ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

  • 新潮社 (2015年6月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784101269511

作品紹介・あらすじ

バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、理事会では我儘なジジババに振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、幼馴染の三紀子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?!一気読み必至の傑作「社会派エンタメ」誕生。

感想・レビュー・書評

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  • バブル崩壊の直前に購入した、郊外の団地に住む織部頼子がローン返済に頭を悩ませる様子や、それを身近で見ている、娘の琴里が友人から紹介された資産家の彼氏と付き合い始めるが、癖の強すぎる彼との関係について、話が展開していく。

    団地の理事会や建替えを巡る状況は勉強になった。
    一方で、別れたい彼氏を友人に紹介し、押し付けておいて、その友人が結婚に愛を求めず、資産だけを目当てに結婚したら、今度はどこかで負けたと感じる心理には、勝手すぎてついていけないが、女性の友人関係だとそういう複雑な心情も生まれるのかもしれない。

  • 垣谷美雨さん12冊目。著者のあとがきによれば、登場人物は架空だが、住宅事情は自身の体験に基づき執筆した小説とのこと。著者は2015年時点で購入を後悔していた団地は売却し、執念で23区内戸建てを探し続け、新潮社近くの目玉物件を購入したそう。時折、小説からも感じられるが意思のとても強い方だなと思う。バブル崩壊前夜に団地を購入し、理事会当番が回ってきてしまった頼子、その娘で20代後半の琴里のそれぞれの世界を中心に話が展開していく。いずれの登場人物にもあまり共感できなかった。これまでよく知らなかった団地の理事会に初めて触れたが、輪番制での強制参加、役職の多さ、拘束時間に相当大変そう。琴里の友人関係や交際男性との展開はあまり現実味がなかった。

  • マンションの理事会の様子があまりにもリアル。嫌々理事を押しつけられた人達の苦労が見える。住宅問題から見えてくる個々の人生。団地で育った幼馴染み3人が振り回される1人のイケメン富豪との恋愛問題。
    最後にババをつかまされる羽目になった友達の肝の据わった行動には思わず拍手!結婚に求める幸せは人それぞれ。

  • バブル崩壊寸前に購入してしまったニュータウンの分譲団地。
    夫の収入が下がり住宅ローンに四苦八苦しているパート主婦の頼子は、家を売却しようにも購入価格の3分の1にまで下がってしまっているので売ることもできず。

    一方団地は老朽化が進み、理事会で建替えの話が出てくるも、建替え反対派の意見や各家庭の事情が複雑に絡まり、話し合いも進まない…。

    もうねー、読んでて胸が苦しくなるほどリアルでそして勉強になる本でした。

    大規模集合住宅の建替え問題は各住民の事情が絡むからめっちゃ揉めるんよ。と聞いたことがありますが、なるほどこりゃ揉めるよなーと。

    住む人たちの年代や家族構成や懐事情などまっったく違うのに、住まいという生活の根底に関わるもので足並みそろえるのなんて絶対難しいに決まってる!

    こういった住宅問題に加え、頼子の娘・琴里のボンボンモラハラストーカー気質男との結婚問題も絡んできて、お金のこと、生活のこと、住まいのこと、将来のこと…いろいろ考えさせられる内容が盛りだくさん。

    登場人物はあまり誰にも共感できないというか、自分だけが可愛いある意味人間らしい人たちばかり。
    内容も重ためなんですが、でもなんとなくシリアスになりすぎないというか、垣谷さんの文ってどこかユーモアを感じられるのですごく読みやすいんですよね。

    最後もスカッとしたー!って感じられるようなラストでは決してないんですが、読んで良かったと思える作品でした。

    将来の住まいのこと…自分がどうしたいのか、どんな老後を過ごしたいのか、まだ考える時間の余裕があるうちに真剣に考えてみよう〜

  • 感想
    雪子はお茶汲みしかできないって言ってた割に一番しっかりしている。

    資産家の黛もどこかズレていて危うい。

    終盤に向かうに連れて暗雲が立ち込めるが、最後に幸せな結末になるのか?


    あらすじ
    織部頼子はバブル崩壊前に買った寂れた団地で暮らしている。旦那は、会社の吸収合併で部長から平社員に降格し、自分はパートに出ている。長男は家を出て、娘の琴里は、就職活動に失敗して寿司やでアルバイト中。

    暮らし向きが上がらない中、20年に一度の団地の理事の番が回ってくる。

    琴里は、親友の三起子とその彼氏の黛を紹介してもらう。三起子の代わりに黛とオペラに行くことになってしまう。その後、三起子に連絡が取れず、黛の家に行くことになってしまう。

    黛の家は資産家の大地主で不動産の不労所得で暮らしている。琴里は付き合うことになったが、付き合いを続けるうちに自分の考えが絶対であるかのように振る舞うところや考え方が合わないところ、自分の行動が監視されていることなど気になりだす。

