- Amazon.co.jp ・本 (643ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104164
感想・レビュー・書評
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一巻と打って変わって、商社マンとして才覚を表していく壹岐。壹岐以外の登場人物の目線で語られる場面も多々あり、多方面から物語を読み進めることができる。
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この巻もまた、重厚な一冊。
山崎女史の描く小説の主人公は、数奇な運命を辿る男性が多いのだが、その妻も辛い運命に立ち向かうまた芯の通った強い女性が多い。
女性目線だからなのか、奥様の気持ちがいつも気になり、その幸せを願いながら読み進めてしまう。
この不毛地帯も、ラッキード騒動の後ようやく奥様が穏やかな日々を過ごせて安心していたのに。。思わぬ展開に、しばらく引きずるほどのショックを受けた。
壱岐氏の後悔の大きさは想像を絶するものだろう。
世間がよく知るラッキード事件(ロッキード事件)の核心は描かれていないものの、大きな利権を巡った汚い争い、まさに黒い商戦だったことがよくわかった。
川又氏のような人を死に追いやってしまう国なんて。貝塚のような人間がでかい顔してる世の中なんて。
暗澹とした気持ちになる。。
が、良くも悪くも高度経済成長期に働き盛りを迎える男たちは一生懸命生きている。そんな世の中に興味があり、だから豊子の小説は面白い。 -
自衛隊は自らの主導で次期戦闘機を選定することが出来ない。海外の情報と資金力のある商社が専門外な政治家をあてにして、無意味な商戦を繰り広げるのだった。元大本営参謀の壹岐正はそんなキナ臭い世界ではたして生きていけるのだろうか。
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2015.5.18
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レビューは最終巻にて。
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戦後直後から11年間シベリアで捕虜になりその後、帰国してからは商社に勤めだす。
主人公が回想するシベリア抑留の悲惨さと、商社マンとして社会の中で闘っていく姿に、時代の流れや人々の気持ちの揺れに考えさせられるものがある。
過去(シベリア回想)と現在(商社勤務)の緩急をつけた表現がみごとである。 -
大本営の参謀として終戦を迎え、10年にもわたってシベリア抑留で過酷な生活をおくった主人公の壱岐が、商社マンとして商戦を生き抜くお話。
シベリア抑留の過酷な話から、次世代戦闘機の受注合戦、はたまた社内の派閥闘争から、自動車産業の貿易摩擦まで幅広いテーマを扱っているので、読んでいて面白い一方、山崎豊子のすごさを感じる。
本巻最後で、壱岐に大きな転機をむかえたので、この勢いで、3巻4巻を読み進めます!