愛の鬼才: 西村久蔵の歩んだ道 (新潮文庫 み 8-16)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101162164

作品紹介・あらすじ

創立まもない札幌商業学校で教鞭をとり、洋菓子店ニシムラを創業、その人生を教育と伝道に捧げた西村久蔵。彼の勇気と信念にあふれた行動は、触れ合うすべての人の心に、底知れぬ愛の楔を打ちこむ。親に死なれ、久蔵に引き取られて学校に通った者がいた。苦しい日々に、経済的援助を幾度も受けた人がいた。キリストの深い愛に支えられ、人のために尽した稀有の生涯を描く感動長編。

感想・レビュー・書評

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  • 江別在住時代によく「ユカたん」を食べていて、そこからこの本にたどり着いて読み始めた。江別に「キリスト村」があったことも初めて知った。それにしても三浦綾子氏の周りには、こんな「聖人」と呼ばれるような人が多い。なぜだろ?

  • 名作

  • キリスト教信仰に生きた愛の人、
    西村久蔵の生涯を描いています。

    「この小さき者になしたるは、即ちわれになしたるなり」
    という、イエス様の言葉に従って、
    どんな人にも惜しみない愛を注いだ西村氏。

    その生涯は決して平和なものではなく、
    むしろ愛する者の死や経済的困窮、
    そして戦争の暗い影を経験しながらも、
    隣人のために自らを捧げました。

    行いを伴う信仰とは、
    こういうものなのだなと思わされました。


    また、太平洋戦争中の日本に生きた
    クリスチャンとしての苦悩も描かれています。
    「天照大神は創造神ではありません」
    「戦争は罪です」
    といった、きわめて当然の言葉が問題視された時代。
    西村氏の息子の洋平は、
    自分の家に神棚がないことを教師に厳しく咎められ、
    お前の父親は国賊だ、とまで言われて
    泣きながら学校から帰ってきました。
    その一件があって西村氏は神棚を祀りますが、
    戦後、激しい罪責感を覚えました。

    私がこの時代に生きていたら・・・
    と考えながら読むと、恐ろしくなりました。


    三浦綾子さんによって「愛の鬼才」と呼ばれた西村氏。
    その愛と信仰には、大いに習うところがありました。

  • キリスト教徒じゃありません。

    でも遠藤周作の作品や、同じ作者の『塩狩峠』は大好きです。
    そういえば、大学のころ、よく朝のラジオで宗教番組を聞いてました。

    ま、完全に夜型過ぎなわけですが。

    で、この作品は札幌のキリスト教徒西村久蔵の生涯を描いた作品です。

    確かに感動的なくらいに魅力的な人柄。
    すべての人たちが彼やその周囲にいる人々のように過ごしたら、
    どんなにこの世は素敵なことになるでしょう。

    でも、なってない。

    キリスト教国がどうして戦争を起こすのか。
    そのあたりの矛盾がよくわからんのです。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三浦綾子の作品

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