ちいさこべ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134253

感想・レビュー・書評

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  • ちいさこべ目当てで買った、が、ちいさこべ以外の3作品がそれぞれ新鮮に楽しめた。初めは文体が読みにくいと思ったが慣れると苦にならない。あとの三作品は現代とほぼ変わらぬ文体、読みやすい。時代小説にはハッピーエンドがつきものと思っていたが、こういうのもあるんだ。

  • 表題作は望月ミネタロウの漫画「ちいさこべえ」の原作。大火で両親を失った大工の若棟梁の了見・心意気がすがすがしい。この短編集ではいずれも厳しい試練に見舞われた個人が主人公であり、自我と理想への目覚めが救いとなっている。

  •  図書館より
     中編四編収録の作品集。

     一番印象的だったのは『ちくしょう谷』。一人の武士が世間から隔絶された村落の人々に教育を施しつつ、兄の死の真相を知った彼がどう行動するのか、という点も描かれます。

     「ちくしょう谷」の人々に対し、しっかりと自分の責務を感じつつ彼らと向かい合う主人公の姿がよかったです。また彼が徐々に人間的に成長していく様子がしっかりと描かれ、それが見事に最後の決断につながっていることが分かります。なので、非常に後味の爽やかだったと思います。

    表題作の『ちいさこべ』は火事で親や家を失った大工の若棟梁銀次が、みなしごたちの世話をしつつ新たな生活を始めていく話。

     男気が感じられる主人公で親心も感じさせるところも場面もあってその描写もいいのですが、いきなり亡くなった親に対しての想いを感じさせる弱さの部分もあって、そういう点も非常に魅力的でした。みなしごたちの世話を一緒にすることになるおりつもいい味を出していました。

     自然描写の荒々しさ、美しさが印象的な短編もあって、そういう描写でも、山本周五郎の文章力を感じました。

  • 山本周五郎の短編集。

  • ちいさこべ、いい話だ!強情だけど、人情味溢れる茂次が素敵。最初は茂次のわからずやっぷりにやきもきするが、一本筋が通った人はやはり格好よく見えるものだと感じた。

  • 中編を4編収録。

    どれも面白いけど、特に「ちいさこべ」と「ちくしょう谷」が好き。
    周五郎の作品は、人生にどう向き合うか、みたいなことが描かれていることが多いと感じ出るんだけど、
    長い作品になればなるほど、人生の重み、みたいなものが濃くなります。

    なかなかじっくり小説読む時間取りにくくて、長編作品に手を出しにくいんだけど、
    20代のうちには読んでしまいたいなぁ。

  • 表題作「ちいさこべ」がとても良かった。
    読後の爽快感が素晴らしい、
    星4つなのは最後の作品が。。。

  • 短編4編。「ちいさこべ」が好き。向日性。環境フェアでもらう。

  • これはいい!⭐⭐⭐

  • 市井に生きることとは、人の多様性を受け入れたうえで何を為そうとするかということ

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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