やがて訪れる春のために (新潮文庫 は 71-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101213828

作品紹介・あらすじ

入院中の祖母から、庭の様子を見てきてほしいと頼まれた村上真芽(まめ)。彼女が目にしたのは、荒涼とした景色だった。花が咲き誇った庭に、しっかり者の祖母に、いったい何が起きたのか? 庭を復活させようとする真芽は、怪しげな隣人や家の売却計画など様々な困難に直面するが、幼なじみたちの力を借りながら奮闘する。バラ、クレマチス、ミントなど植物が彩る庭を舞台に描く、あなたのための物語。

感想・レビュー・書評

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  • またまた会社の先輩にお借りした(^^)
    あー、この本は海が見える家の作者様だったのか。
    通りで何とも温かさを感じられる。

    先輩が貸してくださる本は、ほっこりする本が多い(^^)
    私みたいに、人がバタバタ死ぬような殺人事件はあまり好まれないようだ。育ちの違いなのか??^^;


    村上真芽は幼少時代を祖母の家で家族と暮らしていた。
    祖母が大腿骨を骨折し入院することになり、庭の様子を見に行って欲しいと頼まれる。

    かなりの年月をあけ、久しぶりに見た懐かしの庭は荒廃していた。
    雑草に覆われて、樹は立ち枯れていた。

    真芽はこの庭を再生させようと考える。
    そして、次第に自分の夢を思い出す。


    この作家さんの本は温かい。
    悪い人が登場しないからか?読み終わった時にほっこりする(^^)

    個人的には海が見える家の方が好みだが、この本も短時間でさくさく読めるくらいに、いつのまにか夢中になって読んでいた(^^)

  • 嘘の無い力強い言葉が読んだ人に届く本ではないかと思います。
    飾らす、夢物語過ぎずにでも希望を持つ事が出来るお話です。
    人生は上手くはいきません。でも上手くいかなかった事に目をそらし人の話を聞かないでいると真実が分かりません。
    出来ないと思う事でも今の自分が出来る事をやらなければ本当に出来ません。
    生きていくうえで分かっているはずなのに知ろうとしなかった大切な事を教えてくれる本です。
    読めばタイトルを皆が納得出来ると思います。
    解説も是非読んで欲しいです。

  • とても心温まる優しい物語でした。

    主人公の真芽は、付き合っていると思っていた(1人勝手に思い込んでいただけ)男性が、自分の友達と親しそうに寄り添い歩いているのを見かけて、二人と縁を切り仕事まで辞めてしまう。
    そんな所に、昔、一緒に暮らしていた祖母が入院したと連絡があり見舞いに行く。
    そんな設定で物語は始まる。

    一緒に暮らしていた真芽たち家族が家から出て行き、夫である祖父も亡くなり、ひとり暮らしていた祖母の衰え、認知の問題。
    荒れ果てた祖母の家と庭。
    目を背けたくなる独居老人の課題が、問題視というよりも、ありふれた日常の中に描かれていて深刻にならずに読めた。それでも、いずれ私自身も通る道だと思っている。
    そんな祖母の家と庭を、真芽が祖母との思い出、祖母への想いで少しずつ再生していく。
    作品の中に出てくる果樹やハーブ、草花がとても魅力的で
    真芽によって手を加えられて生き返った庭の活き活きと輝いている様子がとても素敵で、そんな庭の風景を想像すると、とても穏やかな気持ちになりました。

