- Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101255309
作品紹介・あらすじ
体調不良を押して、早世した知人の葬式に出かけた男が出会った案内人の正体は-「案内人」。一人で歩く夜道、背後から聞えた息遣いのような音の正体は-「靴が鳴る」。さりげない日常の描写から、思わず背中をゾクリとさせ、あるいは口元をニヤリと歪ませる思いもかけない結末が導かれる18話。すべて「こんな話を聞いた」で始まる、アトーダ・マジック全開の短編集。
感想・レビュー・書評
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阿刀田高の著作には必ず、著者の作品群の仕分けが載っている。曰く
「ミステリー・奇妙な味、ブラックユーモアに属する小説」「現代の風俗・男女の関係をテーマとする小説」
本作はどちらかと言えば前者・ミステリーに属する小説集に当たるのだろうけれど、著者の作品は年々ボーダレス化が進み、以前ほどクッキリとジャンルの分類はしにくい作品が多い。この本もそうだろう。
阿刀田高作品の愛読者なら過去に読んだ事のあるテーマやモチーフがここでも扱われていて目新しさは無い。
が、著者もエッセイで「作品のアイデアはキャリアを重ねる毎に枯渇する。けれど作品を仕上げる手腕と技術はある程度までは年々上達する。掛け算して作品のレベルを維持している感じ」と語るように、見慣れたテーマを澱みない筆致で一遍に仕上げる職人の技量めいたものを楽しむ本と言えるのかもしれない。
400ページ強の分量、水を飲むかのように滑らかに身体に取り込んだ気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぞくっとする話や皮肉の聞いた話など。サラッと読める。
特に心温まる物語でもないのに読後感がいい。いや〜な気持ちにならない。心情描写に親しみが持てるからかも。
昔は表紙のうさぎが何をしてるかわからないのが怖くて手を出せなかったが、ようやく読めた。
ただの短編集なら手に取らなかったが、「こんな話を聞いた」→ 寓話や有名なエピソード→ 物語 という形式がおもしろみを加えていた。
新しい切り口で共通項を作って提供するのはうまいやり方だと思う。 -
人生の中でたびたびやってくるアトーダ・ブームの中で。とにかく読みやすいので勢いにのって3日ほどで読了。良くも悪くもさらさらっと読める、ザ大衆娯楽小説!といった趣。短編小説が好きなので楽しめました。それから各話の冒頭に古今東西の物語や事件が触れられていますが、いつものことながら阿刀田先生の知識量とその多岐ぶりに驚かされます。
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ジャンルごった煮の短編集。
同著者のギリシア神話と旧約聖書に関する作品がとてもわかりやすく、そのうえ面白かったので、読んでみました。
ちょっと怖い話やほんのりやさしい話、不思議な話とバラエティはいろいろ。でも正直、あまり印象に残らない話が多かったです。
あとこの人、短編小説になると文章がちょっと読みにくくなる?そんな気がしました。すみません。 -
「こんな話を聞いた」で始まる18の短いお話
物語が始まる前のちょっとした小話からはじめるお話。
お風呂の友にさらっと読めて楽しめた。
阿刀田高さんの本初めてだったから、これからも読んでみたいかな。 -
「こんな話をきいた」から始まる小話、そしてその直後から始まる本編、という形の18のストーリーを収録した短編集。
思いもかけない結末、との紹介があるのですが、最初の半ページほどのお話と、作品タイトルでなんとなく予想でき、それが当たっているか外れているか確かめるようにページをめくる楽しさもありますし、ぞくっとしたりにやりとしたり、星新一さんのショートショートを彷彿とさせるホントに面白い作品ばかりでした。
特に「愛犬」という話がよかったです。 -
久しぶりに阿刀田作品を読みました。
面白いですね。読みやすいし。 -
昔の人間の方がモラルが無いと思うほど人非人な内容があったりして、背筋が冷たくなる。こんな表紙の癖に。
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ブラックユーモア。短編集。
ゾッとするような、怖くて、でもわくわくするような、そんな大好きな話がいくつかある。しかし、いくつかの話は首をかしげてしまう。でも阿刀田高が大すきなのでそんな話も許せてしまう。楽しく読んだ。