- Amazon.co.jp ・本 (529ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101132136
感想・レビュー・書評
-
対照的な2人の芸者を描いた物語。
蔦代の行動の意図が分からず、
先が気になって気になって、
ページをめくる手が止まらなかった。
舞台である花柳界の風習も知れば知るほどおもしろく、
とても魅力的で物語の題材にぴったりな設定だと思った。
有吉佐和子の書く文章はしなやかで、言葉遣いもとっても上品。
読んでいて本当にうっとりしてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
共感できる部分が非常に多かった。私は正子に近く、感情や義理堅さが恨めしい時がある。
-
芝桜(上)芝桜(下)そして木瓜の花へと続く正子と蔦代2人の雛妓時代から初老といわれる年齢までの極めて微妙な関係がとても魅力的な筆致で描かれている。
特に上巻第一章の一。この始まりは秀逸だと思う。 ここで正子と蔦代それぞれの性格、立ち位置を実によく表している。これから始まる女2人の人生を物語るには最高の出だしだと思う。 本当に有吉佐和子さんの文章はうまいなぁと思う。 -
有吉佐和子さん、2冊目。
面白かった。
女同士の関係の機微を描くのが上手な方だと思う。そして、花柳界のなんたるか、男のプライドなるものも垣間見せてくれる。
小さい頃に、家庭の事情で、芸妓の見習いとなった正子と蔦代。全く性格の違う二人。
如才がなさすぎて、どこかこすずるく、人から好感を持って受け入れられない蔦代に対して、同性からも信頼されて着実に芸の道を歩む正子。
一見、正子の方が好感を持って描かれるが、私は微妙。所詮は旦那に体を売る芸妓なのに、本妻として表通りを歩くことを目標としたりと中途半端な感じがしてしまう。
対して、確かに蔦代はそれこそ感じは悪い。。。というか猫のような性格。でも、生き抜くために必要な選択をしただけとも言える。
好き嫌いはあれ、二人とも一生懸命生きたと思う。恋に生きるのが幸せか、家族のために生きるのが幸せか、などなど女性が何を一番として生きるのが幸せな選択かなのかについてがテーマなのではないかと思う。 -
『連舞』『乱舞』『真砂屋お峰』も好きですが…
東京の花柳界を舞台に戦前・戦中・戦後の30年にわたる正子(主人公)と蔦代、二人の芸者の憎しみ入りまじった友情を描く作品ですが、私としては一本気な正ちゃんの恋愛小説と捉えています。いくつかの恋を経た正ちゃん最後の恋が切ないです。 -
2012/10
-
正子と蔦代の2人の芸者の人生。とにかく蔦代のつかみどころのない無気味な性格が印象的。
上下巻たっすりおもしろかった。
その後の人生も知りたい。
そして着物の描写が素晴らしく、正子が鶴弥にもらった漆の黒い着物を見てみたい。 -
有吉佐和子の小説に登場する女性達の「女」の部分を読むのは面白い。
その中でも群を抜いて生理的に気味の悪さを感じたのがこの芝桜に出てくる蔦代という存在だ。
仮に近くにいたらと想像するだけでぞっとする。
しかしその理解不能の気味悪さがまた物語を面白くしていく。
ヘンな言い方だが、人物造形でここまで読み手に不快感を与えられるのは素晴らしいと思う。
底が見えない恐怖心や不安を煽られるような不気味さというか、とにかく読みながら何度か精神的に嘔吐くような感覚があった。
蔦代のインパクトがあってこそ、主人公正子の存在も引き立ち、没頭して読める。
続編の「木瓜の花」含めてとても面白い。 -
けっこうおもしろかった。
友達だとすりよって、ちゃっかりする女
どこにでも存在するよね。 -
津川家の正子と蔦代は対照的な性格ながらも、看板芸者と目されていた。 絢爛たる花柳界を舞台に二人の芸者の生き様を描く。
途中までは正子の引き立て役である蔦代が不憫にも感じるのですが、中盤からはどんどん蔦代の存在感が増してきて、不気味に感じます。
正子視点なので、基本的には彼女に感情移入しているのですが、上巻の最後では蔦代に戦慄しながらも、ちょっと返り咲いた蔦代にあっぱれと言ってあげたい。