  • はらだみずきさん初読み。はらださんのお名前は存じ上げていたが、素敵な装丁とタイトルに惹かれ手にした本。実際、そのイメージ通りのとても心温まる話だった。
    千葉県佐倉市を舞台にした、洋菓子メーカーでの仕事を逃げるように辞めた村上真芽が主人公の物語。就職先では希望した商品開発とは業務内容がかけ離れた総務部に配属されたり、信じていた人たちに裏切られたりと、冒頭の真芽はぼろぼろの状況。かつては同居していたが、現在は空き家となっている祖母のハルばあの家の荒廃した庭を片付け整えていくうちに、心も状況も変わってくる。土いじりのような自然の中で無心で作業でき、成果も実感できるものは弱っている心身にとって最高なのだろうな。
    まだらボケのような症状の認知症を持つハルばあに対する親族それぞれの接し方などから、何事も一方的に決めつけることは、それだけで可能性を狭めてしまうことを改めて実感した。作中、随所に心に刺さるフレーズが出てくる。「自分の今できることを今やるだけ」という心境になった真芽だが、とても同感。当初の夢に急がば回れで近づいた真芽に感動した。
    園芸やガーデニング、植物、料理、美味しそうなおやつも登場する。個人的には地元の図書館司書やホームセンター勤務の友人も良かった。あとがきは『一万円選書』でお馴染みの岩田徹さん。

  • やがて訪れるハルの為にというエンディング、淡淡と進む物語にうってつけだってこと。海が見える家が大好きで、特徴の無い主人公がたくさんの経験と人と恵まれて、成長するのが好きだなってこと。ジロ翁が地主でまめ子に幸福をもたらすとか、夢に向かってとうとう実現させて、この後も続いて行く佐倉の生活が未来を感じる。ハルさんがとうとう帰れず施設に移るとか、もうちょっと元気で居させて欲しかったよ、あずさに弟に実在してたじゃんかボケてない、ほんと明日は我が身。千葉県舞台も浦安市に住んでたので思い入れが強い。

  • 最後の一文になるほど。
    小さい頃の思い出の庭を再生してまた新しい出発をした主人公が素敵だった。
    最後の解説を読んで、自分が成長したと感じる一方で成長を見守っててくれた家族は年をとっていくけれどこれからどう一緒に過ごしていくか改めて考えたいと思った。

  • 夢に破れ、仕事もやめた真芽が、かつては一緒に住んでいた祖母が入院し、庭の様子を見てきてと言われるが、庭どころか家も荒れ果て……。家を再生させながら、自分を見つめ直し、祖母の気持ちを知る。叔母さんや両親が認知症の祖母を見切ってるかのような対応も、当事者だとそうもなるのかな。これは題名通りの物語だと、読み終わるとじんわりくる。

  • やがて訪れる春のために。

    続きがあるなら読みたい。
    オープンガーデン&カフェの今後も気になる。

    我が家のベランダでもお花を育ててるから、お花のお話も楽しかったし、周りの人たちとの関係もとっても良かった。

    心が温かくなるお話。

  • 家族と庭の再生物語。
    良かった…。素敵な読書時間でした♪

    元花屋の幼馴染みの助けを借りながら、入院したハル婆が帰る日のため、荒れ果てた庭の再生に取りくむまめ子。
    その過程で関わるようになった人たちとの交流。
    少しずつ庭に花が綻び、いつの間にか子供から大人まで人が集まる場所へと変わっていく。

    まめ子のハル婆の想い出に想像をめぐらせ、四季の花を愛でながらの読書。
    ハル婆の想いを知って、胸に込み上げるものがありました。
    読後は、温かいものでじんわり心が満たされます。
    表題も秀逸!

  • ”ただふつうにしてほしい”
    認知症のおばあちゃんが
    口にした言葉が印象的だった

    庭を通じて主人公がだんだん
    変わっていくのが
    読んでてすごく楽しかった

    春を待つ今の季節に
    読んで欲しい心温まる1冊です

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著者プロフィール

千葉県生まれ。商社、出版社勤務を経て作家に。二〇〇六年『サッカーボーイズ再会のグラウンド』でデビュー。「サッカーボーイズ」シリーズ、「海が見える家」シリーズの他に『帰宅部ボーイズ』『ようこそ、バー・ピノッキオへ』『会社員、夢を追う』『太陽と月サッカー・ドリーム』などの著書がある。

「2022年 『サッカーデイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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