- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101109442
感想・レビュー・書評
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高校生か大学生の頃に読んだ記憶あり。膨大な作品群の中ではあまり取り上げられることがないけれど、若い頃に受けたイメージは今も強く残っております。放送業界で激化する視聴率競争を背景に、視聴率はどのように計測されているのか探っていくうちに事件に巻き込まれ…
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「松本清張」の長篇ミステリ作品『渦』を読みました。
『蒼い描点』に続き「松本清張」作品です。
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テレビ局を一喜一憂させ、その全てを支配する視聴率。
だが、正体も定かならぬ調査による集計は信用に価するか。
視聴率の怪に挑む。
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1976年(昭和51年)3月から1977年(昭和52年)1月に『日本経済新聞』に『黒の線刻画』の第2話として連載された長篇ミステリ小説… テレビの視聴率調査現場をモチーフに構成された作品です。
テレビ局関係者に大きな影響力を持ち、番組編成を左右している視聴率… しかし、実際、その集計は信用に値するものなのか?
視聴率調査の実体を探るため、劇団「城砦座」に出入りしている喫茶店経営者「小山修三」、テレビ番組制作会社「かもめプロダクション」の「羽根村妙子」と「平島庄次」の三人は、視聴率調査会社「TVスタディ」の監視を開始した… その結果、何度かの失敗を経て、集計現場の尻尾をつかまえる。
ところが、間もなく、「小山」らの突き止めた回収員の女性「尾形恒子」が失踪し、さらに、TVスタディ社の実務担当者である管理課次長の「長野博太」が退社し、姿を消してしまう… 「小山」らは周辺の不審人物の動静を探るが、視聴率調査の標本世帯の「服部梅子」と名乗る人物によるR新聞への視聴率調査における不正告発の投書や、6歳の幼女「恵子ちゃん」誘拐事件における視聴率調査の標本世帯との関連性、テレビドラマの"批評の神さま"と呼ばれる「岡林浩」による視聴率の不正操作の疑い等、怪しい材料が次から次へと浮上し、なかなか真相が掴めない、、、
そして、失踪していた「長野博太」が「尾形恒子」の自宅を訪ねた後、タクシー乗車中に交通事故により死亡… さらに、失踪から2ヶ月後に「尾形恒子」が西伊豆の海に沈んでいた乗用車から死体で発見され、その乗用車の助手席からは「尾形恒子」よりも15日前に失踪していた広告代理店の社員でプレイボーイとして知られていた「小高満夫」も死体で発見される… 果たして、事件に仕掛けられたトリックを見破ることはできるのか?
乗用車から死体で発見された「尾形恒子」と「小高満夫」は、地元警察により無理心中として処理される… 「小山修三」は、失踪した時期の違いや、視聴率調査を巡る調査から二人は殺害されたと推理し、解剖にあたった医師へ取材を行い、証言に曖昧な点があることから、殺害であることを確信し、乗用車による無理心中とみせかけた犯人のトリックを暴こうとする、、、
そして、一緒に調査を進めていた「羽根村妙子」の行動に疑惑を持ち、本人の前で自説を解説し始めるが、そこへ申し合わせたように「平島庄次」が現われ、「小山修三」の説を否定する… この辺りから、真相が判明するクライマックスまでは、なかなか愉しめました。
素人探偵による殺人事件の真相究明という意味では面白かったけど、、、
結局、視聴率の不正操作の真相は暴かれないままになりました… 課題提起のみに終わってしまったので、ちょっと、中途半端な感じがしましたね。
以下、主な登場人物です。
「小山修三」
神田で喫茶店「シャモニー」を経営する傍ら、劇団「城砦座」に出入りしている。髭面。28歳。
「羽根村妙子」
かもめプロダクションで脚本のコピーなどの雑用をしている。ロングヘア。
「平島庄次」
かもめプロダクションの照明係。妻子を持つ中年。話の前置きが長い。
「尾形恒子」
視聴率調査のサンプル家庭をまわる回収員中、氏名の判明した一人。32歳。
「長野博太」
TVスタディ社管理課次長。34歳。
「小高満夫」
広告代理店「日栄社」の社員。32歳。
「尾形良平」
尾形恒子の夫。45歳。
「古沢啓助」
劇団「城砦座」の主宰者。
「殿村竜一郎」
かもめプロダクション代表。関西弁。
「小山久美子」
小山修三の妹。「シャモニー」のレジ係。 -
1977年の作品。
視聴率とは。どのように調査・集計されているのか。信用できるものなのか。
視聴率調査会社と周辺で起きる事件。
モニター家庭からロールパンチペーパーを回収するなど、アナログ時代の話だが、面白かった。 -
視聴率データの収集の仕組みをトリックに利用した推理小説。
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テレビの視聴率の謎を追い、心中事件に見せかけた殺人事件に遭遇するというストーリー。が、殺人事件が起こるには、中盤から。また結末も、イマイチ。
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とにかく難しくて読むのに時間がかかった。読み終わってもスッキリしなかった。
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松本清張氏のあまり知られていないと思われる作品。
前半は、テレビの視聴率の謎に迫る。そこまでやるか、というほど執拗に調査をする登場人物たち。私はテレビ自体に興味が無く、少々退屈だった。
後半はテレビ視聴率の調査員が事件に巻き込まれ、ストーリーが俄然勢いを増す。素人がそこまで調べる時間とお金があるかなぁと疑問を抱きつつも、推理が二転三転し、清張らしい論理的で隙がない展開が楽しめる。 -
視聴率がテーマとなっている。伏線かけ過ぎなのか、結論に至らないものがあったり、真相は解明されないまま終わったりで消化不良。
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久しぶりに松本清張が読みたくなって、読み始めたはいいけど、なんだか忙しくって中々すすまなかった。
視聴率の裏を探っていくうちに殺人事件が起こる。という話。
そうそう。
私も視聴率のことでは、この本に書かれてることと全く同じ疑問を持ったことがある。だから、結構、興味津々で読んだけど、結局はその真相というものは闇の中で終わってる。
のが、歯切れの悪い感じだったけど、でも、この本で「裏工作はあった」と書いてしまうと、実際に波紋を呼んでしまうから書けないのは分かってるけど。。。
でも、こうやって読むと、実際には何もなくても、そう勘繰る人が多くなるんじゃないか。と思う。私もそんな一人だろう。
「視聴率」という題材から、こんなミステリーが生まれてくるのは、やっぱり松本清張の凄さだな~って思う。
でも、不に落ちない点はあるんだけどね。
たとえば、妙子があの現場に佇んでたというのは、本当に本人だったのか?なんであそこにいたのか?とか。。。。
なので、星三つ。 -
テレビ視聴率を取り上げた推理小説。題材の割には長すぎたきらいがある。話題が古いので社会小説として読むのには少しかったるい。13.2.23