兵士に聞け (新潮文庫 す 10-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (666ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101190136

感想・レビュー・書評

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  • 自衛官に密着取材してて、よくここまで書けたなと思います。レンジャーを志す陸自幹部、護衛艦のベテラン海曹、奥尻島のレーダーサイトの空自隊員、PKOでカンボジアに派遣された隊員が主役的な。それぞれの生々しい想いが見えてきます。海自の話は亡国のイージスまんまだったりです。書かれてから10年くらいなのかな、この組織の中身はあまり変わってないのかな。

  • 誰もが二度とやりたくないというレンジャー訓練に同行し、訓練生の志願動機を掘り下げる。
    海上自衛隊の護衛艦に同乗し、その狭いスペースに乗り組む隊員達の日常と彼らの思いをしたためる。
    わたしがこの本で一番と思う部分は、北海道南西部に浮かぶ奥尻島のレーダー基地、転入希望者のいないその地に暮らす隊員達の物語。深夜に北海道南西沖地震に襲われ、津波や山崩れで多くの死傷者が出たとき、彼ら隊員とその家族は何を思い行動したか。島の人たちとの交流の難しさ。東日本大震災が起きる前にこれを読んでおきたかった。
    インタビューからこれほどに生々しい個の思いを引き出せるものなのか。なかには上官への批判もあり、隊員名は一部匿名で配慮されているものの、これを受け止める組織としての懐の深さがあると信じたい。
    次に良かったのが、カンボジアPKOに参加した施設部隊の隊員達と留守を守る部隊のこと。武器の携帯、使用における法解釈上の疑問点。なにかあれば個人が法廷に出る覚悟だとは、聞きしに勝る極限状況。派遣先で起きたこと。日本ではけっして体験できない緊張状態。さらには、それを経験した者とそうでない者との間に溝が生まれる。
    選抜された者、機会を与えられなかった者の葛藤。その葛藤とストレスは、濃密な人間関係と相まって一般社会とは比べものにならないだろう。兵士シリーズ三部作の第一作ですが最後に読みました。生き方や自衛隊という組織のあり方など、様々な思いがよぎる良書です。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    まぎれもない「兵士」の集団でありながら軍隊とは呼ばれない、いまだに国民の拒否反応も根強い―。そんな「日蔭者」の存在、自衛隊の隊員たちは、何を思って日夜、厳しい訓練に耐えているのか。護衛艦やレンジャー訓練への同行など徹底した密着取材により、彼らの素顔を浮き彫りにする。日本人が直視してこなかった「戦後」を敢えて問うた渾身のノンフィクション。新潮学芸賞受賞。

  • 陸上自衛隊のレポート。付箋を貼りまくった思い出の本。

  • 自衛隊を扱ったルポとしては最高の出来なのではないか(不祥宮島の本も面白いけど)。国民にアレルギー反応がある自衛隊の隊員たちは何を考えて、実際にどういう仕事をしているのか。各地に跳んで取材した成果がまとめられている。日本にもこれだけの軍隊があるという現実を受け止めるには最良の書ではないか。自衛隊の是非はこれを読んでから考えても良いのではないか。

著者プロフィール

1952年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、

読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に

新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興

亡』(文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション

賞を受賞。1996年、『兵士に聞け』(小学館文

庫)で新潮学芸賞を受賞。以後、『兵士を見よ』

『兵士を追え』(共に小学館文庫)『兵士は起つ

 自衛隊史上最大の作戦』(扶桑社新書)と続く

「兵士シリーズ」を刊行。7作目『兵士に聞け 

最終章』(新潮文庫)で一旦完結。その後、2019

年より月刊『MAMOR』で、「兵士シリーズ令和

伝 女性自衛官たち」の連載を開始。ほかに小説

『汐留川』『言問橋』(共に文藝春秋)、『デルタ

 陸自「影」の兵士たち』(新潮社)、

『OKI囚われの国』(扶桑社)など著書多数。

「2022年 『私は自衛官 九つの彼女たちの物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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