- Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101237343
作品紹介・あらすじ
海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて-。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。
感想・レビュー・書評
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何かおすすめの本教えて。と言われたらとにかくすすめる1冊。初めて読んだ時の興奮は忘れられない。
度々読み返し、その度に違う景色を見せてくれる。
けれど是非若いうちにこの本に出会って欲しい。 -
絵を描くことは好きだが
真剣になることができない
サッカー部の木島悟と、
イラストレーターの叔父だけに心を許している、
絵を見ることが好きな村田みのり。
鎌倉を舞台に
2人の16歳の淡い恋心を描いた
青春小説の傑作。
チャットモンチーのオススメで
この小説を知って、佐藤多佳子さんにハマりました。
(女優の多部未華子さんもお気に入りの小説らしいです)
胸キュン恋愛小説と言えば、
まず思い浮かぶのは有川浩さんやけど、
10代の恋愛を描いた瑞々しさで言えば、
自分は文句ナシに
この作品を推します(^_^)
(ジブリの「耳をすませば」が好きな方なら
間違いなくハマります!)
二人の16歳の
みずみずしい会話や、
葛藤や心情を描いた悶々とした
「揺れる」描写が
とにかくリアルで、
これほど甘酸っぱさを真空パックした小説も珍しいんじゃないかな(笑)
(思春期の少年少女を描かせたら
佐藤さんの右に出るものはいないと思う)
酒に溺れ
離婚後も絵を描き続け
体を壊して死んでいった実の父親
『テッセイ』のようにだけはなるなという、
母の言葉に頷きつつも、
絵を描くことをやめられない木島。
あまりにも真っ直ぐな性格が過ぎて、
家族や級友とも
すぐにぶつかりあってしまうみのり。
(エキセントリックな女の子像が素晴らしい!)
不器用な二人の描き方が本当に丁寧で
会話の全てが心に染み渡るし、
読み終わってしまうのが
悲しくなってしまうほど
浸っていたくなる心地よさ。
みのりが唯一心を許す
叔父のイラストレーター木幡通や
木島の所属する
サッカー部行き着けのカフェの
ウェイトレス、似鳥さんなど、
主人公二人の脇を固める
大人たちの生き方までもが
みな切なくて切なくて
胸を焦がします(≧∇≦)
周囲に馴染めず
自分の生き方を模索する思春期の二人が、
お互いの共通点である「絵」を通じて
少しずつ
少しずつ
心通わす様は、
もう名人芸と言っていいほど
胸がきゅい〜んとなる感覚を
読む者に味あわせてくれる。
またラストを締める
二人の会話が
本当に本当に
秀逸なのです(T_T)
(下手な映画見るならコレ読んで!)
今の学生諸君!
ありきたりで
イージーな携帯小説読むくらいなら、
コレにしなさい(笑)
出会えた喜びを
誰かに伝えたくなりますよ(^_^)v-
かなり前に読んだ本ですが、
みのりと木島くんの不器用なはみだしぶりが
かわいくて、ほろっとしたのを覚えてます。
独特の存在感を漂わしている
...かなり前に読んだ本ですが、
みのりと木島くんの不器用なはみだしぶりが
かわいくて、ほろっとしたのを覚えてます。
独特の存在感を漂わしている
みのりのおじさんが素敵でした♪
佐藤多佳子さんの作品には、この他にも
『しゃべれどもしゃべれども』とか、『神様がくれた指』とか
人と人との繋がりを丁寧に描いた名作がいっぱいあって、好きな作家さんです(*^_^*)2012/07/07 -
わぁ〜まろんさん、
ここにもコメント
ありがとうございます!
コレ自分もかなり前に読んだんやけど
何回も買い直してるし...
わぁ〜まろんさん、
ここにもコメント
ありがとうございます!
コレ自分もかなり前に読んだんやけど
何回も買い直してるし、
もうずっと手放せない本のひとつで、
ジブリの
『耳をすませば』と同じく、
苦悩しながらも
自分の殻を破って
少しずつ少しずつ
成長していく二人を見ていると
なんかドキドキするし、
スゴくまぶしいんですよね〜(>_<)
自分がそれだけ
おじさんになったからかもしれんけど(汗)
ホンマできるなら
学生時代に読みたかったなぁ〜って
何度悔しく思ったことか…(T_T)
思春期の少年少女たちを描いた話の中では
ダントツに好きな話だし、
ノートにメモしたほど(笑)
生きたセリフが
とにかく
いいんですよ!
あっ、自分も
『しゃべれどもしゃべれども』大好きです♪
国分太一と
まだブレイク前の香里奈が共演していた
映画版も
なかなかの良作でした(^_^)v
(強面俳優の松重豊さんが、俳優人生で初の助演男優賞を受賞したのも泣けました!)
