路地の子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 99
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206875

作品紹介・あらすじ

昭和39年、大阪──。中学三年生の龍造少年は学校にはいかず、自らの腕だけを頼りに、天職と信じた食肉の道へと歩み始めた。時に暴力も辞さない「突破者」と恐れられ、利権団体や共産党、右翼やヤクザと渡り合いながら食肉業界を伸し上がった一匹狼──。時代の波に激しく翻弄されながら、懸命に「路地の人生」を生き抜いた人々の姿を、大宅賞作家が活写した、狂おしいほどに劇的な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 上原善広『路地の子』新潮文庫。

    『路地』とは非差別部落のことであり、本作は『路地』出身の著者が自身の父親の半生を描いたノンフィクション小説である。

    梁石日の『血と骨』にも似た『路地』の世界。遥か昔から固有の土地に根付いて来た差別という風習。その土地に産まれたからには逃れられない宿命は、今の時代にはそぐわないはずなのだが、何故か途切れることなく永遠と続く不思議……

    大阪の『路地』に産まれた龍造は、何者にも負けないと時には暴力を振るい、コッテ牛、突破者と呼ばれながらも、自らの腕一本で食肉業界を生き抜いていく。力強い、激しい生き様も、そうせざるを得ない理由がある。

    本体価格590円
    ★★★★

  • この本に関して、ノンフィクションではないなど、さまざまな意見があるということを読んでる最中知った。
    内容として興味深く、書き方も面白かったため一気に読んだ。

    ノンフィクションと謳っているから完全な事実を書かかなければならないというのはかなり難しい注文で、ちょっとでも事実とズレていたら叩くのはどうかなと。
    要は、何事も鵜呑みにしない、盲信しない、自分で調べて考える。そういう姿勢が常に必要かと。

  • 2022/05/23

  • 著者の断薬の記録。
    私の周囲には、長期的に精神薬をとっている人がいますが、断薬・減薬できたという話は聞いたことがありません。
    やろうとしている人はいるのですが、かなり大変みたいで、「減薬をあきらめた」という人もいます。
    ほんの小さな化学物質のカタマリなのに、ほんの少し削っただけでも脳が異変を起こす。
    そんな恐ろしい物質って、なかなかないですよね。
    著者のように一ヶ月温泉でデトックスできるような状況の人なら、ぜひ転地療養で、一気に断薬できるといいなと思いますね。
    だいたいが、生活がある、仕事がある、物理的に、経済的に無理という人ばかりです。
    そりゃあそうですよね・・・
    医者に処方された精神薬が限界まで増えて、減らすために入院する人もいます。
    かんたんに薬に手を出さないように周知して欲しい・・・

  • 牛肉を作り出す場「とば」を振り出しに、食肉業界を生きる場とした上原龍造の一代記。
    読み終わったあと、巻末の後ろ姿が鮮烈な印象に変わった。

  • 単行本で既読。

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著者プロフィール

1978年、大阪府生まれ。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。2010年、『日本の路地を歩く』(文藝春秋)で第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「『最も危険な政治家』橋本徹研究」(「新潮45」)の記事で第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。著書に『被差別のグルメ』、『被差別の食卓』(以上新潮新書)、『異邦人一世界の辺境を旅する』(文春文庫)、『私家版 差別語辞典』(新潮選書)など多数。

「2017年 『シリーズ紙礫6 路地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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