- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101252612
作品紹介・あらすじ
「世界最強のクライマー」と呼ばれた山野井泰史と妻の妙子。しかしヒマラヤで負った凍傷により、二人とも手足の指の大半を失っていた。この奇跡の生還から5年後の2007年、彼らは再び高みを目指す……。標的は北極圏・グリーンランド、標高差1300mの垂直の壁。リハビリとトレーニングを繰り返す二人。誰もが不可能と思ったチャレンジを追う、渾身のNHKドキュメント。
感想・レビュー・書評
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2002年、ヒマラヤ・ギャチュンカン北壁。世界屈指のクライマーで
ある山野井泰史・妙子夫妻は氷壁に挑んだ。その記録を綴った
のが沢木耕太郎『凍』だ。
登頂後(登頂を果たしたのは泰史氏のみ)、嵐と雪崩に巻き込まれ、
手足の指のほとんどを凍傷で失ったふたりの記録は、読んでいる
だけでも怖くて、寒くて、痛かった。
そのギャチュンカンから5年後、グリーンランドの無人島ミルネ島の
ビッグウォールに挑んだふたりを追ったテレビのドキュメンタリー
番組の書籍版が本書だ。
スポンサーもつけず、泰史氏が講演や原稿料で稼いだ資金を
やりくりして費用をねん出する妙子さん。このご夫婦の姿が
とても素敵だ。
山に登れるだけでいい。同じ価値観を共有し、同じ山に挑み、
同じ苦しさ・楽しさを体験し、そしてまた山へと還って行く。
クライマーとしては手足の指を失うことは致命的だろう。それ
なのに、険しい登攀に挑むことを諦めない姿に強さを感じる。
また、今回の登攀に同行した、ベテラン・クライマー木本哲氏
も足の指を凍傷で失っている。足指を怪我しただけで、普通に
歩くのさえもバランスが取りにくいのに、それでクライミングを
してしまうのだも。もう言葉に出来ないよね、こういう人たちの
凄さって。
三人が交わす凍傷をネタにしての冗談が、とっても明るいの
が救いだ。そしてなんといっても妙子さんの人柄が素敵。
奥多摩の自宅でも、クライミングの現場でも常にマイペース。
優れたドキュメンタリーであると同時に、素敵な夫婦の在り様を
教えてもらった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
動画の拡大バージョン。こういうノンフィクションでも聞き書きでもない文章って変な感じする。
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本書で取り上げられている登攀の記録ドキュメンタリーは見たことがありました。
ですので、より詳しく登攀の経緯などを知ることが出来ました。
山野井御夫妻の純粋に山に登る姿勢は憧れます。
私も山野井御夫妻のように純粋に自らの興味をより深く突き詰めて、生きてゆきたいです。 -
2016/9/10購入
2016/9/22読了 -
2013/10/4 アミーゴ書店六甲道店にて購入。
2014/10/15〜10/24
有名なクライマーである山野井泰史・妙子夫妻が、ギャチュン・カン登攀後、凍傷により大部分の指を失った後、グリーンランドの未踏大岩壁・オルカに挑戦するドキュメンタリー。映像を撮影したNHK取材班によるもの。今、少しクライミングに興味があるのだが、世界が違うなぁ。でも、凄い!放送を観たかった! -
2002年にギャチュンカンから奇跡の生還を果たしながら重度の凍傷を負い、復帰は不可能と思われた山野井夫妻が再び垂直の壁に挑む。今回、夫妻が挑んだのはグリーンランドの未踏峰オルカ。ギャチュンカンからの生還からオルカに挑むまでの道のりをNHK取材班が克明に描いている。
この作品は、NHKで放送されだドキュメンタリー番組の同行取材班の取材記録であるのだが、山野井夫妻の生の声や山に対する真摯な気持ちが伝わって来る。
一昨年、沢木耕太郎の傑作『凍』を読み、クライマー山野井夫妻の存在と夫妻のギャチュンカンからの奇跡の生還を知った。その後、山野井泰史の『垂直の記憶』『ソロ』を読み、夫妻の山や壁に挑戦する姿に感動を覚えた。この作品も、前出三作に負けないほどの迫力に満ちた傑作である。