    頼子は団地建て替えについて理事会で話し合う。建設業者が持ってきた案は素敵で修繕に比べて良さげに見えるように作られていた。雪子以外はみんな賛成で乗り気になる。

    琴里は黛のストーカー気質が生理的に合わなくなり、別れを告げる。三起子は黛と別れたいがために全てを捨てて、琴里を人身御供にして別れたのだった。琴里は黛と別れるためにもう一人の親友だった朋美を紹介する。

    団地の建て替えは、駅から遠いという理由でゼネコン各社が辞退し、暗礁に乗り上げる。雪子は、団地存続のために頼子に市議会議員に立候補して欲しいという。

    時は流れ、琴里も結婚した。ロンドンで暮らす朋美の家に三起子と呼ばれる。朋美は黛と結婚したのだった。頼子は市議となって相変わらずニュータウンに住んでいた。建て替えも決まらない状態だった。

  • 垣谷美雨さんの作品は3作目。毎回身近な問題を取り上げてくれて、参考になりました。主に家という資産をテーマに、複数の登場人物からの視点を見せてくれます。人によって考え方は本当に様々です。客観的には良い生活をしているように見えても
    、当人からすればそうでもない。隣の芝は青く見えるとはこういうことなんだよな、と思いながら読んでました。読み終える頃には、とりあえずベストを尽くして生きようと前向きになれます。

  • [☆3.5]

    富裕層の男性の話をすると、「そんなやつは苦労知らずだ」とけなしていたのに、自分の娘の彼氏だと言った途端に母の態度がころっと変わったのがおかしかった。
    娘は、奨学金を、親はローンを肩代わりしてもらうなんて、初めから公平じゃない関係はなんだかなぁとモヤモヤしてました。
    後からタダより怖い物はないって分かりますけども。

    母子がとても似てますよね、父と祖母が引き戻してくれてホッとしました。

    中盤ぐらいでちょっと中弛みかな?という感じだったけど、そう思った瞬間に怒涛の展開で驚きました。

    訳あり彼氏を友達に押し付け合って(まさか主人公もそうするとは…)、最終的に引受人となった朋美は結婚してセレブな生活をしていて幸せそうで、他の二人は羨む。
    友人の想像を上回る裕福な暮らしを目の当たりにすると、「あの時私が黛と結婚していたら!?」とたらればを考えざるを得ない。

    琴里が、三起子に言い放った「友達ではいられない」という台詞も予想外だったので驚愕。でも、本当の友人なら、訳あり彼氏を友達に押し付け合って放置なんてしないよな。 

    琴里自身も朋美に押し付けているから、再会したけど触れなかったし、後ろめたいからもう会わないって決めたんだろうな。

    朋美も大切だと思っていた友達に裏切られて、マウント取りたかったというのもあるかもしれないけど、「二人が自分に押し付けた罪悪感があるなら、私は幸せだから気にしないで」っていうことを伝えたいという友人への気遣いのように思えました。会えないままだと一方的に罪悪感が残りますからね。

    色々あったけど三人が再開してあけすけに語り合って、仲良しこよしで終わるという結末を予測していたので、最後まで息もつかせぬ予想外の展開の連続でタイトルからは思いもよらなかったです。


    あと、過疎化したり、古くなったマンションの修繕費が高いことや持ち出し資金も多い事に驚愕しました。

    マンションの購入についても、非常に勉強になる有意義な小説でした。

  • 読み物としては面白かった!
    垣谷美雨さん、何冊目だろう。。。

    なんか、読み疲れ?した時はこの人でさらさらーと何も考えず楽しめる。でも、ただ読みやすいだけでなく、色々な社会問題を提起し、考えさせられる。

    今回はバブル期に買ってしまったニュータウンの行く末と、その子どもたち、いわゆるロスジェネを取り上げつつ、ストーカー問題も関わって昼ドラにしたら面白そう。

    ニュータウンの悲哀と言えば多摩ニュータウンが必ず取り上げられる。

    場所が、もう少し駅に近ければ、都心に近ければ状況は全く変わったんだろうな。

    上手く代替わりしてるニュータウンもある。

    いずれにせよ、バブルの頃購入した人は物件価格も、金利も、今では考えられない金額だったから、損は免れなかったんだろう。

    子どもたちの世代で言えば、結果論としては朋美が一番羨ましいと感じるが、私はきっとあんなふうに割り切って、結婚まではできない。そこで言うと、三起子くらいが理想的。朋美と比べるとなんだか損した感じで書いてあったけど、充分良い生活を送っていると想う。

    琴里は、実家がなんだかんだ東京だからお寿司屋さんのバイトでなんとかなってるけど、本当にキャリアを積もうと思ったら他にも道はあったはず。

    あとがきで、垣谷さんのニュータウン購入と、その後の値下がりでの損害が実話だったと知り、なるほどリアルだなと思った。でも、その損害が今こうして小説のネタになり利益を生み出すのだから、人生って不思議。

