同調できず、若干の気持ち悪さを感じながら読んでいたかもしれない。しかし主人公の2人と同世代になった今、つまり人生の「秋」のようなところにいる今、不倫の是非はともかくとして、しみじみと沁みてくるものがあった。同世代といえども、時代も違い、この2人のようなしっとりとしたものはまったくない自分だが、風の盆には憑かれるように4回も行っている。あまりにも潔く散っていった2人には、この風の盆の哀しさと美しさがよく似合うと思った。
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TVでは毎年放映するように有名になった
その八尾町「風の盆」のにぎわい話題に引かれて
(CMのロボットまでおわら節を踊ってすごいね)
「あっ、そうだ」と買ってあった古本を思い出して読んだ。
『マジソン群の橋』のように、もどかしいような小説。
先に読んだ中里恒子『時雨の記』の方がピンと来る。
こちらは作者が男性だからかそうなるのかもしれない。
しかし、風の盆見物はこれで味わったも同然だ。 -
「王道」すぎる不倫物語。風の盆の美しい夜流しと水の音、いつまでもその世界に浸っていたいと思いました。老いていく性と、人生の最後の選択。
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石川さゆりの1991年(平成元年)のヒット曲「風の盆恋歌」の題材となった昭和62年に刊行された高橋治著の同名の作品「風の盆恋歌」。おわら風の盆は、毎年9月1日から3日にかけて越中八尾(富山県富山市八尾町)で行われる農作物の豊作を祈る伝統行事で、女性達は揃いの浴衣に編笠の間から少し顔を覗かせた姿で連なりながら唄い踊る。種を蒔き、田の中の小石を投げ捨て、明日の雲行きを見、稲穂がゆれ、稲を刈る農作業のありようが踊りで表現される。胡弓の音色、酔芙蓉の色の移り変わり、橙色の灯など日本人の五感にそっと働きかける筆致がこの大人の作品に張り詰めた空気と独特の深みを与えている。
「それが日常になる。習慣化する。こちらが慣れる。諦める。振り向いたときには長い歴史が出来てしまっている。男と女って、みんなそんなものじゃないのか」
風の盆恋歌(なかにし礼 作詞、三木たかし 作曲)
蚊帳の中から花を見る
咲いて儚い 翠芙蓉
若い日の美しい
私を抱いて欲しかった
忍び会う恋 風の盆
私あなたの腕の中
はねてはじけて 鮎になる
この命欲しいなら
いつでも死んでみせますわ
夜に泣いてる三味の音
生きて添えない二人なら
旅に出ましょ まぼろしの
遅すぎた恋だから
命をかけて覆す
おわら恋歌 道連れに -
幻想的な「風の盆」に行ってみたくなる。
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2018年の1冊目。風の盆の描写は素敵で、今年は風の盆へ。と思う一方、私とは不倫に対する考えがかけ離れていて理解不能。
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おわら風の盆に行く前に予習として手に取りました。
中年の心中もんってゆうてしもたらそれまでやねんけど、
八尾で、酔芙蓉ってなまえのお菓子を見つけたときは、ちょっと嬉しかった。 -
2017年10月7日に紹介されました!