- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101044521
作品紹介・あらすじ
小学校で独りぼっちの「私」の居場所は、母が勤めるマッサージ店だった。「ここ、あるんでしょ?」「ありますよ」電気を消し、隣のベッドで客の“探し物”を手伝う母。カーテン越しに揺れる影は、いつも苦し気だ。母は、ご飯を作る手で、帰り道につなぐ手で、私の体を洗う手で、何か変なことをしている――。少女の純然たる目で母の秘密と世界の歪を鋭く見つめる、鮮烈な中編。芥川賞候補作品。
感想・レビュー・書評
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作家、尾崎世界観さんを初めて読みました。
訴えかけられるものもあるのですが、この物語私は嫌いでした。
経験がその人の人生の糧になり、いつかは花を咲かせると信じていたいので、親としてはなるべく希望を持たせたい。
尾崎世界観の名前を知っていただけに、興味本位でこの本を手に取り読む若者は多いと思います。
果たしてこの物語が若者層にどう響くのか未知数ではありますが…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
尾崎世界観さんの2作目にして、芥川賞候補作に選ばれた作品。
前作『祐介』とは作風も文体も全く違う。そうなるのは主人公が小学生なので必然だが、それを書き切る表現力が凄まじい。
———あらすじ———
小学校で独りぼっちの「私」の居場所は、母が勤めるマッサージ店だった。
「ここ、あるんでしょ?」「ありますよ」
電気を消し、隣のベッドで客の探し物を手伝う母。
カーテン越しに揺れる影は、いつも苦し気だ。
母は、ご飯を作る手で、帰り道につなぐ手で、私の体を洗う手で、何か変なことをしている――。
少女の純然たる目で母の秘密と世界の歪(いびつ)を鋭く見つめる、鮮烈な中編。
第164回芥川賞候補作。
行き場のない少女は、カーテン越しに世界に触れる。
デビュー作『祐介』以来、4年半ぶり初の純文学作品。
———感想———
小学校低学年の主人公「私」の見る世界と心情を、丁寧に描写する文章が秀逸。主人公の純粋さがダイレクトに伝わってきて、面白くも、心苦しくもあった。
いけないことをしてそう、だとはわかっていても、具体的に何をしているのかはわからない世界を、大人になってこんな解像度で書くのがすごい。僕は小学校低学年当時の感覚や感性なんて忘れてしまっている。 -
あらすじからもうストーリーはなんとなく分かるし嫌な予感しかしないのにそれが尾崎世界観さんによってどう表現されるのか気になって読んでしまった。
最悪な状況を純粋でまだ表現できる言語や世界が限られた小さな子供の目線で一生懸命に感じたままに描写されているところに胸が苦しくなるが、暗いテーマを暗いままに表現しないのがこの作者の上手なところなのだろう。
唯一の味方であり支えである母親の仕事が何か汚い仕事だと感じながらも母親の温もりや愛情を欲し母親も精一杯に娘を愛する姿に、こんな家庭環境の全ての人達にどうか幸せになって欲しいと心から願うことしかできない。
まともな大人が一人も出てこない本作だからこそ、あとがきの又吉さんの文章と自分の感覚を擦り合わせて安心感を得られた。
この本を読んだ人には、全く同じテーマと環境が描かれた美しい映像の映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』もぜひ観て欲しい。 -
うまいなあ
カーテン越しの音でしか母を知ることができない
子供の限られた語彙で伝える惨状
よくわからないことは救いなのかどうか
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小学生の目線で書かれたお話
タイトルの意味は最後まで読むと理解できる。
貧困やシングルマザー、性感マッサージ…
カーテン越しで行われている母親の行為。
「イク」「行く」の聞き違いなど、大人になって理解できることが読んでいて苦しくなりました。
又吉さんの解説も読みごたえあります。 -
ああ、居心地が悪い
でもここにしか居場所がない
小学生の時って分かってないけど分かってる事っていっぱいあったなぁ
椎名林檎が、釣り人が釣った川魚を水筒に入れてるのを見て「棺桶みたい」って言ってるのを見た時その感性が羨ましくてゾワッとしたけど、
それと同じゾワッが続く本だった -
お母さんがいるからこわれるのに、お母さんがいるから直った
私の反たいがわにはいつもお母さんがいて、お母さんの反たいがわにはいつも私がいます