  • マイホームの問題、特に郊外のニュータウンの購入型集合住宅にスポットをあてたドラマ。人生で一番大きな買い物であろう住宅購入の闇を提示してくれる展開。バブル崩壊前に建築された郊外型マンションを購入した人なら似たような失敗(?)をしているのではないだろうか。少し前なら都市の中心には住む人がいないドーナツ化現象とか言われた事もあったが、住人がそのまま歳を重ねて建物の老朽化と自治会の高齢化が同時に押し寄せる恐怖。ヨーロッパの住宅事情なども盛り込みながら結末が大いにきになる展開です。
    あまり住処に高望みはせずミニマルに暮らしたいと考えながら読みました。あとがきで作者の経験が元になっていると知り、リアルさに納得。
    友達同士の彼氏の押し付け合いの結末も興味のひとつとして読めました。

  • 今や負債となったバブル期に購入した団地をどうするか悩む母と、教育ローンを抱え仕事が決まらず悩む娘のデュアルストーリー。親子ともども、自分の欲しいものをしっかり認識したこと(特に娘)、家族に最低限の資産があったことで乗り切れた話、だと思う。自分自身が欲しいものは何か、それを手に入れるためにはどうしたらいいか、どの部分は諦め、もしくは割り切るのか、を決めることが重要だと思った。

  • 読みやすくて1日で読んでしまった。いつもどおり面白かったけど目新しさはないかな。ローンの話も婚約者の話もリアルでぞっとした。

  • 駅から遠いニュータウン(団地)に住む人たちの悲哀物語。
    自分もいわゆる公団に住んでいたので、その不便さたるやよく分かります。駅までバスで20分、しかも国道走るから渋滞に捕まることもしょっちゅうという、物語よりも劣悪なところ。両親もこんな想いを抱いて住んでいたのか(今も住んでるけど)と思うと、なかなか胸が熱くなります。
    奨学金を抱えたまま社会人になる辛さの一方、地主の金持ち坊ちゃんのロクでもなさがあったり、またそこにうまく乗っかる人もあり、人生色々だなーと思いました。
    いつもの変な設定からのハッピーエンドという感じではなく、ちょっと深みのある終わり方で面白かったです。

  • バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、老朽化による建替え問題に振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、友人の三起子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪し、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?! 一気読み必至の傑作社会派エンタメ長編。

  • 家を買いたくないと思ってしまった。。。
    人と比べないで自分の幸せを見つけるべしなんだな、と強く思いました

  • 盛りだくさんの内容だった。
    お母さんの話、その娘と同級生2人の話、ニュータウンに住む人、住んでいた人々の話。
    5200万円で買った家が今は1500ま万円で売りに出されている。そんなに下がってしまうんだと驚いた。他人事ながら、それは厳しい。これでは幸せになることに貪欲になるだろうな。

  • マンション買うのが恐ろしくなる本。
    お金に苦しむのは読んでて辛くて時間がかかってしまった。
    家は自分の居場所だから、マイホームに憧れているけど、無理して自分の自由を失うくらいなら、その時その時のニーズに応じた賃貸のほうが身軽でいいという考えに落ち着く。

    人生、お金だけじゃない。

  • 正直、暗くて読みきれませんでした...黛のたらい回し?的な展開がなんとも後味悪いというかなんというか笑笑苦手でした
    不動産とかの話は勉強になる部分もありましたが。

  • バブル崩壊前に購入した分譲団地。
    これでも価格が下がったと5,000万円ものローンを抱えた。
    しかし、その価格が下がったというお得感もすぐに崩壊の一途を辿る。
    そんな団地も築30年を経過して建て替え問題が浮上。
    しかし、集合団地のため、揉めに揉める。
    パートに出ていた頼子は理事が回ってきて、会合にも出席するが、高齢化してきた団地内の揉め事に、ローンのことにも頭を悩ませながら疲れを見せる。
    そんな母を見ていた娘の琴里は、幼なじみから資産家の彼氏を紹介され、なぜかその彼とオペラを見に行った。
    しかし、その時から幼なじみとは連絡が途絶える。
    残された資産家の彼と付き合うとこになった琴里は、その贅沢な環境に目を奪われる。
    だが、その彼には問題が…
    住宅問題は長きに渡って、人々の感心や苦労を引き寄せてきたが、生活スタイルはバブルを境に大きく変化を見せた。
    今はそれぞれが自分の力で道を切り開いていくことが重要となる。
    なかなか面白かった。

    2019.1.6

  • 郊外に分譲団地を購入した家族の「こんなはずではなかった」的な悲哀と緩やかな絶望が丁寧に描かれている。 特にマンションの住人達で組成される理事会での不毛なやり取りは、独特なあの雰囲気を微に入り細に渡ったレベルで描写していて驚いた。

  • 身につまされる…

    頼子が参加する理事会のシニア達の発言がいちいちリアルでささる

    コトリが自分のされたことを友達に同じことをした時に女は怖さを感じた

    賃貸が分譲か

    分譲は当然だが古くなる 自分のものになった時には既に補修が必要だ

    賃貸は長期になると当然総額が分譲よりも高くなることもある

    自分の生活スタイルや、子供がいるいないでどちらがいいとは一概にいえない

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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