きもの (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101116082

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5。
    これはいかにも未完というか未発表の作品という感じがする。
    前半と後半の筋立てというか視点が若干ブレている感じがあり、タイトルに合わせる訳ではないですが、前半部は唸らされる読感ありです。
    その点、後半はある意味の非日常をストーリーに据えてしまったので前半にあった緊張感というか異常とも言うべききものから来る揺れが曖昧になってしまったかなと。

  • 最後の展開は、いまいち受け入れがたいかな。恋は盲目とは言うけれど。

  • 明治時代の下町に育った女の子の物語。二人の姉との関係、父や母、そして特におばあさんからるつ子は色々なことを感じ、考え、変化していく。そこには「きもの」を通じて感じたことがたくさん語られている。着るものにこだわるるつ子だからこそ、その肌触り、柄の違い、そんなことが気持ちの持ちように影響し、その人の行動にもその人の人となりにも影響したのだろうか。それとも人は誰でもそういう影響を受けているものなのだろうか。
    今ではあまり使われない言葉も色々出てきて、その頃の人々の生活習慣、季節の行事なども思われた。おばあさんの気丈さ、生活する上での知恵、人としての心構えがとても貴重だと思った。豊富な経験と小さなことにも気づく心、置かれた立場への気構え、、その上での判断力の確かさ。

  • 感傷的なところが全くなく、現実的な考えで成長していく主人公の感度の高さが勉強になる。

    きものは日本人に取ってただの服とは違うんだな、と思う。

  • きものは結んで着るので気持ちがこもるし、生き様があらわれるようだ。
    震災後の人々の強さ、いつかわからないけれどきっと起きる大地震の時に私自身はどうふるまうだろうか。こんなにかっこいいおばあさんがいたらなぁ。いえいえ、そんなおばあさんをめざしましょう。るつちゃん、結婚のお仕度を”そのさん”に手伝ってもらえてよかった。不穏な結婚生活の始まりで物語が終わる。るつちゃんはそのさんに相談に行くだろうか。

  • 何度読み直しても秀逸だと思う。

  • 父親・兄の影が薄い気がする。
    女物の着物にかかわりがないからか、時代的に家事に全く参加しないので、女主人公の見える範囲にいなかったからか?

  • ルツ子の気の強さや負けん気な子ども時代から姉の行動をみて繊細な心も持ち合わせている。
    近所の人からは不幸な子と思われていたみたいだが本人はそうとらえてはいないところからも負けん気があふれている。それを祖母はルツ子の性格から先回りして助言、手助けしてたしなみを教えていた。祖母の言葉は今の自分にも当てはめれて、重さを感じる。
    他の作家の暗さがない自伝でこの人のを集めればよかった。
    と思うのはまだ一冊しか読んでないからかも知れないが。。

  • 着る、ということについて
    深く考えさせられた。

    おばあさんが、るつ子に教えること、
    戒めることは、
    女性が美しく生きるために大切なこと。
    着ることも、疎かにせず、
    きちんと考えて向き合うことが
    生き方に、すっと一本筋が通る気がする。


    気になる部分(それはたくさん)を
    折り、何度も読み返したくなる
    大切な一冊になった。

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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