- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101259314
感想・レビュー・書評
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早逝したノンフィクション作家・井田真木子が黒木香と村西とおるに取材した作品を書いていることを知り、読んでみた。
Netflixのドラマ『全裸監督』を観て、この2人の関係についてもっと知りたくなったのだ。
中古本を買おうと思ったらヘンな高値がついていたので(現時点のAmazonで4000円近い)、図書館で借りた。
『フォーカスな人たち』というタイトル(単行本時のタイトルは『旬の自画像』)は、若い人には意味不明だろう。
写真週刊誌『フォーカス』(すでに休刊)に追い回されるような、90年代前半当時の「旬な人たち」という意味である。
本書の主人公は5人。黒木、村西以外には、太地喜和子・尾上縫・細川護熙が登場する。それらの3人にはあまり興味がないので、ナナメに読み飛ばす。
最初に登場するのが黒木香。次が村西とおる。
それぞれ独立した短編ノンフィクションではあるが、黒木編には村西が多く登場するし、村西編にも黒木が重要な役割で登場する。2編は合わせ鏡のように共鳴して、1つの作品としても読める。
比べるのもナンだが、本橋信宏の本よりも、本書のほうが村西と黒木の内面に深く分け入っている印象を受ける。時代状況の分析も鋭い。
本橋は村西・黒木の身近にいた人だから、彼らについては井田真木子よりもよく知っているはずだ。にも関わらず、本書のほうが村西・黒木の核に触れている感じがする。文章表現の持つ力というものだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何回だって読むし、読むたびに得るものがある。
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細川家が文化のパトロンだったことを指摘しています。前回読んだときは気にならなかったが、今回は気になる。金を持っていれば、自動的に文化のパトロンになれるわけではない。目利きでなければ、金だけではパトロンにになれない。細川家は、両者を兼ね備えた稀な例です。
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396夜
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AV女優・黒木香、AV監督・村西とおる、新劇女優・太地喜和子、料亭女将にして稀代の詐欺師・尾上縫、元首相・細川護熙という5人の人物を取り上げ、バブルという時代を切り取ったルポ。フォーカスという写真雑誌という媒体をもとに似た人々をとりあげる手法は面白いけれど、この人の本の中では一番読みにくかった……多分私がバブルという時代をリアルで知らないために興味が持ちにくいせいかもしれない。やはりこの人の本では『十四歳』がベスト。