- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101252292
感想・レビュー・書評
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子(小五男子)が国語のテストの問題文で読みかじり、良かったから全部読みたいとのことで図書館で借りてきた。読後、是非父も母も読んでみてというので、私から早速。 何の前情報も先入観もなく読み始めたので、最初の話から盛大に涙腺決壊。ダンナ君にお勧めしようとしてほんの少しあらすじ話そうとしただけでまた涙腺決壊しそうになり「是非読んで。いいから読んで。」ということで結んだ。興味持った人は是非、感受性全開で読んで欲しい。 子にもこのお話の訴えている内容に何か感じるものがあったんだなということを知ることが出来て嬉しい。
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Tue, 08 Jun 2010
フィクションらしいが,河合隼雄先生の幼少時代をつづったもの.
なんか,ちびまるこちゃん みたいな感じ.
ユング心理学の日本での大家であり,精力的な執筆活動などをされた,河合先生の幼少期,そのパーソナリティがのぞき見られる.
好奇心旺盛な子供を持つ父となり,自分と重ね合わせるより,
子供と重ね合わせながら読んだ.
一度もお会いしたことは無いが,私は河合隼雄先生から多大な影響を受けている.
母が,大学時代に河合隼雄先生に師事したこともあり,
小さな頃から家の母の本棚に,「こどもの宇宙」など河合先生の著作が並んでいた.
中学生や高校生のころから,勝手にこれを読んで.子供の教育について考えていた.
学校で得意な科目は数学で,完全な理系っ子だったのだが,
多分,「心理学」に対する関心は,このころからあった.
しかも,僕の関心のコアは知覚心理学や,認知心理学ではなく,ユング,フロイト,ラカンなどの深層心理学,精神分析的なものだ.
これらと知能研究が交わる日はいつのことになるのか・・・.
だから,僕が知能研究の中で「感覚・運動」「認知」「記憶」なんて心理学ワードをつかっていても
心の中には,ずっと,満たされないものがあるわけで・・・.
エスってなんだ,とか,ラカンのいう「大文字の他者が~」みたいなことを,本気で構成論的に取り組みたいと思っている自分が,どこかにいるわけで.
まぁ,とくに本書はそういう内容ではないのですが.
心理学という,一番私達に身近な,というか,内部な研究に携わる人間というのは
幼少期から存在するパーソナリティに,なにかその根源がある気がする.
というわけで,なんとなーく,河合先生のパーソナリティに浸れた一冊でした.
ちびまるこちゃん的読み物として普通に読む分にも可 -
河合先生の遺作となった自伝的小説。おもしろい。抜群におもしろい。ユーモアがあちこちにちりばめられていて、しかも幼い頃の隼雄くんのせつない思いが伝わってくる。小学4年生になる娘に読み聞かせました。娘にとっても大好きな1冊になったようです。その中から1節。「みそしるサンタ」6人兄弟のうち中学生になっている2人は別として、残りの4人はサンタがいつどのようにしてプレゼントを運んでくるか知りたくて興味津々。タト兄ちゃんが「サンタを捕まえる」と寝ずの番。お父さんも付き合うことに。2時頃までは起きていたはずだが、ついうとうとと寝ているうちにサンタはやってきてプレゼントをおいていった。どうしてサンタは2人がちょっと寝入ったすきが分かったのか。我が家の娘も興味津々。横で聞いていた6年生の長男は・・・。読みながら私はひやひやしていたのだけれど、さすがは河合先生。子どもたちの思いが良く分かっていらっしゃる。うまく切り抜けた。マト兄ちゃん(雅雄先生)の本もおもしろかったし、おそるべし河合兄弟。まだまだ書き足りなかっただろうに、続きが読めないのは残念です。
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河合隼雄さんの自伝的お話。なんで六人兄弟の中で僕だけ泣き虫なの?って聞いたらお母さんの意外な答え…どんぐりコロコロの歌でも泣いちゃう優しい子。(考えた事もなかった…)。お母さんの珠玉の言葉の数々… なんとこの作品連載中に倒れられたのだとか。もっと色々読みたかった。谷川俊太郎さんのステキな詩が捧げられています。
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「臨床心理士」の創設者である河合隼雄先生の最後の著作であり、
最初の(自伝的)小説である。
主人公のハァちゃんが河合先生なのだが、心優しいく泣き虫、
けれどいざというときは芯が強く頼りになる。
6人の兄弟、父、母がとても魅力的で、こんなユーモアが飛び交う温かい家庭で、
彼が子供時代どんなにたっぷり愛情を充電したかが伺える。
河合先生が人を見つめる温かい視線は、こんな環境から育まれてきたのかなぁと、
講演会での言葉の数々が思い浮かんだ。
また、子供のこころを写し出している児童文学は今こそ再読すべきだなぁ、とも思った。
とりあえず、彼が講演会で紹介していた「シャーロットのおくりもの」から
読んでみようかな。 -
ノンフィクションのような暖かいフィクション。
大きな小4という壁を抜けてはぁちゃんがどうかわっていくのか、
どう変わって行くように書くのかを見たかった、
残念。
心が温まる、まさにそんなお話。はぁちゃんの素直な涙は複雑に入り組んでしまった大人の感情がちょっとバカバカしいのを思い出させてくれる感じ。 -
河合隼雄自身の少年時代の出来事をモチーフに書かれた12話。著者本人であるハァちゃんは感受性が豊かで、とっても優しい子。何かにつけて、すぐに泣いてしまう。優しい両親と頼りになる兄弟に囲まれ、逞しく成長してゆく。私自身が親になる前に、この本に出会えていたら、子育ての方法も変わっていたに違いないと思えた。これから、親になる方にお勧めの1冊です。
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自伝的小説
じーんとする。
人間の芯というものを考えた -
大好きな河合さんの最後の本。自分の幼少時代をもとにして書かれた物語です。
今まで、私の知らない世界の知りたい事を教えてくれた本の中の先生。どんな著書でも読みやすく書かれていると思いますが、この本は本当にどんな人にも勧めることのできる読みやすくて優しい気持ちになれる本だと思います。
あー私も子供の時こー思った、とか、こんなときこんなふうに諭してくれるひとがいたらな、とか思いながら何度も繰り返し読みました。
もっともっと続きが読みたかったと思い、それと同時に最後にこんな本を残してくれてよかった、とも思いました。 -
泣き虫ハァちゃん、かわいいなぁ。どんぐりころころの歌に泣き、大好きな幼稚園の先生とのお別れに泣き、日々の小さな出来事に心を響かせて泣く。素直で純粋でかわいい。
泣き虫な小さいハァちゃんを見守り、小学校4年生の思春期のちょっと手前の難しくなりかけたハァちゃんを厳しくしっかり受け止めた、お母さんがとってもすごい。そういうお母さんに私もなれたらいいのだけれど。。。
ハァちゃんのお兄さんたちも最高です。
河合隼雄先生の自伝的小説のようですが、とても素晴らしい少年時代を送られたのだなと感心します。
小川洋子さんの書かれたあとがきも素敵です。