情報、官邸に達せず (新潮文庫 あ 45-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101219318

作品紹介・あらすじ

事前に知りながら、なぜ金正日の長男は国外退去となったのか。JCO放射線事故の対応に、政府はなぜ4時間半もかかったのか。オウム真理教教祖逮捕を確認できないまま閉会した対策会議のお粗末さとは?…小泉政権から村山内閣時代までの大事件を遡り、極秘の政治情報を駆使しながら、危機管理体制の舞台裏を生々しく再現。「国家の情報機能」の弱体ぶりを告発した傑作ドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 情報後進国日本の実態。
    今はかなり状況が違ってはいるが、こういう時代を経て今があるのだなぁと。

  • 事前に知りながら、なぜ金正日の長男は国外退去となったのか。JCO放射線事故の対応に、政府はなぜ4時間半もかかったのか。オウム真理教教祖逮捕を確認できないまま閉会した対策会議のお粗末さとは?…小泉政権から村山内閣時代までの大事件を遡り、極秘の政治情報を駆使しながら、危機管理体制の舞台裏を生々しく再現。「国家の情報機能」の弱体ぶりを告発した傑作ドキュメント。

  • 福島第一原発に関する本かなと思って購入したけど、1996年単行本化、文庫本は2001年発行だった。
    1994年から2001年に起きた”大事件”に際して、政府官邸への情報の齟齬、未達、遅れを取り上げて、危機管理体制さらに”被害管理体制”への”提言”へと話を広げた本。
    2011年3月の東北での地震でも官邸のテイタラクは取りざたされたが、一方で行政機関の問題点は話題に上らない。
    本書では、書名から官邸の問題かと思ってしまうが、実際の情報を握る「お役所」の問題を取り上げていて、言い古された縦割り行政や縄張り意識が、いかに緊急事態に対応出来なかったかを書き連ねる。
    出版後10年経っての大災害において、どのように官邸や行政機関の危機管理体制が”進歩”したかを振り返ってみるのに最適な本と言えるかな。

  • 情報の扱いって難しいものだ。政府の中枢ではもっとマトモなことをやっているのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。
    20年前の話ではあるが、今はどうなっているんだろう。

  • 金正日の退去事件、JOC放射線事故、オウム真理教、阪神淡路大震災などの大事件を遡り、極秘の政治情報を駆使しながら、危機管理体制の舞台裏を生々しく再現、国家の情報機能の弱体ぶりを告発した傑作ドキュメント。

    本書を読んでいて、とても衝撃を受けました。あの事件の裏にはこんな事があったのかと。

    特に、JOCと阪神淡路大震災については、現在、日本が直面している問題と同類であり、これをみると、本当に想定外なのかと疑問に思ってしまう。

    本書は「出来る限り非公開情報に絞ってインタビューを重ねたため、名前を伏せなくてはいけなかった」とある。取材源の秘匿は当然ではあるが、参考文献が記載されていないのが残念である。本書の内容が何処まで正しいのかを、検証する事が大切であろう。
    (石原官房副長官のオーラルヒストリーや海部元総理の回顧録などと併せてみるのも面白いかもしれない)

  • 国内の重大事件に関して対応経緯を描くノンフィクション。
    事件の情報がどのように伝わり、いかに遮られていたのか。

    危機管理より欧米では重視され「被害管理」が機能している。
    危機管理が未然に事故や災害を防ぐ一方で被害管理は事件事故、災害が起きた後にいかに人命を救出するかに基本的概念を置いている。

    いかに日本が情報系統が未発達であったことが挙げられた例によって示され、内閣の対応への甘さや幼稚さに表されていた。だが、予想をはるか越えていく事件に誰もが目を覆いたくなるのはしょうがないことだと思う。だからこそ、平時おいてこそ準備を整えておく必要がある。

    前に日本がスパイ天国って聞いたことがあるけど、こういう情報管理の抜け穴がスパイ天国だと呼ばれる所以なのかな。

  • 国内の重大事件に関して対応を迫られる内閣。しかし、その対応は粗末なものだった。
    JCO臨界事故、オウム真理教、阪神・淡路大震災、北朝鮮、ルワンダPKOを取り上げ、内閣の対応経緯を描くノンフィクション。

    事件への対応はあまりうまいものとはいえない。
    かといって、誰が悪いともいえない。誰もがまさかそんなことが起こるはずがないと半身に構えているのが重大事件というものだ。
    しかし、対応するための準備だけはしておかなければならないのではなかろうか? 内閣専属の情報・諜報部など、必要とされる危機管理体制があるという指摘は的確であると思う。

  • 05.4.27

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著者プロフィール

大阪府生まれ。小説デビュー作『宣戦布告』がベストセラーになり映画化。以後、『ZERO』『瀕死のライオン』『外事警察』『奪還』『特命』『銀色の霧』『QUEEN スカイマーシャル兼清涼真』など話題作を発表し続けている

「2022年 『トツ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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