- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101051819
感想・レビュー・書評
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ひとり出版社夏葉社を立ち上げ素敵な本を出し続けている島田さんが、出版社を作ることになった経緯や様々な苦労、本作りにかける思いなどを綴ったエッセイ。
夏葉社を立ち上げることになったいきさつは、『あしたから出版社』でも書かれているので、結構知られていることだと思うが、とても仲の良かった従兄の事故での急逝、息子を亡くしてしまった叔父、叔母の心を支えるために、ヘンリー・スコット・ホランドというイギリスの神学者の書いた一編の詩を本に仕立て、プレゼントしよう、その夢を実現するため出版社を立ち上げたのだった。
起業に当たってA4一枚の事業計画書を作り、その事業目的に「何度も読み返される、定番といわれるような本を、一冊一冊妥協せずにつくる…」としたことに、島田さんの本に対する思い、出版社という事業、仕事をしようとした思いが良く表れていると思う。
夏葉社の本は装丁や版型を含め丁寧な本作りだなあと感じていたが、本書ではそういった本を出していくための島田さんの哲学、考え方が丁寧に説明され、また、実際の仕事の進め方や全国の書店への営業、金銭的な苦労についての話などが具体的に書かれていて、自分たち読者にこうして一冊の本が届くのかとの感慨も覚えた。
「人生が一度きりなのであれば、ぼくはいまの仕事をできるだけ長く続けたい。/それくらい、ぼくはいまの自分の仕事が好きだ。/大好きだ。」(はじめに)
こんな思いで仕事をしたかったものだ。(嘆息)
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ひとり出版社“夏葉社”をされている島田潤一郎さんの、本への想いが溢れ綴られているエッセイ。本を扱う仕事に携わる人間として、悩んだ時にいつでも立ち戻れる場所がこのエッセイだと思った。終始涙が出そうだったのをこらえた。100人に1人、いやもっと少ないかもしれないけれど、そんな瞬間のために、その人のために、わたしも誠実に仕事をしようと思った。
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読みながら、温かい気持ちになれる本。
言葉づかいがやさしく、わかりやすいからか、文字を追うのが心地良くてあっという間に読み終えてしまった。
日々の「はたらく」をとおして、人との接し方や生き方などにおける「忘れがちだけど大切なもの」を教えてもらったような気がする。
「本」という存在や「読書」という行為についての島田さんなりの解釈も面白く、発見があった。
ほかの著書もぜひ、読んでみたい。 -
こういういい作品に出会えるから、読書はやめられない。
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島田さんの名前は本屋でよく見かけるし夏葉社の名前も知っていた(し、あとから調べたら読んだこともあった)がつながっていなかった。津村記久子さんの帯を見て購入した。いや〜〜〜読んで良かった。いま欲しかった言葉がたくさんあった。こんな言葉が欲しかったんやなって気づいた。ずっとちょっと泣きそうやった。「大きな声は要らない。感じのいい、流通しやすい言葉も要らない。それよりも個人的な声を聴きたい。」
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感想
仕事を通した人との触れ合い。話を聞く。相手を知る。自分のことも知ってもらう。どれだけ自分を出すか見極めが難しい。だけど楽しく朗らかに。 -
仕事のあり方とか、「本」というものに対する考え方とか、自分の住んでる町の文化とか、そういうものにゆっくりしっかり目を向けたくなる。
自分は小さな仕事を生業にできるのだろうか。 -
本好きにはこういう方がいて嬉しいし、共感ポイントがたくさんありました。損得でなく、真っ直ぐお仕事に向き合う姿が素敵です。本、そして本屋さんの良さを改めて思いました。
これは私の個人的な話ですが、先日、気に入っていた書店にふらりと寄ったら、あと数日で閉店するとのこと。店員さんに思わず気持ちを伝えました。出版社ごとでなく作家ごとに並べられてい手探しやすかったこと、平積みしてある本のセレクトが好きだったことなどお話ししたら、たまたまそのお姉さんがそれらを自由に任せてもらっていたとのこと。本についてのこだわり・熱を感じて、閉店がますます寂しくなったのですが、そこで最後に出会って買ったのがこの本だったのも良い思い出になりそうです。また、思いがけず私が心に留めておいた詩が載っていてびっくりしたり、この本を持って電車で出かけた帰りに読んだページにたまたまその場所が載っていたり。個人的に運命を感じた本でした。 -
夏葉社日記を読んでから島田さんをもっと知りたくなり、手に入る物を少しずつ。『あしたから出版社』よりもう少し進んだ、島田さんの考えのまとめだなと思った。本屋さんや本に対する考えや意識している向きが色々参考になった。自分の仕事をより良く、効率だけでは無い何かも含めつつ行なっていく大切さを教えてもらった。新潮文庫の紙の気持ちいい手触りがページを捲るだけでも良い気分にさせてくれた。本って、本屋って良いなと。