2012/07/10
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20150527
以前、友達に「高校時代に読むべき小説を挙げるとしたら何?」と尋ねた時、この「黄色い目の魚」を教えてもらいました。自分が感銘を受けたとっておきの本だと、友達は言っていました。
第一章。読み始めて、どうしてこれが高校時代に読むべき小説になるのかよく分かりませんでした。文章も語り口で、始めはどうにも馴染めなかった。それでもなぜだか本を閉じられなくて、解説で角田光代さんが述べているように、私も佐藤多佳子さんの魔法にかかっていたのですね。
読み終えて、なんて心地の良い、すがすがしい小説なんだろうと思いました。木島やみのりがずっと心に住みついてるような感覚。心地よくて少し切なくて、友達が、高校時代に読むべき小説として挙げた理由に納得しました。言葉では上手く言えないけれど、この心に残る温かい気持ちだけで十分です。 -
あっという間に読了。
歳をとるにつれて、感動シーンは少なくなっていくかもしれないけど、思い出す瞬間、重なる瞬間は訪れる
ということを、実感した。
最初は短編集か?と思ったけど、最後まで一つの話が2人の目線から描かれていて、大変厚みのあるストーリーだった。 -
必ずしも良い家庭環境にはいないこの二人の高校生は、自分の事、友人との事、世の中の事を分析しながら歩いている。多感と言われる高校生がさらに繊細な目を持って自分と自分の周りを見ながら細かく感じながら歩いている。
自分がこの年齢の頃、多感な頃と言われながらそれでもかなりのほほんと生きてきたような気がする。
彼らの青春は俺の青春とは違うのだろうか。
けれどこれは作者が彼ら高校生を窓口にして読者に語っているのだと思えば彼らの感性は青春時代に特別に与えられた物ではなく、それを感じる事が出来る者達すべてに与えられる物なのだろう。
であれば誰でも今、その感性を取り戻して自分の周りを繊細に感じる事が出来るはずなのだから、ちょっとやってみる?もいちど青春。
青春とはいいながら、いくつになっても自分の心に鋭い視線を浴びせれば自分の周りが今よりずっとくっきりと見えてくるかもしれない。
くっきりと見える事が今より良い事なのか、そうではないのかはわからないけれどそれを知るのが怖くて視線を外してぼんやりと暮らすのはもったいないかな。 -
絵を描く事が好きな少年、悟。
絵を見る事が好きな少女、みのり。
子供でもなければ大人でもない
16歳というもどかしくて切ない季節。
湘南を舞台に二人を取り巻く大人と
二人の成長を描いた物語。
16歳、、
私は何を感じ、何に向かって歩いていただろう。
将来について、人間関係について
色々な想いはあっても、
ただただ毎日を何となくやり過ごしていた気がする。
みのりみたいに
誰とも群れようとせず、
嫌いなものを嫌いと言い切れる強さを
私は持っていなかった。
だからこそ潔癖で誠実なみのりが
私にはキラキラと眩しく映る。
みんなと同じ事で安心し、
みんなと違う事に恐怖心を抱いていたあの頃。
同じクラスにみのりがいたら
きっと浮いていたと思う。
そして、
私はみのりに近づきもしなかったかもしれない
「本気ってやじやない?」
「こわくねぇ?自分の限界とか見ちまうの?」
悟と同じ事を私も思っていた気がする。
大人に抱く憧れと険悪感。
自由奔放な大人に
魅せられて縛られていた悟とみのり。
足りないものを補うかの様に
二人は絵を通して徐々に惹かれあい
互いを成長させていく、、。
あの頃、何にそんなにイライラし
何をそんなに焦っていたのだろう。
まだ、子供でいたい様な
早く大人になりたい様な
相反する気持ち。
あの頃の自分に会って教えてやりたい。
そんな風に悩んでいる今が
過ぎ去ってしまえば、
とても貴重で尊い思い出に
あっという間になってしまうんだよと、、
大人になった今
悟とみのりが見ていた世界を
二人のフィルターを通して
もう一度見てみたくなった。
私にとって
忘れてしまった何か、
置いてきてしまった何かを
少しだけ呼び覚ましてくれる
そんな一冊。
子供から大人まで
幅広い世代の人に読んで欲しいです。 -
「本当に大事なことを口に出したりする時は、いつだって苦しい。」
不器用だけど、まっすぐな二人の高校生のお話。
群れるのが嫌いで家族ともうまくいかず、唯一叔父にだけ心を許しているみのりと、
絵描きだった父の面影を感じながらも絵をなんとなく描き続ける木島。
絵の被写体と描き手として、言葉にならないもので繋がっていく二人がだんだんと惹かれあい、やがて「好き」に変わっていく。その過程が見ていて、もどかしいのだけれどいい。
みのりのかたくなさが、木島を想うことで少しずつ柔らかく変化していくのがよかった。
こんにちは。
私も一回読んだだけで、「感動した」という記憶以外殆ど記憶がないのにブックリストに載せていました(^_-)。
たださん...
こんにちは。
私も一回読んだだけで、「感動した」という記憶以外殆ど記憶がないのにブックリストに載せていました(^_-)。
たださんのレビューを読んで、ああそんな話だったなあと思い出しました。
「いい絵が出来ていくのを見るのが何より好きだ」というのが印象的だったのを思い出しました。他にもなんか人の些細な所に惹かれる柔らかい気持ちを描ける佐藤多佳子さん、天才だと思います。
こんばんは。
コメントありがとうございます(^^)
台風、大丈夫でしたか?
そのブックリストを見たのは、もう半年近く前だと思う...
こんばんは。
コメントありがとうございます(^^)
台風、大丈夫でしたか?
そのブックリストを見たのは、もう半年近く前だと思うんですけど、まこみさんも以前に読まれて物語を覚えていないのに、好きな作品として登録されていたことに、私の記憶も掘り起こされたようで、「そうそう! 何か良かったんだよな」と感じたのが、ずっと印象に残っていて、いつか再読したいなと思ってました。
そして、改めて読んでみて実感したのは、一目惚れというよりは、それぞれの人生とも密接に深く絡み合った上での、他の人にはない特別な感情ということで、傍から見たら恋愛感情なのかもしれないけれど、それだけではない奥の深さに、人間の素晴らしさや愛おしさを感じさせられまして、特に村田の境遇は立場こそ違えど、独りになりたくないのになってしまう気持ちが分かるというか、何度も目頭が熱くなって、やっぱり私には特別な作品だと思いました。
再読出来たのは、まこみさんのおかげです。
ありがとうございます(*'▽'*)