鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253442

作品紹介・あらすじ

「土地の名まえ」の背景には、いつも物語がある。そこに暮らす、人々の息遣いがある。峠や湖川など、地形に結びついた名まえ。植物や動物に由来する地名。街道や国境など、人の営みをめぐる地名。音やまなざしから付けられた名まえ。消えた地名、新たに生まれた地名……。空を行き交う鳥や風のように伸びやかに、旅した土地の名まえから喚起される思いを綴る、二作の葉篇随筆を合本した文庫版。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化!!

    梨木香歩 『鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/125344/

    以下は単行本

    梨木香歩 『鳥と雲と薬草袋』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/429908/

    筑摩書房 風と双眼鏡、膝掛け毛布 / 梨木 香歩 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480804938/

  • 地名にまつわるエッセイ集2冊を1冊にまとめたもの。
    『鳥と雲と薬草袋』は単行本で一度読んでいます。
    『風と双眼鏡、膝掛け毛布』は今回はじめて読みました。

    梨木さんは本書に収められた短いエッセイのことを「葉篇」と呼んでいます。
    落ち葉が降り積もり、朽ちて土になり、その土地を成している…というイメージが、地名を扱った本書にしっくりきて、すてきな表現だと思いました。

    何気ないようでいて実はかなり歴史のある地名、つい口に出して読んでみたくなるような地名、ちょっとどきっとする字面の地名。
    梨木さんの目を通して見る地名には、その土地が重ねてきた時間の厚みや温かみが感じられました。
    その土地の歴史の上に今、私たちが暮らしている…ということはすごいことなのだなぁ、としみじみと思いながら読了。

  • 地名譚には手を出すなと指導教官がよく言っていた。あんなものは大抵眉唾で、なんの証拠もないのだと。別の機会に、国文学の教授も似たようなことを口にしていた。手を出さないほうが無難だと。

    学術的にはそんなものなのかもしれない。そう思って梨木さんの本書を読むと、確かに、…だろう、…気がする等、文章の末尾が歯切れの悪いものが多い。しかし、地名譚には、郷愁にも似て人を引きつけるものがある。真実はどうであれ、その土地に住む人が、自らの土地をどう語り、伝えてきたのか。その思いに引きつけられるのだろう。自然や土地に根付く声なき声に耳を傾けられる人になりたい。

    本書は短い断片の寄せ集めのような作りなので、一気読みにはそぐわない。著者の梨木さんの言うように、一日一編、語られるその土地に思いを馳せながら読むのがよいように思う。

  • 土地の名前をテーマに、その由来や感じるところを短い文章で綴る。わからないことはわからないまま、想像は想像として、フラットに語っているところが好き。

  • コラムだったのかな?短い文章のつながり。葉篇。
    土地の名前にも当然歴史があり、そこに暮らす人々の間で受け継がれてきたものがあり、消えてゆくものがあり。消えていく切なさと、消える前に残さなきゃという想いのある文もあるし、馴染みの場所や思い出深い場所もあるのだろうということも感じられて、とても良かった。
    短いので隙間時間にポツポツよめたのも良かった。

  •  梨木香歩さんが旅した土地の由来から喚起される思いを綴ったエッセイ。長いタイトルです。「鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡と膝掛け毛布」、2021.10発行。西日本新聞のコラムに連載されたものとPR誌「波」に掲載されたものだそうです。改めて、著者の炯眼に大拍手です。自分の知ってる土地の箇所は、特に念入りに楽しみましたw。消えた地名に味わい深い地名が多く、新しく生まれた地名は薄っぺらな気がします。

  • 机の上で旅する人のモノローグを聴いたような感じだった。
    お風呂で毎日少しずつ聞いた。
    これと池澤夏樹の「うつくしい列島」は博物学的な方へ振りすぎたというか、お題に振りすぎたというか、ちょっと無理してる感があって、ここら辺で上がろうと思う。

  • 梨木香歩さん。
    1月に買ってちまちまちまちまと読み進め、やっと読み終えたのが本日。
    丁度八重洲でモーニングしていた母が、今読む本がないというので差し上げてしまいました。
    土地にまつわるエッセイ。
    梨木さんの言葉遣い、視点が好きです。
    優しさがあって、柔らかくて。
    どれも1〜2、3ページくらいの短い内容なのも良かった。
    最近集中力が途切れがちだったから。
    ですけど、そろそろしっかり読書再開しますかねえ。

    思えば2023年4冊目だった模様(3冊目失念してたorz)

  • 地名に関する随筆集。古い文献などをひもときその土地の名前の由来を考察する。地方の訛りであったりその土地の形状などから地名が変容し、地学的あるいは民俗学的観点が根っこにあるようにも思われた。その他にもその根源には様々な謂われがあるのだろう。地名は読み間違えたり読めなくても恥ずかしくないと言われるが、まさにその通りだと実感した。梨木さんの考察は学者さんを彷彿させられるが、この土地を訪れている瞬発力が羨ましい。そして、タイトルにロマンを感じた。

  • 地名について作者の思ったことが書き連ねてある。どうせなら司馬遼太郎「街道がゆく」のようにちゃんと調べて書いてもらえたら良かった。美しい語感に感動してあれこれ想像しておしまいという感じなので。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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