百年の散歩 (新潮文庫 た 106-2)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255828

作品紹介・あらすじ

豆のスープをかき混ぜてもの思いに遊ぶ黒い〈奇異茶店〉。サングラスの表面が湖の碧さで世界を映す眼鏡屋。看板文字の「白薔薇」が導くレジスタンス劇。カント、マルクス、マヤコフスキー。ベルリンを幾筋も走る、偉人の名をもつ通りを、あの人に会うため異邦人のわたしは歩く。多言語の不思議な響きと、歴史の暗がりから届く声に耳を澄ましながら。うつろう景色に夢想を重ね、街を漂う物語。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章がぶっ飛び過ぎて躊躇したが、ラップを聴いてるつもりで読むうちに多和田さんの魔術にはまる。「あの人」との待ち合わせでベルリンの通りを歩く私。景色と言葉と時間の夢想。「ベルリンの街自体が一つの歴史書」との解説に納得。

    • 111108さん
      傍らに珈琲を。さん、コメントありがとうございます♪

      音楽詳しくないのに似てる発言しちゃいました。ラップと言っていいのか‥音と文字で韻を踏ん...
      傍らに珈琲を。さん、コメントありがとうございます♪

      音楽詳しくないのに似てる発言しちゃいました。ラップと言っていいのか‥音と文字で韻を踏んでるような文章でした。読んでる側はだんだん楽しくなりましたが、校正の人大変だったろうなと思います。
      2023/09/14
    • 傍らに珈琲を。さん
      読んでる側はだんだん楽しく…←独特の文章を楽しめた111108さんが素晴らしいなって思います♪

      新しい本を手にした時、作家さんや作品毎に作...
      読んでる側はだんだん楽しく…←独特の文章を楽しめた111108さんが素晴らしいなって思います♪

      新しい本を手にした時、作家さんや作品毎に作風が違うわけで、そこには読み手の好みも第一に関係しますが、
      やはり沢山の本を読んでいらっしゃる方は様々な作風を楽しめるお力がついていらっしゃると思うのです。
      111108さんもその方の一人だなーと。
      なんと表現したらいいんでしょう…様々な文章に接しているうちに鍛えられると言うか、楽しめる力がつくというか。

      読み始めに"おっと!?"と思っても、"そうか、こんなつもりで読めばいいのね"と自分の中の引き出しを開けられる。
      そんな方のように思えて、憧れます。
      私ももっと沢山本を読みたいな。
      ずっと読んでいきたいな。
      2023/09/14
    • 111108さん
      傍らに珈琲を。さん、お返事ありがとうございます!
      いやいや〜傍らに珈琲を。さんのほうがよっぽどいろんな方面の読書されてると思いますけど‥。で...
      傍らに珈琲を。さん、お返事ありがとうございます!
      いやいや〜傍らに珈琲を。さんのほうがよっぽどいろんな方面の読書されてると思いますけど‥。でも楽しかったのが伝わってよかったです。機会あればぜひ‥♪
      2023/09/14
  • ただコロナに耐える日本は不思議 多和田葉子さんの視点:朝日新聞デジタル
    https://www.asahi.com/articles/ASN923191N91PTFC00F.html

    ayumihanamatsu – ページ 2 – Ayumi Hanamatsu
    http://ayumihanamatsu.main.jp/author/ayumihanamatsu/page/2/

    多和田葉子 『百年の散歩』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/125582/

  • 面白かったです。
    ドイツの様々な通りを散歩しながら、あの人のことを考えたり、不思議な人たちに出会ったり、歴史的な物事に接したり。
    言葉遊びも豊かでした。ドイツ語がいきなり出てきますが、意味も書いてありました。
    なかなかおいそれと外出出来ない昨今ですが、状況が落ち着いたらわたしも色々考えたり考えなかったりする散歩に出かけたいと思いました。

    ドイツの「FUTON」に「Hokkaido」という名前が付いてた、という文を見て、昔イギリスに住んでいたことのある同僚が「日本のポッキーが『Mikado』という名前で売ってた」と言ってたのを思い出しました。帝。。

  • ベルリンの、さまざまな人名のついた通りや広場を、「わたし」が「あの人」を待ちながら散策する10章。「あの人」が実は待つ必要のない相手だと最後の最後で明かされる以外、「わたし」と「あの人」の間に進展はなく、物語らしい物語はない。「わたし」はただただ通りを歩き、疲れれば喫茶店に入り、擦れ違う人、居合わせた客や店員を観察しそこから勝手な想像の物語やあてどもない連想を繰り広げてゆく。

    中盤の「プーシキン並木通り」あたりからどんどん幻想性が増していって、通りの名になった人物の亡霊や、幽霊が現れたり、石像や絵画の人物が現れたり、過去の世界に急にトリップしちゃうのが好きだった。そのなかにさりげなく、戦争や人種差別、環境問題などへの批判がチクリと織り交ぜられたりしている。言葉遊び、ちょっとしたドイツ語や、知らなかった人の足跡を知れるのも楽しい。

    ※収録
    カント通り/カール・マルクス通り/マルティン・ルター通り/レネー・シンテニス広場/ローザ・ルクセンブルク通り/プーシキン並木通り/リヒャルト・ワーグナー通り/コルヴィッツ通り/トゥホルスキー通り/マヤコフスキーリング

  • 10の短編
    全てに出てくる「あの人」、とは何者なのか
    ドイツの通りを歩けばプラタナスの木や墓地のレリーフ、閉店したお店の写真、様々なものが葉子さんに語りかける
    孤独遊びが癖になってしまって人生の内容になってしまった
    慰められる言葉です

  • 遠いところに行けたような、すごく近くのものにさわれたような

  • だいすきになった

  • サイコーーーーーーの恍惚。大好き〜

  • 「でも、わたしにとっては負の世界に分け入っていくことの方が美味しいものを食べることよりも魅力的なのだった。」

  • よく判らなかった。
    掴みどころのない話、というか、なんだろう、散文詩的?
    最初の方は、モノローグの中の日本語とドイツ語の言葉遊びが面白かったけど、だんだん空想が膨らみすぎて妄想に近くなり、もしやこれは病んだ精神の記録か?と思うような雰囲気に。

    で、待ち続けた「あの人」って?

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。小説家、詩人、戯曲家。1982年よりドイツ在住。日本語とドイツ語で作品を発表。91年『かかとを失くして』で「群像新人文学賞」、93年『犬婿入り』で「芥川賞」を受賞する。ドイツでゲーテ・メダルや、日本人初となるクライスト賞を受賞する。主な著書に、『容疑者の夜行列車』『雪の練習生』『献灯使』『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』等がある。

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