真昼の悪魔 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.55
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本棚登録 : 429
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123202

作品紹介・あらすじ

患者の謎の失踪、寝たきり老人への劇薬入り点滴…大学生・難波が入院した関東女子医大附属病院では、奇怪な事件が続発した。背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を求める女医の黒い影があった。めだたぬ埃のように忍び込んだ"悪魔"に憑かれ、どんな罪を犯しても痛みを覚えぬ虚ろな心を持ち、背徳的な恋愛に身を委ねる美貌の女-現代人の内面の深い闇を描く医療ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 遅ればせながら、初遠藤周作。非常に読みやすいことに驚いた。多少難読するだろうと予想していたが、題材も含めて、スラスラと頭に入っていく。善と悪の境目の考察。無感動の境地。人間の二面性、及び多面性。それを淡白なミステリーに仕上げているなと感じた。医療分野と人間の多面性が、陰鬱で素敵だ。考察が深く潜りすぎないことも、ある程度余裕をもってページを進める要因であろう。とてもバランスのいい作品だと感じた。悪魔は多分、いる。

  • 当時の現代人の、とも言い切れない
    空虚感、心の渇き、それを満たす
    多様化容認の名もとに、古い枠組みを超えた、
    個人を社会とは別扱したがる新時代の価値、
    個人尊重の風潮。
    それは、構成員としての集団に対する責任感から
    個人の欲望を無条件で解放し、
    本来社会性を持つべき人間に対し
    動物的快楽、欲望を追求することに
    意味を持たせるだけの脳がひねり出した
    いいわけにも感じる。
    帯・背表紙には「医療ミステリー」とあり
    確かに「彼女」は何者かを追う部分があるが、
    遠藤先生のエンターテインメント作品にして、
    「悪魔」という言葉を用いているなか、
    裏返して時代の中で相対的、絶対的「善」とは
    を問いかけたのではないか。
    悪魔と悪魔が対峙するとき、彼女は彼に何を見た。

  • 面白かった。割と序盤の方から夢中になれて、一気に読破してしまった。

    夢中になれた理由はまず、女医の正体がぼかされている点だ。そのミステリ的な要素が読者の感心を鷲掴みにする。
    そして、極度までデフォルメされた悪意。世の中には悪意を持った人間がいて、その程度の差は様々。だけど、この女医ほどの人間にはお目にかかったことはない。自分のそれなりに恵まれた人間関係に感謝せざるを得ない…。
    そんな純度の高い悪意を、宗教的な悪魔になぞらえるのはまさしく遠藤周作らしさなのかな。そして対極の存在として登場する牧師の頼もしさよ…。
    結局悪意は解決されることは無いのだけど、それが強烈な余韻を残す。
    冒頭と終盤で牧師の口から語られる悪魔観が、より一層味わい深さを演出している。

    非常に分かりやすく読みやすいストーリーが、キリスト教的世界観で下支えされた名作だった。

  • 怖い話。
    書かれた時代より、更にそう言うタイプの人間が増加してるのではと思わせる時代を先取りしている感じがした。

  • どんな悪を犯しても痛みを覚えぬ白けた虚ろな心をもつ女、を描く。「動機の無い犯罪」が現れ始めた頃に書かれたものなんだろうと思う。作者自身がキリスト教徒である点が、上手く作用している。

  • 人の心に潜む悪魔の存在をかくも鮮明に描き出したのはさすが周作。

  • 2019年2月16日、読み始め。

    ウィキペディアによると、

    『週刊新潮』に1980年2月から7月まで24回にわたって連載され、1980年12月に新潮社から単行本が刊行された。1984年12月24日には新潮文庫版が刊行された。
    2017年2月、フジテレビ系でテレビドラマ化された。

    とのこと。

    著者は1923年生まれなので、著者が57歳位の時に書かれた作品である。


    73頁まで読んで、図書館に返却。

  • 確か1年前くらいに読了

  • 微妙な作品。
    後半の曖昧さが結構不気味で、このテイストが全編に行き渡っていれば、、、という感が強い。女医に喋らせ過ぎかと思うんですよね、だから基本的には読むのはちょっとかったるい感じ。
    遠藤周作に対する当方の勝手なイメージですが、出来不出来の落差が激しい作家で、本作はネガティブな方面に位置するではないかと思われ。

  • サスペンスという触れ込みで読んでみたが、さにあらず。現代人の白けた心に忍び寄る悪魔。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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